GoPro用NDフィルター ➖ PolarPro Cinema シリーズNDフィルターレビュー
晴れた日中、非常に明るい環境下でアクションカメラを使って撮影すると、勝手にシャッタースピードが上がってしまう場合がある。 後で編集すると動きのぎこちなさが目立ち、他のカメラの映像とマッチしない。このような場合は、やはりNDフィルターを使うのが理想的だ。ここではGoPro 用のNDフィルターを紹介しよう。
動画撮影で最初に学ぶものの1つは、シャッタースピードの180°ルールだろう。これは昔のフィルムカメラのシャッター機構に基づいた考え方であり、シャッタースピードは常にフレームレートの2倍の逆数(例えば、24フレーム/秒で撮影する場合は1/48秒のシャッタースピード)に設定するというものだ。その結果最適なモーションブラーが得られ、観るものには「映画的な見え方」となる。
しかし、これはGoProsのような小さなアクションカメラを使用するときは問題となる。これらのカメラは固定絞り(たとえばHero5 Blackではf / 2.8付近)なので、露出調整はシャッタースピードとISOでしかできない。明るい晴れた日に雪原で撮ると、シャッタースピードが1/2000〜1/3000秒にもなり、動きが早い映像ではカクカクとなってしまうのだ。
このような場合、シャッタースピードを落とすにはNDフィルターを使用する必要がある。上記の例では、これは5ストップ、あるいはND32フィルタ(32 =2の5乗)だ。これにより、シャッタースピードは1/3000秒から1/94秒に落ちる。このシャッタースピードは、アクションスポーツのフレームレートとして理想的な50fpsに適している。
ところで、GoPro用NDフィルターをオンライン検索してみると、ND8とND16がほとんどで、これでは上記の例では不十分だ。
そこでPolarPro GoPro Hero5 Blackシネマシリーズフィルターを紹介しよう。このセットには、D8、ND16、ND32が同梱されている。各フィルターは陽極酸化アルミニウムフレームにマルチコートガラスを使用して、フロントレンズエレメント(HB5レンズカバー)の代わりに取り付ける構造となっている。 GoPro HERO 5 Blackの元のフロントレンズカバーを外し、PolarPro GoPro NDフィルターと交換する。
結果は上々で、フレアも抑えられている。ただ、ちょっとした問題があった。NDフィルターの取り付けがきつく、フィルターを壊してしまう可能性があるのだ。そこでPolarProに連絡したところ、彼らはこれを改善し、すべてのものを無料で対策済みのものに交換すると返答してきた。実に素晴らしいカスタマーサービスだ。
上はオーストリアのフラッハウ(Flachau)で撮影した私のスキー動画だ。 主にND32を使用している。日が陰ったときはND8を使用したのだが、これでは不十分だったようだ。この状況ではND16を使用すべきだった。
ご覧のとおり、NDを使用すると動きが滑らかな映像になる。アクションカメラで撮った映像とは思えない滑らかさではないだろうか。 NDフィルターにより絞りを開けることができるので、バックグラウンドを意識的にぼかし、被写体を浮き上がらせることができる。さらに、このような映像は60Mbpsの限られた帯域幅の画像をH.264エンコードするにも有利だ。もはやアクションカメラの映像もバカにできなくなってきたと言える。
GoProには絞り調整機能がないので、使用するNDを決めるのは少し難しいかもしれない。私は50fpsに合わせるため、マニュアルシャッター機能を使用し、LCDパネルの画像から判断して1 / 100秒にセットし、適正な露出が得られるまで何度か試した。その後、シャッターをAUTOに戻し、最大値を設定した。 そしてISOを800に設定し、カメラの自動露出補正を使用している。
GoProカルマグリップ( Karma Grip)(以前のレビュー記事はこちら)を使用すると、画像は素晴らしく安定する。設定はProtune flatを使用し、彩度とコントラストを多少加えている。
このように、明るい環境でアクションカメラを使用する場合はNDフィルターを使用することをお勧めしたい。これにより映像は格段に高品位になり、他のカメラで撮影した映像に混ぜても違和感がない作品に仕上がる。 NDフィルターは、PolarPro以外にも、Freewell、Holaca、Sandmarkなどからも発売されている。いずれにしても、高品質のマルチコーティングされたアンチフレアガラスを使用するフィルターがお勧めだ。
上記のビデオのGoPro設定:2.7K 50p、リニアフィールドビュー(魚眼レンズなし)、最大ISO 800、Protune flat、最低シャープネス。GoPro Karma Grip使用。タイムラプスの映像はソニーα7SIIで撮影。