ソニーが AXS-R5の後継機、AXS-R7を発表した。ご存知の通り、 AXS-R5はPMW-F5やF55に装着する外部記録レコーダー。AXS-R7も位置付けは変わらないが、従来のリニア16bit RAW記録に加え、16bit X-OCNフォーマットが新たに搭載されている。
AXS-R7とX-OCN
技術の進化は実に早い。少し前まではRAWは高画質の代名詞だった。センサーから読みだされた情報をそのまま記録するというのは、まさに画質面では侵さざる聖域だったと言えよう。しかし、一方ではその巨大なファイルは、効率の悪化を招いた。ポストプロダクションでも、スーパーコンピューター並みの処理能力を要求されたのだ。
X-OCNとは、Extended tonal range Original Camera Negative を短くした名称だ。ちょっと分かり難い名前だが、基本となっている技術は従来のRAW同様、センサーの情報をそのまま記録するということには変わりない。異なるのはそのファイルの大きさが極めて小さくなるということだ。従って、ワークフローはかなり軽くなる。REDのREDcodeが圧縮したRAWファイルを扱っているが、その点においては考え方は似ている。
AXS-R7 レコーディングモジュール
記録モードは2種類あって、ST(Standard)とLT(Lite)が選択できる。どちらもセンサーからの16bit映像信号を記録するが、記録のビットレートが異なる。STモードは、従来のRAWと、映像の見た目はほぼ変わらない。LTモードは、16bit記録をキープしながら、より軽く、早い作業性を得られる。
The X-OCN ST のビットレートは、RAWファイルの70%
将来の展開に期待
なかなか素晴らしい内容だが、そうとばかりは言ってられない面もある。価格だ。 AXS-R5は$5,350もする。AXS-R7がそれより安価だとは、とても思えない。更に、AXSのストレージメディアも必要になる。512GB AXSカードは$1,800だ。下の表に、記録する解像度とフレームレートに対する各メディアの記録時間をまとめたので参考にして欲しい。
もう一つ懸案点を挙げておくと、X-OCNフォーマットはPMW-F5、あるいはF55にAXS-R7を装着したときのみ使用可能と言うこと。現状では、他のソニーのカメラでも使えるというものではなく、極めて限られた範囲のものと言えよう。
まとめ
AXS-R7とX-OCNによって、我々にとってもRED Codeに対抗しうるフォーマットの選択肢が増えたと言える。今のところX-OCNフォーマットはまだ高価なフォーマットではあるが、将来安価なカメラでも採用されれば、我々にも大きなメリットがあるだろう。RAWのように記録でき、そのファイルサイズが小さいのなら、歓迎すべきことだからだ。ただ、それでもそれなりの処理能力のあるコンピューターが必要なのは言うまでもない。
AXS-R7でX-OCN 記録する場合はAXSメディアが必要
AXS-R7は9月発売予定だ。ソニーのRAWビューワーも、アップデートが必要になる。DaVinciなどのグレーディングソフトも追ってサポートするだろう。
いかがだろうか?RAWで編集しているユーザーも、ProResoを使っているユーザーも、この新しいワークフローは、将来の選択になりうるか、今後が楽しみではある。
更なる詳細は、こちらのソニーオフィシャルサイトへ。