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瓶を使った効果的な照明テクニックとは?

瓶を使った効果的な照明テクニックとは?

このゲストポストで、カナダの撮影監督Matt Bendo氏は、ガラス瓶のメイソンジャー(Mason Jars)をライト・モディファイアとして使って、ドラマの照明を行った経験を語っている。

私は最近、Kombat Artsと呼ばれるボクシングアカデミーのための「Legacy」というコンテンツを制作した。私の目標は、Kombat Artsに没頭する学生のキャラクターとその物語を作ることだった。それぞれの部屋は、そのキャラクターが感じていた感情を視覚的に表現したものだ。映画のリリース後、照明について尋ねる多くの電子メールとメッセージが届いたので、これを共有することにした。

「Legacy」でのビジュアルワールドを創造することは、エキサイティングな体験だった。幸いにも、私はこの制作において創造的な試みを多くすることができた。それによって、私のビジョンを実践するためにリスクを取ってみたのだ。そこでまず実験をしてみた。

物語を伝え、感情を聴衆に伝えるにあたり、私はいつも照明のコントロールに魅了されてきた。私は特にハードな照明が好きで、最初はクッキーを使ってテクスチャーパターンを作成する方法を考えた。それから私は小さなメイソンジャーの中の照明でバックライトをかけながら、iPhoneを使って、私の手の写真を撮る実験を始めた。

照明効果としてのメイソンジャー

メイソンジャーは表面に凹凸を持つ瓶だ。これは光を様々な方向に散乱させ、あるいはまた集中させる。私は、これがかなり面白いテクスチャであることを発見した。

瓶を回転させると、光とガラスの間隔が近い側と遠い側で、互いに織り合いながら異なる速度で移動する。瓶が回転するにつれて、近い側が光源を横切ってより速く移動するのに対して、瓶の遠い側は光のビームを反対方向にゆっくりと移動するのだ。言い換えれば、これは光と影の視差を作り出している。

私は監督のSamuel Pollock氏に連絡を取り、このことやそれに関連することについて話した。私たちは、他のガラス瓶も試し、どのような光のテクスチャを作り出すかを見た。そして私たちは、オペレーターがメイソンジャーを簡単に回転できるようにするリグを作ることに決めた。

私たちは、どの瓶が最もうまく機能しているかを調べるため、事前にテストを行った。そして、瓶が光に近いほど、光が広がることが分かった。この方法では、フレネルやパーのような指向性ライトのほうがうまくいくようだ。小さな光源では小さな瓶を使用し、大きな光源では、大きな瓶を使用した。また、黒いテープを瓶に貼りフラグを立てると、瓶の回転と相まってより劇的な影ができた。これは決してハイテクを駆使したものではないが、この方法は実際有用だった。

霧を使用すると、瓶で作られた光に、更に効果を付けることができた。瓶が回転したときに3次元の影ができるのだ。シーンのほとんどは、霧から離れた複数の小さな光源で照らされている。霧により、光が大気にスムーズにブレンドされ、場面全体にわたって互いに溶け合っている。また、光が照らす被写体だけでなく、光が通過する道筋も明るくなっている。

私は、この方法は面白い効果を作り出しただけでなく、映画の映像を創り出すうえで、照明に有機的な要素を与えていると思っている。たとえば、オープニングショットの部屋は、ボクサーが持っている情熱と決意を視覚的に表現したもので、激しく超現実的な美しさを実現する脈動とアニメーションの光となっている。背景やキャラクターの顔にこのライティング効果を使うことにより、私は視覚的な感情を余すところなく伝えることができたと感じている。

結局、私はほとんどすべてのシーンでこの方法を使ってプロジェクトを終えた。場合によって、回転式メイソンジャーは、他の照明器具と一緒に使っている。オープニングシーンでは、テレビの前にフリッカーコントローラーを置いた。懸垂をする小屋の中で、私たちはメイソンジャーを使い、くしゃくしゃにした防寒シートに反射させた。

映画撮影では、照明を工夫して創り出すことは大変重要なことだ。観るものに一定の感情を与えることができるからだ。

若い撮影監督として、私はどのようにビジュアルにドラマを作っていくかいろいろ挑戦してみたいと思っている。 様々なリスクを取るのも必要だろう。困難な立場に身を置くことは、確実に成長の糧となるのだ。

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