DJIは飛行制限空域で安全性を確保するため、これを監視するシステムAeroScopeを発表した。 AeroScopeはドローンとコントローラー間の通信を受信して、DJIのドローンを識別し追跡することができる。今後のドローンの運用について大きな動きと思われるが、間違いなく必要なことだろう。
セキュリティは常に考慮されるべきものだが、危険な空域での監視や制限とプライバシーや自由の確保は、常にバランスを保つ必要がある。
ドローンが安価になり飛躍的に増加しているが、これに対する規制の必要性が叫ばれている。しかし、これらの規制を実施するためには、常に監視している必要がある。 DJI AeroScopeは、これを解決するソリューションだ。
DJI AeroScopeとは?
AeroScopeは誰もが利用できるわけではない。警察や航空局のような認可された当事者だけが使用するように設計されている。 AeroScopeは4月以降2か所の国際空港に設置されており、DJIはその他の地域でもこのシステムのテストを継続している。
AeroScopeは、一定の範囲内にいるドローンの電源を入れると、それを検出する。 即ち、ドローンが飛び立つ前に、その場所と固有の登録番号を知ることができる。登録番号は所有者と関連付けられている。
ドローンが飛行すると、AeroScopeはドローンの高度、速度、方向を追跡し、その位置を地図上にプロットする。すべてはリアルタイムで行われ、インターネットでサーバーが繋がっているわけではない。従って、全てのドローンの飛行を政府のデータベースに自動的に記録するというようなものではない。
ドローンは、業務用途だけでなく個人でも日常的に使用されているので、当局は誰が危険な空域を飛行しているのか、または重大な事故を引き起こす可能性があるかを事前に知りたいと考えています。 DJI AeroScopeは、シンプルで信頼性が高く、価格的にもリーズナブルですので、今すぐ導入が可能です。 (DJI政策及び法務担当副社長Brendan Schulman氏)
AeroScopeは従来の技術上のもので、システムの導入は比較的容易だ。既存のコントローラーの信号を受信するもう一つのデバイスと考えれば、容易に理解できる。
自由とセキュリティ
これは良い方向の動きと言える。全てのニーズや期待に応えることはできないが、現在起こっている問題に対する合理的な解決策だろう。ドローンは年々安価になっており、今や誰もが飛ばせる。最近ケベック州で、ドローンが着陸しようとしている民間航空機に衝突するという事故が報じられている(英語)。DJIによれば(英語)、同社のドローンはデフォルトで120m以上を飛行することはできず、またケベック空港はドローンの規制がされている。 DJIのドローンが関与しているかどうかは定かではないが、AeroScopeのようなシステムがあればドローンの操縦者を識別できただろう。
ドローンの操縦者は、その飛行に関して責任を負っていることを認識すべきだ。さらに重要なのは、ドローンが大きな事故を引き起こす可能性が非常に高いことだ。なお、AeroScope はDJIが今年初めに導入した、いわゆるローカルデータモード時でも検出することができる。
これは矛盾するように思えるが、AeroScopeはインターネットでサーバーとつながっているわけではなく、リアルタイムで動作するため、プライバシーが侵害されることは無い。また、空港など制限された空域の近くを飛行する場合のみ監視される。システムはドローンへの送信信号を受信する能力に基づいているため、操縦者が受信可能範囲にいる場合のみ、検知される。
まとめ
この方針はDJIの正しい判断だと思う。ドローンの使用に関しては、一定の合意が必要だ。誰も監視されたくはないが、同時に、ドローンが衝突する危険性がある状況で飛行機に乗りたくない。
サーバーを使わないのは妥当な判断だろう。DJIは新たにデータスキームを作ろうとはしていないので、サードパーティーメーカーはその技術を簡単に導入でき、既存の製品や将来の製品をDJIが使用するデータスキームに適合させることができる。
リンク: DJI News Room(英語)