DJI Air 2Sレビュー
1インチセンサーで5.4Kの解像度やより広い視野を持つAir 2SはDJIの最新のドローンだ。今回はこのDJIのAir2Sをレビューする。
DJI Air 2S –「Mavic」のネーミングは終了
これが、新しく発表されたDJI Air2Sだ。以前のMini2と同様に(記事はこちら)、DJIはこの製品でも「Mavic」を削除した。これはおそらく、この折りたたみ式デザインがドローンの新しい標準であることを示している。ファントムシリーズの新製品はもう出てこないのかもしれない。
折りたたみ式デザイン、重量、「S」の意味
Air 2Sのデザインは、最近の同社のドローンと似ている。 600グラムをわずかに下回る重量で、Mavic Air 2とほぼ同じ重さ、サイズは同じだ(Mavic Air 2のレビューはこちら)。 DJIによると、Sはsurprising、superior、safe、smart、 satisfyingを表しているとのこと。なお、Air 2Sは、2年半前に発売されたMavic 2 Proと同じように、1インチのセンサーを備えている。
1インチセンサー、5.4K解像度、最大4K/60p
1インチセンサーは、解像度が5.4Kで、Mavic 2Proのセンサーよりも進化している。そして、Mavic 2 Proが最大4K/30pだったのに対し、Air2Sは最大4K/60pとなり、さらに5.4K/30pで撮影できる。 Air2やMavic2 Proと同様に、Air2Sは30分以上の飛行が可能となっている。
プロムービー設定、固定絞り
最近のDJI FPV(レビューはこちら)やMini 2ドローンと比較すると、Air2Sはプロの撮影設定が可能だ。 DJI Flyアプリの右下隅にある「自動」アイコンをタップするだけで、シャッタースピード、ISO、ホワイトバランス、解像度、フレームレートなどを変更できる。
ただし、欠けている大きなことが1つある。それは、絞りの設定で、Mavic 2 Proでは、絞りをf2.8からf11まで変更できる。これにより、飛行中に照明条件が変化しても絞りを調整できる。取り付け可能なNDの濃度は固定されているため、絞りを変更することでシャッタースピードを変更することなく光をコントロールできる。シャッター速度を変更すると動きが不自然になるからだ。 しかしAir 2Sでは、f 2.8で絞りが固定されている。つまり、残念ながら、光の条件が変化するとシャッター速度で調整しなければならない。
画質、画像プロファイル、視野
画質については、1インチのセンサーによりピクセルが大きくでき、Air2の1/2センサーよりもノイズが少なく鮮明な画像が得られることを意味する。もちろん、被写界深度も浅くできる。
非常にコントラストの高い標準の画像プロファイルに加え、Air 2Sはハイダイナミックレンジ撮影用のHLG記録モードと、ポストプロダクション用のD-Logモードも選択できる。 HLGモードとD-Logモードはどちらも10ビットカラーモードで、標準モードのみ8ビットだ。他のDJIドローンと同様に、H.264とH.265が選択できまるが、最高の画質と10ビットカラーが必要な場合は、最大150メガビット/秒のH.265を使用する。
Mavic 2 Proで不満だったのは、28mm相当の視野しかなかったことだ。これは、空撮では十分な視野角でない場合があった。 Air 2Sには22mmレンズが搭載されており、はるかに広い視野が得られる。ちなみに、Air2のFOVは24mmで、Air2Sが勝っている。
Air 2Sを5.4Kで撮影したが、この画像には本当に感銘を受けたと言わざるを得ない。新しいセンサーは、ハイライトとシャドウを非常にうまく撮影できる。また、HLG HDRでも多く撮影したが、Mavic 2ProのHDR画像よりもノイズがはるかに少ないように見えた。HLGは間違いなくこのドローンの有用な画像モードだ。
D-Logでも、Air2Sの映像はMavic2 Proのそれよりも少しシャープに見えるが、アップグレードでシャープネスを無効にできる選択肢を期待したい。
スローモーション品質
Air2Sで湖の上を飛んで1080/120pのスローモーションで水の波紋を撮影したが、このモードはほとんど使用できないことが分かった。クロップされており、不要な効果、エイリアシング、および多くのノイズが含まれている。これは改善の余地が多い。
なお、冒頭で述べたように4K/50p/60pを撮影できるが、4Kでこれより高いフレームレートに切り替えると、クロップされる。
MasterShot機能
MasterShotと呼ばれる新機能が導入された。これは間違いなく主に一般ユーザー向けの機能だ。これは、最近の新しいドローンで見られる自動化されたQuickShot機能の新しいバージョンのようなものだ。 MasterShotsは、経験の浅いユーザーにとって便利で、プロ並みのショットが撮影できる。自動で撮影後、DJI Flyアプリでテーマを選択すると、設定に基づいてビデオが自動的に生成される。繰り返しになるが、プロ用途ではない。しかしソーシャルメディアで多く使われることだろう。
APASとFocusTrack
Air 2Sには、前後上下に障害物を追跡できるセンサーがあり、FocusTrack機能が搭載されている。被写体が一時的に死角になった場合でもフレーム内に留め、かつAPAS 4テクノロジーで障害物を回避し、被写体を自律的に追跡できる。これは、以前にレビューした自律飛行機能を備えたAir2に似ている。 なおFocusTrack機能は5.4Kモードでは機能しないので注意が必要だ。FocusTrack機能を有効にするには4Kモードにする必要がある。これは恐らく、高解像度映像を内部処理する場合の制限によるものだろう。
残念ながら、Air2SにはMavic2 Proにあったサイドセンサーがないため、横向きの飛行はProよりもはるかに危険だ。 2 Proは、2年半前の製品であるため、すべての高度な追跡機能を備えているとは限らないが、すべての側面にセンサーが搭載されているため、多くの点で安全度が高い。
OcuSync 3.0はO3へ
画像伝送に関しては、Air 2Sは、O3と呼ばれているOcuSyncの新しいアップグレードバージョンを使用している。 4つのアンテナを使用すると、理論的には、1080pの画像送信で、最大12kmまで飛行できる。数キロ離れた場所を飛行しても遅延が短いのは驚きだ。画像のドロップアウトも無かった。 Air2とMavic2 Proの接続の違いは感じられたが、他のドローンの接続が悪かったわけではない。
リモーションコントローラーとゴーグルは互換性が無い
Air 2Sは、Mini 2で導入されたものと同じリモコンを使用し、Air2とDJI FPVドローンでも使用されている。これは非常に大きなバッテリーが内蔵されているので、頻繁に充電する必要がない。
コントローラーについて言えば、残念ながら先月DJI FPVで発売された新しく導入されたモーションコントローラーは、今のところAir2Sでは動作しない。また、DJIゴーグルv2は新しいAir2Sと互換性がない。
三脚モードとシネモード
飛行速度に関しては、ノーマルモード、すべての障害物回避が無効になる超高速スポーツモード、およびより「シネマティック」な動きのシネモードが選択できる。しかし、フィリップブルーム氏が指摘しているが、シネモードは、たとえばMavic 2Proで以前は三脚モードと呼ばれていたものよりもはるかに高速だ。正確には、約5倍高速だ。つまり、以前は非常に簡単できたゆっくりとした複雑な動きは非常に困難だ。シネモードでAir2Sを使用して非常にゆっくりと飛行するには、ジョイスティックをわずかに動かす必要があるが、これは非常に難しい。設定でシネモードの速度を調整できるようにして欲しい。
写真機能
写真機能に関しては、Air 2Sは、20メガピクセルの解像度でシングルショット、連写、オートブラケットモード、および時限モードで撮影できる。また、Air 2のように、HDR写真と低照度時用のHyperlightを含むSmartPhotoモードもある。DNG RAW写真の撮影も可能だ。これは、もちろん、ポストプロダクションで最高品質の写真を作成できる。そしてもちろん、HDRパノラマやハイパーラプスなどの機能もある。
まとめ
それではAir2SはAir2よりも買う価値があるだろうか?筆者の答えはイエスだ。約150ユーロの追加で、さらに高度な自律飛行機能を備え、より優れた大型センサーを持つドローンを手に入れることができる。
しかし、Mavic 2ProとAir2Sを比較する場合、決定は少し難しくなる。2Proは1インチのセンサーを持つが、4K/30p以上を撮影することはできない。超低速三脚モード、横向きセンサー、D-Logのより有機的なルック、コントラストの低い画像で、ポストプロダクションの柔軟性が向上する。一方、Air 2Sは、最新のトランスミッションおよびイメージングテクノロジーを備えたはるかに新しいドローンだが、プロ撮影の細部が少し物足りない。しかし、500ユーロの価格差を考えると、やはりAir 2Sを選択することになるだろう。