DJIが画期的なドローンDJI Inspire2を発表した。5K RAWカメラを搭載し、障害物自動回避、改良されたバッテリー、IMU、そしてApple ProSesでの記録も可能だ。ドローンによる空撮も次期レベルに入ったと言える。
Inspire 2
昨年は多くのドローンをテストし、映像制作におけるドローンの可能性を見てきた。なかでもDJI Inspire1のX5R RAWを長く使ってきたが(以前の記事はこちら)、Inspire2は更なる可能性を感じさせる。
この記事は単なる新製品のアナウンスに留めず、もう少し掘り下げて解説したい。Inspire2は、Inspire1以上に革命的ですらある。
パワーの強化
Inspire2は最高速108Km/hでフライトできるが、Inspire1が65Km/hだったので、ほぼ倍のスピードが出ることになる。速度が速いと、高速道路のクルマなどを撮るのが容易になる。また上下の移動も早くできる。
新しいバッテリーは約27分のフライトが可能で、これもInspire1の倍だ。更にInspire2ではバッテリーの安全機能が追加された。これは、万一バッテリーにトラブルが発生した場合、もう一つのバッテリーで帰還するというものだ。これは安全性の面からはもちろんだが、国や地域によりこの機能を備えていることが条件とされている場合は、大変重要である。
これに加え、-20Cといった極寒の条件下で飛ばす場合は、バッテリーの性能低下を防止するため、バッテリーを温める機能も備える。
更に、オプションのプロペラが用意されており、空気が薄い5Kmの上空にも早く達することができる。
ナビゲーションの進化
Inspire2の前部にはもう一つのカメラが設置されている。これによりドローンの操縦者は、メインカメラのオペレーターを気にすることなく、前だけを見て操縦できる。
Inspire2はセンサーを前、下、上に備えており、障害物を避けることができる他、赤外線センサーも加えて屋内での高精度なポジショニングも可能。
5.2Kの新RAWカメラを搭載
Inspire1に搭載されていたZenmuseX3カメラは基本的な機能を持つカメラで、同社のMavicや4Kが撮影できるスマートフォンと同等の画質だった。前に行ったテストの記事も参考にして欲しい。Inspire2のカメラは解像度は5.2Kで、次世代になったと言ってよい。
Zenmuse X4S
Zenmuse X4Sは、Inspire2に搭載される標準カメラで、1インチ、20メガピクセルのイメージャーを搭載し、ダイナミックレンジは11.6stopで、視野は24mmレンズに相当する。
Zenmuse X5S
ZenmuseX5Sはオプションで用意されているカメラ。20.8メガピクセルのマイクロフォーサーズセンサーを持ち、ダイナミックレンジは12.8stop。ZenmuseX5Sには10個の交換レンズが用意されている。
将来的にはOSMOにも使えるようになるだろう。いずれはZenmuseX5Sが従来のシネマカメラを置き換えるのではないだろうか。というのも、以前ZenmuseX5Rと業務用のシネマカメラの比較をしたが、小さいにも関わらず極めて良い結果だった。もしZenmuseX5Sが更に改良されているなら、かなり興味深いことになるだろう。もしOSMOにZenmuseX5Sが搭載されたら、地上での撮影において、極めて強力なカメラになりうる。
Inspire2は新しい伝送システムを搭載するが、これにより、1080/50iで伝送でき、更に720p/60pでライブストリーミングすることができる。
Apple PreResとRAWで記録
ここまで書いてきたが、本当に理想的なカメラの仕様を書いているようで、これが現実の製品とは信じがたいくらいだ。しかし、現実である。Adove CinemaDNG(4.2Gbps)のRAW記録だけでばく、ProRes422HQ、ProRes444XQ、H264、H265でも記録できる。
CineCore2.0と呼ばれる映像処理システムがドローンに組み込まれており、これにより、データをカメラでは無く、ドローン内部に蓄積する。新しくなったCINESSD SSDドライブにより、高画質の圧縮フォーマットで記録される。
高輝度のスクリーン
DJIはCrystalskyという専用の高輝度IPSモニターも投入した。5.5インチと7.85インチのスクリーンを持ち、Max1000cd/m2と2000 cd/m2の明るさを実現している。スクリーンには2個のSDカードスロットがあり、プロキシを記録することができる。-20℃~40℃で使用可能。
インテリジェントフライトモード
Inspire2は更なるインテリジェントフライトモードが可能となっている。これはドローンが被写体をフォローして飛行したり、スクリーンでタップしたところにドローンを静止させる機能。障害物があれば自動で回避することもできる。
ActiveTrackは被写体の上空を旋回し、人や動物を感知しフォローする機能。
Inspire2はまさに理想に近づいたドローンと言える。これによりほとんどの空撮に対応できるだろうし、ジンバルに取り付ければ、地上での撮影も十分期待できる。
DJI Inspire2のWebサイトはこちら。