DJI Mavic Proレビュー — Phantom4、Inspire 1との画質比較
2週間前、コンパクトドローン業界に大きな衝撃が走った。DJIのMavic Proだ。4本のアームとプロペラをコンパクトに畳み込み、そのまま普通のバッグに入れることができるという、まさに第2世代のドローン。早速Mavic Proを手に入れ、DJIのPhantom 4、そしてInspire 1との比較をしてみた。今回は主に画質の比較とした。
Mavic Proレビュー(画質)
既にWeb上では多くのMavic Proで撮影した映像が投稿されているが、幾つかの投稿では、Mavic Proの画質は従来の同社のドローンに比べて解像感が低いと評価されている。Phantom 4やInspire 1といったドローンでも、多少なりとも4K画質の制限はあるので、Mavic Proでもそうした画質評価は十分考えられる。そこで早速Mavic Proを入手して評価してみた。
まず分かったことは、Mavic Proは同社のZenmuseX5やX5R、あるいはOsmoやInspire 1にも装備されている“タップオートフォーカス”という機能を持っており、これを使わないと、当然映像は解像感が十分でないものとなる。解像度不足としている多くのレビューではこれを使っていないのではないだろうか。
タップオートフォーカスを使用してMavic Proの映像をPhantom 4、およびInspire 1の映像と比較した場合、それらの間に大きな違いはないことが分かった。
HD仕上げなら、Mavic Proの画質は十分使えると言ってよいだろう。Cinema5Dで製作したMavic Pro用のinstaLUTのようなLUTを使えば、カラーグレーディングも容易になる。一方で、これらのドローンの映像は、一般のカメラや Inspire 1 RAWの映像に比べると、かなり見劣りがするのも確かではある。(以前の記事はこちら)
Mavic Proのデータレートは60Mbpsなので致し方ないが、本格的な映像制作には不満が残るレベルだろう。
しかし、大きなカメラを乗せるドローンは取り扱いが大変だし、小さいドローンでしか撮れないような映像では、Mavic Proは大変便利だ。特にバジェットが少ない制作現場やちょっとした空撮に気軽に使用できることから、今後の映像制作に与える影響は大きいだろう。
Mavic Proの優位点と問題点
以下にMavic Proの優位点と問題点をまとめてみた。
優位点
- 超小型軽量
- 機能的でスマートフォンが収納できるリモコン
- フライト時間は最大27分
- 高い安定性と簡単な操縦
- インテリジェントフライトモードとセンサーによる周辺環境認識
- Phantom 4やInspire 1に匹敵する4K映像
- 最高速度65Km
問題点
- 以前のモデルと同じ程度の低いビットレート
- 前モデル同様、狭いダイナミックレンジ
- 上方向のアングルに制限がある
- タップオートフォーカスがエラーになる
総じて、Mavic Proはベストコンパクトドローンであることは確かだろう。これだけの機能を持ちながら価格も手頃だ。もう1クラス上の画質を望むならInspire1 RAWをお勧めするが、そうでなければ、Mavic Proは十分満足できるドローンである。
テストに使用したMavic Pro用のLUTはこちらからダウンロード可能。