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DJI OSMO RAWレビュー - Zenmuse X5R - ファーストインプレッション

OSMO RAW(Zenmuse X5R)を友人の結婚式で使って見た。最初はHDで、後半はUHDで撮っているが、全てのショットをRAWで収録している。スタンダードピクチャーセッティングを使用し、編集時にProRes4444に変換している。編集時に色の変更はしていないのでファイルをダウンロードして、自分でやってみて欲しい。

はじめに

今回OSMOを初めて使ったので、幾つかの失敗をしてしまった。道が分からなくて遅れてしまい、到着したのは新郎新婦入場とほぼ同時だった。それで、とりもなおさずOSMOをひっつかみ、撮り始めた。このとき、オートエクスポージャーモードのまま撮ってしまったのだ。iPhoneの画面上ではそれとは気づかず、最初にレビューして初めて気が付いた。よって、高速シャッターの映像になってしまったことをお許し願いたい。

ということで、晴天下で撮る場合などではNDフィルターは必須だ。高速シャッターになってしまうので、映像がぎくしゃくしてしまう。

Osmo Raw smartphone

操作性

しかしOSMOはやはり使える機材だ。コンパクトなボディにすごい技術が凝縮されている。ボタンの配置も適切で、使い勝手も良い。DJI Goアプリの使い勝手も悪くない。

OSMO自身はモニタースクリーンを持っていない。スマホをWi-Fiで接続してモニター代わりにするのだ。OSMOのコントロールはDJI Goというアプリをスマホにダウンロードして行う。Wi-Fi接続ながら、タイムラグはほんのわずかしかない。

DJI Goも分かりやすい。もっとも、幾つかの点で不満はある。オートフォーカスはタップしたところにフォーカスする機能があるが、一度フォーカスしてもそこをフォーカスし続けることができない場合がある。マニュアルフォーカスでは、バーチャルなフォーカスリングでコントロールするが、こちらの方が扱いやすい。ただ、マクロから無限遠のような長いフォーカシングは一回で行き切らない。様々なカメラセッティングがメニューでできるが、一般的な日本のメーカーのカメラメニューより直観的だ。

Osmo raw

RAW記録

OSMOのRAWバージョンは、RAWレコーダーを装着する点で従来のX5と異なっている。専用のDJI SSDに記録するのだが、これがけっこう高額だ。(512GBで税込194,500円) 512GB SSDにRAW記録する場合、4KあるいはUHDで30分、HDで4時間記録できる。冒頭のビデオでは、結婚式が何時間くらいなのか分からなかったので、最初はHDで、後半はUHDで収録した。

ファンノイズ

RAW記録の場合、大きな問題がある。それはファンノイズが半端ではないということ。ノイズが記録されてしまうので、音声は使い物にならないことと、そのノイズが周囲に迷惑をかけてしまうことだ。参列者から2mほど離れて歩きながら撮影していたのだが、多くの人がOSMOのノイズが気になって振り返るのだ。これは大変マズい。

osmo raw iphone

スマホからの操作性

高解像度のスマホからタッチスクリーンでOSMOをコントロールするというアイデアは理に適っている。。なお、撮影中に電話がかかってきたり、お知らせメッセージが入ったりすると、撮影が中断する。これを回避するには、機内モードにし、再度Wi-Fiモードにすればよい。アンドロイドのスマートフォンでも、これは可能だ。

もう一つの問題は、こちらの方が大きい問題かもしれないが、スマホのバッテリーもけっこう早く消費してしまうこと。外部バッテリーから給電することもできるが、これもどこかに取り付けなければならず、面倒だ。

消費電力

ただ、今回はスマートフォンよりもOSMOのバッテリーのほうが問題だった。OSMOのバッテリーを1個しか持っていなかったからだ。20~30分撮ると、1時間~1.5時間充電しなければならない。DJIから大き目のバッテリーが発売されているが、これはポケットに入れたバッテリーからOSMOにケーブルでつながなければならない。今回はソニーのα7SIIも持ってきており、カメラを交換する時などひどく煩わしい。

スタビライザー

OSMOのスタビライザーはかなり良くできている。カメラとジンバルが別の場合、バランスを取るのが大変な場合があるが、OSMOは一体になっているのでこの問題は無い。また、OSMOのジョイスティックも意外に使えるし、トリガーボタンの操作で被写体の方向をキープしたりすることができる。

レンズ

X5Rはマイクロフォーサーズのレンズ交換ができるが、今回は同梱のf1.7/15mmレンズを使用した。広角で浅い被写界深度が得られるレンズだ。バーチャルリングによるフォーカシングは簡単ではなかったし、オートフォーカスもいまひとつ追随してくれなかったが、このレンズはワイドでありながら歪曲を最小限に抑えている。マイクロフォーサーズの泣き所のひとつだが、センサーサイズの小ささゆえ、被写界深度の浅いワイドレンズを見つけるのに苦労するのだ。

記録

X5RはRAWレコーダーに加え、従来のSDカードスロットも持っている。これによりプロキシを同時に記録することができる。DJI Goアプリはプレビュー用のイメージを作ることができるが、プロキシのほうが幾分簡単だ。RAWファイルを直接再生するのは、やはり簡単なことではない。

DNG RAWファイルをMacにインジェストするには、同梱のCineLightアプリを使う。このアプリで出力も可能だ。今回はブラックマジックデザインのDaVinci Resolve 12.5 でProRes4444に変換している。

4K RAWの映像は素晴らしい。期待通り、シャドウ部のディテールも出ているし、ハイライト部も飛んでいない。別の後処理もやってみたいと思っているが、こちらも期待したい。DJIはX5R搭載のドローンも計画しているが、もっと重量があるハイエンドの空撮機材とあまり変わらない映像を期待できるだろう。

RAWで撮った映像素材の後処理は、時間と記録メディアを大量に消費するので、OSMO RAWがいつも有用かと言うと、そうではない。しかし、最良の画質が望まれる場合や時間が十分に取れる場合は、やはり有用だ。いずれにしても高画質のRAW記録と、マイクロSDカードに収録できる高圧縮記録が選択できるのはありがたい。近いうちにProResでの記録も可能になるだろう。

Osmo raw manual focus

まとめ

Zenmuse X5RとOSMO RAWによって、今までにない映像が撮れるようになる。DJIは、この分野では、かなり独走的なファーストランナーになってきた気がする。

今回使ってみて、X5RのRAWクオリティーは、空撮で重宝されるのではないかと思った。恐らくハンドヘルドのジンバルマーケットを脅かすものではないだろう。なぜなら、ファンノイズが酷くて、音声収録が現実的ではないからだ。例えば歩きながらのインタビューなどは不可能だろう。

バッテリーの持ちも問題だ。RAWで4K/UHDを収録すると20分しか持たないので、1日中収録するような場合、非現実的な数のバッテリーが必要になる。

このような欠点もあるが、DJI OSMO RAW X5Rはジンバルスタビライザーマーケットの方向性を示している。RAWの持つクオリティーと使いやすさの点で、ハイエンドプロダクションにおいても導入が進むのではないだろうか。

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