DJIはドローンの先駆者であり、マーケットリーダーだ。しかしDJI Phantom 4 Proはその “Pro”レベルにはふさわしい性能を持っているだろうか?今回はこのPhantom 4 Proを数週間使ってみて、徹底レビューした。
私は2013年1月、DJI Phantom 1発売直後に使用したことがある。当時は、振動を押さえ込むことが難しく、プロフェッショナルな映像を撮影するのはまだまだ現実的ではなかった。また、飛行時間はわずか10分で、それを実現するためにはサードパーティのガジェットが必要だった。しかし、自分はかなりハマってしまい、いくつかのプロジェクトで映像を利用した。
そして4年が過ぎ、状況は大きく進化した。
DJI Phantom 4 Proは飛ぶことの喜びを与えてくれ、私のようなDPでありながらドローンオペレーターのような人間に向けて設計されている。私はプロのドローンパイロットになるつもりはないが、専任のドローンオペレーターがいないプロダクションでは、 DJI Phantom 4 Proは最適なソリューションだろう。
もう少し投資できるプロの空撮事業者なら、DJI Inspire 2以外最適なものはないだろう。こちらでInspire 2のレビュー記事を読むことができる。このドローンは最強のモデルだが、ここではもう少し安価なPhantom 4 Proについてレビューしてみよう。
DJI Phantom 4 Proは持ち運び用に発泡スチロール製のケースに入っている。他の機器と一緒にペリカンのケースに収納できる。パッケージングに関しては、これで特に問題はないだろう。Phantom 4 Pro本体を飛行機内に持ち込む場合は、様々な種類のサードパーティのハードケースがオンラインで入手できる。ただし、リチウムイオンバッテリーは機内持ち込みできないので注意して欲しい。
ドローン本体は、プロペラを取り外してケースに収納する。プロペラは簡単に取り外すことができる。ファントム4シリーズのプロペラは安全に作られており、見たところ3代目よりも大幅に改善されているようだ。
キャリブレーションはここ数年で劇的に改善されており、モニターに表示されている画像に対応するドローンを近くに置くだけで良い。数世代前の製品では、円を描くように回らなければならなかった。下は当時のキャリブレーションのやり方を紹介したビデオで、今となっては懐かしい光景だ。
以前にDJIなどのドローンを操作したことがあれば、操作は簡単だ。もし初心者なら、「飛行制限」を「初心者モード」に設定することをお勧めする。これによりドローンの速度が制限され、自分の位置から10m弱以上遠くには行かなくなる。これは早く経験を積むのに最適だ。私は最初の飛行でこのモードを使用したがすぐに慣れ、次回の飛行ではそれをオフにして次のステップに進むことができた。
Proモデルでは障害物感知が強化され、フロントセンサーは最大30m程度離れた障害物を検出できるようになり、機体両側に付いている赤外線センサーは最大7mの障害物を検出することができる。進化した障害物検知機能を使ってフライトをより安全にすることができるが、更に近づいて撮影したい場合もある。このような場合、“Narrow Sensing”モードにすると、対象物に接近することができる。歴代のPhantomの中で、Phantom 4は最も安全なフライトが可能だ。
さて、Phantom 4がプロユースに耐える理由は何だろうか?これは、24mm(35mm換算)のレンズと、初代の約4倍の大きさである1インチセンサーを搭載した新しいカメラによるところが大きい。カメラの映像は、H.264やH.265で記録される。
このカメラはまたより高いISO設定も可能としているが、完璧な低照度撮影ができるところまでは行ってない。 Phantom 4 ProではPhantom 4同様、D-Logも使用可能で、グレーディングの幅を広げることができる。(下の画像参照)。
Phantom 4 Proには、AR Route、TapFly Backward、TapFly Free in Tap Fly mode、Profile、Circle、Spotlight、ActiveTrack、Draw、Gestureのフライトモードが用意されている。ほとんどは自動で飛行し、うまく動作するが、ActiveTrackモードだけは目標を見失うことが多いようだ。
DJI Phantom 4 Proは、改良されたデュアルライトブリッジシステムを採用している。これは、ホームポジションから最大約7Km離れた地点からビデオ伝送ができる機能だ。私は7Kmも遠くに飛ばしてテストする勇気はなかったが、新しいライトブリッジシステムは、以前のモデルよりも安定したビデオ伝送ができる。稀に映像が乱れることがあるが、木などの障害物がある場合に起こるようだ。
1080pモニターがリモコンにビルトインされている DJI Phantom 4 Pro +をテストしたが、フードを付けなくても直射日光の下で飛行できるほど明るい画面だった。 “+”はモニターを含むパッケージ製品に与えられる、DJIのネーミングだ。内蔵のモニターを使うと、スマートフォンを使用するよりも安全にモニターできるだろう。ビルトインモニターが付くモデルは、$ 1499のPhantom 4 Proベースモデルより$ 300高価になる。これは付ける価値があるが、AppleのiPad Mini 4を既に持っているなら、とりあえず必要無いい。
何回かフライトをした後、電源を入れると、その度にジンバルが上下に動くという問題を見つけた。数分悩んだ末、ジンバルがケーブルを巻き込んでいて、それを修正するための動きだったことが判明した。ケーブルを元に戻すと、この問題は解消した。
バッテリーに関しては、Proはnon-Proバージョンと同じバッテリーを使用し、標準の荷重で実際に約26分の飛行が可能だった。天気が良く風がなければ、公表されている飛行時間の30分近くになるかもしれない。
DJI Phantom 4 Proのバッテリーがコンパートメントから外れなくなってしまったが、プラスチック製のカメラガードがバッテリーを外すのに役立つこともわかった(上の画像参照)。こちらのビデオは、Phantom 4のベースモデルで同じ問題に遭遇したオーナーのものだ。これはPhantomの機体自体の問題ではなく、バッテリー側の問題だ。他のバッテリーではこの問題は発生しなかった。
ミニSDカードは、誤って挿入すると(上記の画像を参照)、簡単に詰まってしまう傾向がある。感覚的にロゴを上にしてSDカードを挿入してしまうので、これは注意する必要があるだろう。
寒い時期にタホ湖で飛ばしたからだろうか、ミニSDカードに記録されたファイルのうち2つが破損していた。フォーラムを検索してDJIFIXという名のプログラムを発見、これによりPremiereで使用できるように修復する事ができた。これはサードパーティのソリューションであり、DJIの承認を受けていないので、自己責任での対策となる。おそらく、低温のためファイルが壊れたのだろう。 その他の問題も発生していたかもしれないが、その後のフライトではSanDiskブランドのミニSDに交換した。 Phantom 4 Proの定格は0°〜40°Cとなっている。
Phantomシリーズは空撮に最も有用なドローンだ。建物のショットなどもうまく撮影でき、Phantom 4 Proでもそれは変わらない。ジンバルは、カメラがミッドショットでチルトしていているときは十分補正しきれていない。このようなショットでは、Inspireシリーズに頼る必要があるだろう。被写体の回りを旋回するショットでは、Circleモードを選択することをお勧めする。
Phantom 4 Proは、このクラスのドローンとしてはよくできていると言える。手軽に空撮するには、適したドローンだ。 しかしPhantomシリーズをInspireシリーズのようにもっと大きく、より高価なドローンにしていくのは得策ではない。このサイズとセットアップの容易さがPhantomシリーズのアドバンテージであり、このクラスでは右に出るものはないだろう。
主な仕様
- 最大解像度:60fps / 100Mbpsのビットレートで4K(4096×2160)
- H.264またはH.265圧縮
- 1インチセンサー20メガピクセルのカメラ
- DJI Lightbridge(4.3マイルの範囲)によるビデオ伝送
- D-Logによる高ダイナミックレンジ
- メカニカルシャッターがフォーカルプレーン現象を低減
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