AppleはFinal Cut Pro X 10.4.4の無料アップデートをリリースした。frame.io、Shutterstock、CatDVなどのサードパーティーによりワークフローを拡張したほか、ノイズリダクション機能やその他の新機能を追加している。
筆者はcinema5Dチームの中でFinal Cut Pro Xを使用する、数少ないユーザーの1人だ。Final Cut Pro Xは、数年前から徐々に有用なNLEになってきたが、プロフェッショナル市場に対応するというAppleの長期的な計画にはまだ懐疑的だ。しかしFinal Cut Pro Xは改善を重ねている。
Final Cut Pro X 10.4.4
今回リリースされたアップデートは比較的小規模だが、ワークフローの効率をさらに最適化し、操作性も向上している。
ワークフローの改善
まず、Final Cut Pro Xに直接統合されるサードパーティーのワークフロー拡張機能を公開した。すなわち、別のアプリやウェブサイトに移動する必要のある操作を、アプリケーション内から直接行うことができるようになった。また他のサードパーティの開発者のためにSDKを提供している。
frame.io:10.4.4ではframe.ioを導入し、編集者がクライアントや共同編集者と作業を共有できるようにした。例えばビデオの任意の部分にコメントを追加することができる。筆者は数年前からクライアントのレビューを行っているが、このような機能は特に有用であり、今や必須の機能といえる。今までのようにタイムコードリストを送信するよりもはるかに効率的だ。また、レビュープロセスでエラーが非常に少なくなる。 Final Cut Pro Xにframe.ioを統合すると、タイムライン上でコメントをフレーム精度で見ることができるのだ。
Shutterstock:Shutterstock:Shutterstock:Shutterstockのようなストック映像サービスを使う場合、ウォーターマーク入りのプロキシをダウンロードして、使えるかどうかを確認するのは非常に手間がかかる。 このようなプロセスを統合すると非常に便利になり、ストック映像が使いやすくなる。尺や前後のつながりを、いろいろなクリップで確認するのが非常に楽になる。他の主要なストック映像会社もFCPXに統合することを期待したい。
CatDV:CatDVは、コンテンツライブラリのアーカイブ、タグ付け、およびそのプロセスを管理するアセットマネージメントシステムだ。FCPXへの直接接続することにより、CatDVアーカイブでコンテンツを見つけて編集に使用することが非常に効率的かつ高速にできるようになる。
その他の機能
ワークフローの拡張に加え、Appleはアプリケーションにいくつかの新しい機能を追加した。
その一つがノイズリダクション機能で、 Neat Video が比較的高価だったり、DaVinci Resolve のものが必ずしも使いやすいとは言えないことから期待できるが、FCPXのノイズリダクションが他のノイズリダクションプラグインの品質に比べてどうなのかはまだはっきりしない。
Comparison Viewerでは、クリップを直接並べて表示でき、カラーマッチングやグレーディングを簡単に行うことができる。
新しいバッチツールもFinal Cut Pro Xに用意された。複数のクリップを選択し、それらをまとめてマスターファイルにしたり、ファイル圧縮してエクスポートすることができる。
“Tiny Planet”エフェクトは、360°映像のアプリで、今回FCPXに組み込まれた。これにより360°ビデオを 編集することができるようになった 。
Final Cut Pro 10.4.4のアップデートは無料でダウインロードできる。
CompressorとMotionのアップデート
AppleのスタンドアロンアプリケーションであるCompressorとMotionもアップデートされている。
スタンドアローンのエンコーダ「Compressor」は、AdobeのMedia Encoderよりもはるかに高速だが、今回64ビットエンジンを使用できるようになった。 もちろん従来の32ビットのファイル形式でも動作する。また、ビデオに字幕を書き込むことができるようになり、業界標準であるSRT字幕ファイルもサポートされている。
コンプレッサーのアップデートは既存のユーザーには無料で、アプリを購入する場合は50ドルとなっている。
Motionでは、カラーカーブ、カラーホイール、カスタムLUT、色相/彩度カーブなど、一連のカラーグレーディングツールを使用できる。 Final Cut Pro Xには既に同様のカラーコレクション機能があるが、これにより、必要に応じてモーショングラフィックスに同じ変更を適用できるようになった。また、FCPXのプラネットフィルターと、ビデオや写真をイラストに変換するエフェクトも追加されている。
Motionのアップデートは既存のユーザーは無料で、新たに購入する場合はMac App Storeで50ドルとなっている。