ディレクターを雇うというのは、写真であっても、テレビであっても、何にしても頭の痛いことだ。プロデューサーなら、皆そう言うだろう。リスクを避けるため、雇わないで、知り合いのツテに頼ることが慣習になっている。面接をする際、最適のDP(Director of Photography:撮影監督)を見つける5つの質問を伝授しよう。
人を雇うというのはエンターテインメントの世界でも一つの賭けだ。応募者は来るが、皆が十分な経験を持っているわけではない。時には実力以上に自分を見せてしまう人もいる。プロデューサーは皆、「どこでこんなぼんくらを見つけてきたんだ!」と言われたくないのだ。
応募してきたDPに、撮影の才能とチームとの協調性がどれほどあるかを見極めるのは難しい。最近では、コンテンツの内容が多岐にわたるから尚更だ。ドキュメンタリーやリアリティーを追ってきたDPに長編映画を撮れと言っても、それは無理な相談だ。しかし、短い期間で撮る vérité スタイル(ヴェリテ:フランス語。ドキュメンタリー風の映画製作手法)のようなお手軽なものならどうだろうか? 小さな規模のクルーで、各地を飛び回るような撮影には適した人材かもしれない。
DPを探すとき、ツテ頼みの慣習があるため、彼らはいつまでたっても小さな撮影プロジェクトを繰り返す羽目になる。これらは主にドキュメンタリーやテレビ番組に多い。例えばNetflixのChef’s Table を見てみよう。このような番組のDPは、決してドラマ性のものには走らない。作品を見、照明を見て、構成を観察すれば、大体のことが分かる。もし、視聴者に訴える手法が自分と同じようなら、良い候補と言えるだろう。
ありがたいことに、 Production Beastや StaffMeUp といったツールで、オンラインで才能のあるDPを探すことができるし、組合も人材を用意している。しかし、適しない候補者を除外するにはどうしたら良いだろうか? それでは次に、面接のやり方を考えてみよう。
DPを雇う面接でするべき5つの質問
1.評価や批判をどの程度重視しますか?
どのような方面の仕事でも、評価や批判を受けるのは楽しいことではないが、DPでは特にそうだ。実際に仕事を進める上で、各部署はプロとして評価や批判を受け止めなければならない。最も必要なパーソナリティーはフィードバックを受け、それを参考に変更を恐れず、こだわりを捨てて迅速に行動できるか、だ。
2.照明が使えない場合どうしますか?
皆ライティングについてはいろいろ試しているので、その経験を語るだけになってしまわないように。これは真の問題解決についての質問なのだ。ここで見るべきは、彼らのリーダーシップやその場の収め方について語れるか、である。
3.どのようなプロジェクトを撮りたいですか?
彼らに任せるプロジェクトが、彼らの直近5年くらいの実績や、あるいは彼らの撮りたいものにどれほど近いかの指標になる。人は一般的にゴールを決めてその方向に学習したり自分を高めたりするが、他の分野には消極的な傾向がある。アクション系のDPを探しいるのに、彼の答えが、「昆虫の生態を撮りたい」みたいなものだったら、このDPは適していない判断材料になるのは言うまでもない。
4.このプロジェクトに参加したい理由は何ですか?
本気で撮ってみたいと思って応募してくるDPなら、このプロジェクトについて多少は調べているはずで、彼の考えも持っているはずだ。現場に来て初めて考え、思いつきで指示を出すのは、G&E部門(Grip and Electric departments: 北米では撮影機材の担当部門のこと)へのモラル欠落であるし、折角セットアップした大きな照明器具を、またやり直すことになる。プランナーを雇うのだという感覚が必要だ。
5.このプロジェクトから何を学びたいですか?
この質問は、直接プロジェクトに関係するものではないので、彼らにとっても、こちらにとっても、気が楽だ。自分の場合も、スキルを磨こうとしたし、今まで自分の経験に足りなかったところを補おうとした。ただ、もしDPが何か試してみたいことがある場合、例えば、監督はシンプルにしたいが、DPは派手にしたいといった場面で、うまく収めていくことも必要になってくる。
はっきりしていることは、適した候補を見つける最も簡単な方法は、自分の求めるものに彼らの専門や経験を照らし合わせてみることだ。DiscoveryチャンネルのDeadliest Catch の人選をするような場合は、恐らく海での撮影経験豊富なDPと会うことになるだろう。しかし、自分のプロジェクトにドンピシャの候補に巡り合える可能性はほぼ皆無だ。いずれにしても、DPを選ぶのは賭けのようなものだ。そこは覚悟して最適のDPを選んでほしい。