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Frame.ioレビュー - ワークフローを効率化

Frame.ioレビュー - ワークフローを効率化

Frame.ioはチームでポストプロダクション業務を共有するためのプラットフォームだが、筆者はしばらく使っていなかった。チーム全員にまったく新しいプラットフォームを習得させる価値があるか疑問だったからだ。 Frame.ioは、昨年NABで注目を集め、筆者も興味があった。そこで筆者は制作パートナー(Rin Ehlers Sheldon)と同社のデモを見てその効果を知ることになった。Frame.ioが各方面からアワードを受賞したのもうなずける。

A few stills arranged in the most common folder view you see in Frame.io. Note that both RAW .CR2 stills and .jpegs are present here. There are also a few images marked with “Needs Review” to avoid ambiguity.

筆者の会社では巨大なワークフローが頭痛のタネだった。 そこでNAB 2018で手頃な価格でこの問題が解決できる製品を探した。目前にはドキュメンタリーシリーズの6時間のエピソードとデジタルシリーズの12のエピソードがあり、どちらも8Kで撮影したものだ。そして何よりも、チームと連絡を取り合う方法が必要だった。6人の編集者と、多くの関係者との調整が必要だったのだ。 そして見つけたのがFrame.ioだった。Frame.ioはアップロードの退屈さや作業の非効率性にうんざりしていたポストプロダクションのプロによって設計されたものだ。彼らは、メモやコンテンツを共有する最適な方法を完成させ、それは私たちが悩んでいる問題に対する的確な解決策だったのだ。

Frame.ioとは?

Frame.ioは、「ビデオのレビューとコラボレーションを解決する」ことを目的に作られたソフトウエアだ。これは、エクスポートされたビデオドラフトや画像などに、複数のユーザーがアクセスできるもの。ユーザーは、同じプロジェクトの異なるエクスポートがある場合、バージョン履歴を追跡することができる。バージョンを比較するために並べて再生することも可能だ。あらゆる種類のメディアファイルをフォルダ構造で整理できる。PCでもMacでも対応でき、パソコンの一般的な知識があれば簡単に使える。 Frame.ioは、ブラウザ用にビデオをHTML 5にエンコードするが、ダウンロード用にはもちろんオリジナルのファイルが保存されている。 他のオンラインビデオサービスでは、一度ピクセル化されると、圧縮によりカラーグレード情報が壊れることがある。また最も魅力的な利点は、独自のアップロード技術にある。

Frame.ioのアップローダはアップロードするファイルを20 MBの塊にスライスして5つのバッチに同時にアップロードする。その結果、パソコンがインターネットにアクセスできなくなったり、ドライブが外れたり、ラップトップの電源が切れても、一時停止してその時点から再開することができる。これは非常に有用で、使ってみたものだけが分かる機能だ。 4K以上の解像度で作業しているユーザーや、離れたところからコンテンツをアップロードしなければならないユーザーにとっては、これがどれほどありがたいか分かるだろう。

Frame.io plugin window living within Adobe Premiere Pro CC 2019.

使い方

Frame.ioはすぐに使える。アカウントを作成し、プランを選択し、プロジェクトを作成したら、チームメンバーに共同作業を依頼する。購入するプランのレベルにより、チームメンバーの数が異なる。プロジェクトの更新時にメールを送信するかどうか、メモを書いたときに通知を受け取るかどうか、コンテンツのアップロード/ダウンロードが許可されているかどうかなども選択できる。

ユーザーはNLEなどのアプリと同様に、スマートフォンやタブレット用のアプリをダウンロードする。筆者の会社はPremiere CCユーザーなので、Frame.ioのための無料のPremiereプラグインをインストールした。プラグインをインストールしたら、Window  – > Extensions  – > Frame.ioの順に進むと、現在のプロジェクトが表示された状態で新しいFrame.ioウィンドウがポップアップ表示される(上の画像を参照)。これにより、モニターフォルダを設定し時間を節約できる。 Frame.ioはまた、macOS用のプラグインも提供しており、Final Cut X、Adobe AE、Avid Composer、Slack、Vimeo、Watch Foldersなどにも対応している。

Things start getting a little expensive when you move above the base plans.

メモの共有

The timecode based discussion feature in action.

従来のメモのやり取りでは作業を非効率化する場合がある。プロデューサーやディレクターは編集者の時間を無視して、何が採用され何が採用されなかったか、などの問い合わせを平気でしてくる。これらのメールは煩わしく、編集者のペースを中断することになる。Frame.ioを使うことにより、これらのやり取りはチーム全体にオープンになり、編集者の効率を下げることが無くなる。

質問の相手が具体的になり効果的に機能するので、メモを発信する方も受ける方も分かりやすくなる。適切な相手を間違えると、お金と時間がかかる。プロデューサーが同じメモを2回出すことに苛立つことはなくなるし、編集者が何時間もかけて無駄なやり取りをする必要もなくなる。チーム全員が同じ方向を向いているので、行き違いになったり、同じことの堂々巡りもなくなる。 Frame.ioは必ずしも完全なものではないが、理想的なポスト作業に近づけることはできる。

レビューウィンドウでコンテンツを再生し、インスピレーションを得たときにメモを入力するだけで、再生ヘッドは必要な場所にマーカーをドロップする。この時点でペンツールを使用してフレームに描画するなど、可能な限り視覚的なメモを残すことができる。ノートが記されると瞬時にタイムコードが付加されるが、これは非常に役に立つものだ。 Premiereとの統合により、マーカーはエディタのタイムラインにもドロップされるため、ブラウザを開いたり閉じたりする必要はない。チームメンバーがコメントしたり、更新したりするとFrame.ioは自動的にメールを送る。(もちろん設定で送らないようにすることもできる)。

現在のところ、イン/アウト点でタイムコードの範囲を定義することはできないが、間もなくサポートされるはずだ。現時点では、INとOUT、2つのメモを書く必要がある。

Frame.ioのインターフェースで改良が望まれる点

  • 一方の当事者が古いバージョンのコンテンツを参照していると、誤ったタイムコードが添付される可能性がある。
  • メモは100カウントのメールスレッドに制限されているため、タスク/メモが失われてしまう可能性がある。
  • 2つのメモが互いに矛盾している場合、編集者やチームはどちらを選択するか分からない。
  • ライブになる前にメモが受け取られないと、一方の当事者が混乱してしまう。

価格

実は価格が最大の欠点だ。

Vimeo Pro Unlimitedのメンバーシップになるには34ドルを支払う必要があるが、3TB /年と無制限の毎週のアップロードが可能だ。Frame.ioはわずか1TBだ。

筆者は使用料を支払うにあたり、どのプロジェクトで使うかとか、どのチームメンバーにツールを使わせるかなどで悩みたくない。Adobe Creative Cloudで支払う額に匹敵するほどの金額を払うことは考えられない。この記事を読んでいるユーザーは、3人程度の小チーム、あるいは月額17ドルで数人のチームが多く、月額44ドルのプランが適しているだろう。昨年NABでFrame.ioの担当者と、チームメンバーが少ない場合について話したが、ターゲットは大規模プロジェクトのようだ。従って、小規模な制作会社にとっては現実的な選択肢ではない。

ただ有用なアプリであることは間違いないので、費用が折り合いがつけば使いたいものだ。このプラットフォームはストーリーボードの交換、デザインレンダリングなどのプリプロダクションで使用できることに加え、ファイル暗号化して配信サービスを行うこともできる。

モバイルバージョンも用意

Frame.io iOSアプリは多くの受賞歴があるが、それは直感的な操作系も貢献している。プロデューサーとして、筆者はサイトよりもスマートフォンでアプリを使用することが多い。アプリの操作系はきれいで効率的なUIデザインがさてれており、さまざまなチームの複数のプロジェクトを管理できる。フライトの確認やソーシャルメディアへの転送には、「カメラロールに保存」機能を頻繁に使用する。

ただしモバイル版では奇妙な点が一つある。

Frame.ioからコンテンツを送信するには2つの方法がある。 「プレゼンテーション」を共有すると、表示はできるがメモを投稿できないリンクが表示される。このとき任意の電子メールアドレスに送信でき、Frame.ioユーザーのネットワークの外に表示を拡張する必要がある場合は非常に役立つ。メモの付与が可能な「レビュー」リンクの送信は、Frame.ioでアカウントを作成したユーザーに限られている。そして、レビューを送信するときは、「Add Recipients」というプロンプトに従う。最初に入力した名前が続き、その後にすべてのユーザーのリストが続く。つまり、Ben Hasselbladへのリンクを送信しようとしている場合、benと入力すると、Ben Freud、Ben Howard、Ben Pitt、Ben Garciaにアクセスできるようになる。これらは本名であり、ソーシャルメディアのハンドルネームではないため、不用意にメッセージを送ってしまう可能性がある。筆者はこれについてFrame.ioに連絡したが、以下のような返答があった。

「iOSアプリを使って共同編集者を追加すると、ソーシャルネットワークと同様に、さまざまな人名が表示されます。リクエストに応じて、チームメンバーまたは共同編集者として既に追加されているユーザーのみを表示するようにします。これはまもなくWebアプリで実施します。 iOSアプリケーションのアップデートも間もなく行います。」 –  Frame.ioチーム

ファイル配信

前述したように、最終的な非圧縮ファイルをエンドユーザーやクライアントに配信する機能は大きな魅力だ。Dropboxなど他のサービスでは、8GBを超える大きなビデオファイルをアップロードする際に問題が発生したが、Frame.ioではそれを経験したことはない。月額44ドル以上のプランなら、会社のロゴなどを入れて独自のデザインでクライアントレビューウィンドウをカスタマイズすることもできる。

.CR2 Canon RAWファイルに表示されるグリーンを見ていただきたい。この色はjpgでは見られない。

Note the green color cast on the .CR2 Canon RAW files. This color change isn’t present with .jpg.

配信機能の問題点

Frame.ioウィンドウのRAW静止画にはアクアカラーキャストがある。これはファイルがダウンロードされた場合は残らないが、クライアントとのレビューのためにシステムを使っているフォトグラファーにとっては問題だ。もちろん、RAW画像をアップロードしないことを選択することもできるが、レビューと配信を同じ場所に配置したい場合は、クライアントにとって便利ではない。Frame.ioは筆者に以下のようなコメントを送ってきた。

Frame.ioがブラウザ向けのバージョンをjpgとして作成しているので、CR2の色は正確ではありません。また、ブラウザごとに表示も異なります。

筆者はレビューのためにFrame.ioに何百もの画像をアップロードし、それぞれに 「進行中」、「レビューが必要」、「承認済み」とラベルを付けた。しかしステータスで並べ替えることはできるが、フィルターすることはできない。つまり、何百枚もの写真がある場合は、さんざんスクロールして目的のまとまりにたどり着くことになる。写真はFrame.ioの主な目的想定ではないが、写真をビデオで使用することもあり、まざまな種類のファイルに対応する必要があるだろう。 1つのフォルダに数百から数千のファイルがある場合、大きな問題になる。

まとめ

Frame.ioは、メモを添付するプロセスを合理化する。このアプリケーションは、ワンストップのワークフローインターフェイスであることを強調しており、気が付いていなかった問題も解決してくれる。筆者がポストプロダクションでその機能を利用し、その効果を確かめることができた。筆者とチームは今後もFrame.ioを使うだろう。そして次にどのような機能が実装されるのか興味があるところだ。

 

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