富士フイルム X-S20 インタビュー - 設計者が語る
先日日本を訪れた際、富士フイルムの(素晴らしい)新しいデザインセンターを訪れ、X-S20のボディデザインを担当した会田さんと、カメラのユーザーインターフェイスデザインを担当した長井さんに話を聞く機会を得た。
X-S20は、小型軽量で高性能なカメラでありながら、適切な価格設定であるため(私の意見では)、時折撮影するためのお気に入りの撮影ツールの1つになっていることは周知の事実だ。そこで、X-S20のボディデザインを担当した会田 侑香里さんと、UIデザインを担当した長井 俊朗さんにインタビューし、実りあるディスカッションをする機会を得た。
富士フイルムは、映画製作業界の他の多くの企業と同様に、高品質の機器を提供するために裏方で献身的に働く人々を紹介することの重要性を認識している。また、このようなインタビューを行う上で、言葉の壁が障害にならなくなったことも幸いしている。
今回の対談では、事前に会田さんと長井さんに質問事項を伝えている。
富士フイルムX-S20インタビュー概要:
会田 侑香里さん
会田さんは富士フイルムに入社して5年になります。彼女のお父様は日本の有名なDOPですが、それが彼女の仕事の方向性に影響を与えたわけではないとのことです(少なくとも意識的には)。過去には、XF23mm、XF33mm、XF150-600mm、冷却ファン、Instaxワイドカメラ/プリンターなど、いくつかのレンズの設計に携わられましたが(XF 150-600mmの工場見学はこちらをクリック)、いつかはカメラボディの設計に携わってみたいと思われていたとのことです。
冷却ファンは共同チームワークによるもので、ユーザーに受け入れられたということは、チームが選んだ設計手法は間違っていなかったと思うと会田さんは述べています。
どのプロジェクトも、多くのことが関係しているため、さまざまな意味でチャレンジングであり、X-S20も同様です。このプロジェクトでは、大きなバッテリーを小さなカメラボディに収めることが要求されたため、カメラのハンドグリップに多くの設計作業が必要でした。また、カメラの外装の厚みと強度のバランスの考慮も必要でした。
筆者は、カメラのグリップは握り易さが重要なので、グリップのデザインについてもっと知りたいと常々思っていました。手が大きい人もいれば、小さい人もいます。私が会田さんに質問したのは、このようなデザインの問題にどのように取り組んでいるのかということでした。予想通り、この種のグリップをデザインするのは非常に難しく、そのプロセスを通じて、何人もの人にカメラグリップを握ってもらって、最良の形状を作り出していくとのことでした。
「ダイヤルボタン」と「メニューボタン」に関しては、会田さんは趣味で日常的に使うにはダイヤルボタンを好みますが、カメラで仕事をするときは、メニューボタンの方が適しているのではとのことでした。
もし制約なくカメラをデザインするとしたら、個人的にはフィルムカメラで写真を撮ったときの原体験を思い出させてくれるようなカメラがあったらいいなとおっしゃっていました。
長井 俊朗さん
長井さんは入社7年目とのことです。プリントサービスのUIデザイン、Instaxアプリケーションのデザインを経て、ここ3年はデジタルカメラのユーザーインターフェースデザインを担当されています。X-A7、 X-T200、X-E4、そして今回のX-S20を手がけ、「リモートレック機能」などデジタルカメラ関連の追加ソフトも担当されています。
このインタビューで長井さんは、意思決定やチームワークのプロセスやワークフローの重要性を強調されていました。
UI の設計で最も重要なことは、当然ユーザーにとってそれをできるだけ簡単にすることです。 UI の開発プロセスでは、プロトタイプが作成され、実装された UI がチェックされます。 次のステップに進むには、正しく機能する必要があります。 さらに、すべてのカメラ仕様を正確に実装する必要があります。 このステップでは、間違いを避けるために細心の注意を払う必要があると長井さんは述べています。
カメラメニュー開発にAIを導入するのは現実的か長井さんに聞いてみました。 たとえば、ボタンやメニューを操作する代わりに、カメラ自体を特定の解像度とフレーム レートに設定するように要求するオプションを持つことは可能でしょうか? 長井さんは、そのようなことは可能だと考えています(ただし、富士フイルムのカメラ内メニューでサポートされている 35 言語すべてではないかもしれません)。
いずれにせよ、AI は被写体検出など、一部の X シリーズ カメラですでに使用されているため、将来的にはさらに多く使用されるようになるだろうと長井さんは語っています。
長井さんによれば、X-S20のVLOGメニューは液晶画面を操作者に向けたまま、ボタンを押すだけで自分自身の撮影や録画の確認ができるため、効率的な撮影をサポートできるとのことです。
「デジタルカメラの性能が向上すればするほど、カメラとユーザーとのインターフェースがより重要になる」という長井さんの言葉が印象に残っています。 富士フイルムのカメラの将来が楽しみです。 インタビューをサポートしてくださった皆様、そして私の質問に答えてくださった会田さんと長井さんに感謝いたします。