富士フイルムX-E3レビュー
富士フイルムX-E3は同社の最新のXマウントカメラで、APS-Cサイズのセンサーを搭載しており、高品質の4k(UHD)ビデオを撮影することができる。私はX-PRO2、X-T2、X-T20、GFX 50Sをレビューしてきて、これらが素晴らしい映像を撮影できるカメラと思っているが、X-E3はそれに加え、主にフォーカスレバーとLCDタッチスクリーンの追加により使いやすさの面でも優れたカメラと言える。更にオートフォーカス機能と卓越したビデオ画質も特筆できる。ではX-E3のレビューをお届けしよう。
富士フイルムはサンプルプロダクトを私に貸し出していただき、数日試用することができた。まずこの場を借りてお礼を言いたい。 以下はレビューして分かったこと。
人間工学的な使い勝手
まず驚いたのは、送られてきた小包に本当にカメラが入っているのだろうかと思うほど軽量だったことだ。これは持ち運びの面で大いに利点となるだろう。
次に、右手持ちのグリップに関して、これは実に快適に保持することができる。背面のボタンレイアウトと新しいレスポンスフォーカススティックは非常に使いやすい。フロントフォーカスモードセレクター(Manual / Continues / Single)も非常に論理的な場所に置かれている。
使って見て分かったこと
フォーカスレバーは、オートフォーカスモードと併用するとほぼ完全に機能した。フォーカスさせたい場所にマーカーを置くだけで、そこがフォーカスポイントになる。総じてオートフォーカスシステムは、ほとんどの場合うまく動作した。ジンバルで使用する場合もこのAFモードの恩恵を大いに受けるだろう。
新しいLCDモニターは屋外で使用するのに十分な明るさだが、もっと重要なのは、タッチスクリーンになったことだ。タッチしたポイントがフォーカスポイントになるので、非常に使いやすい。ただ、液晶画面が固定されているので、カメラの位置が高かったり低かったりすると見にくくなってしまう。
おそらく、このカメラの最大の弱点は手ブレ補正が十分でないところだろう。手持ちで撮影する場合は、手振れ補正付きのレンズと組み合わせることをお勧めする。
メニュー
X-E3は、最近の同社のカメラと同様のメニュー構造を持つが、一般的でない項目は相変わらずメニューを掘り下げる必要がある。ただ、よく使う項目はFNボタンに割り当てることができるので、頻繁にメニューを掘り下げる必要はない。ちなみに、LCD自体にもアサインが可能(4つのFNボタンに相当)で、4つの方向のいずれかにスワイプするというジェスチャーにアサインすることができる。
ビデオ機能
X-E3は、ビデオフレームレートと解像度に関しては、UHD 4K、FHD、またはHD解像度で記録する場合それぞれで、異なるフレームレートを提供する。残念ながら、UHD 4Kで撮影できる最大値は29.97fpsだ。このカメラはワールドワイド仕様になっており、50Hzと60Hzのフレームレートの変更も可能。私は1080p撮影モードの画質はテストしなかったが、現在発売されている他の同社のカメラ同様、良好な画質を期待できるだろう。UHD4kの記録レートは100Mbpsに過ぎないが、色の忠実度は非常に高いと言える。
4Kで撮影するときに注意すべきことは、10分しか連続記録できないことだ。(FHDでは15分、720pでは30分)。また、F-logを内部的にも外部的にもサポートしていないので、フィルムストックシミュレーションで代用するという手段しか残されていない。
オーディオに関しては、このカメラはX-Pro2(レビューはこちら:英語)やX-T20(レビューはこちら)同様、リモート/オーディオマイクジャックは非標準な2.5mmだし、ヘッドフォンソケットは装備されていない。なお、録音中にオーディオレベルを調整することができる。
機能性
バッテリーの充電に関してだが、同社の充電表示にはもう何度となく意見を言っている。充電中に緑色のライトが点灯し、充電が完了すると消灯するのは混乱を招くのではないだろうか。グローバルスタンダードに合わせて欲しいところだ。
同社のカメラのメニューはかねてからよく知っている。ビデオ関連の機能をさまざまなボタンに割り当てること、特に「Q」ボタンは非常に有効だ。さまざまな撮影パラメータにすばやくアクセスする必要がある場合、「Q」ボタンは実に便利だ。
また、録画中でもLCDとEVFが切り替えられるのは嬉しい驚きだった。小さな改良点だが、現実には、撮影時にLCDとEVFを切り替えて確認するので、この小さな機能は大きな改善点と言える。
低照度特性は、ISO 3200でも映像は大変美しい。ISO 6400でも、多少ノイズ感はあるが、十分美しい映像だ。 EVFは非常に使いやすく、露出計は正確で効果的だ。
長所(順不同)
- 実に素晴らしい4k(UHD)ビデオ画質
- ワールドワイド対応(NTSC / PAL)
- フォーカスレバー
- 応答の速いオートフォーカス
- タッチスクリーンによるオートフォーカス
- 正確なピーキング
- マニュアルフォーカスモードでは、タッチスクリーンのフォーカスがオーバーライドできる
- マニュアルフォーカスモードでは、距離チャートを使用できる
- SDカードの録画時間が簡単に確認できる
- マニュアルフォーカスが容易なEVF
- 非常に軽量なボディ
- 録音中にオーディオレベルを調整可能
- カスタマイズ可能なFNボタン
- ヒストグラム
短所(順不同)
- 4K / 60pなし
- LCDスクリーンは固定式
- カメラ内手振れ補正がない
- ヘッドホンジャックがない
- 非標準な2.5mmオーディオマイク入力
- 4Kで10分の記録時間制限(FHDで15分)
- バッテリー/ SDカードスロットが三脚取り付けネジに近すぎ、バッテリーやカード交換時に三脚から取り外す必要がある
- 録画終了後、クリップを保存するのに数秒かかる
- 平均的なローリングシャッター性能
今回のレビューで使用したレンズは同社のXF 16-55mm f2.8 R LM WRだった。 このレンズは同社の主力製品で、フルフレーム換算で24mm〜84mmに相当し、f / 2.8固定だ。 X-E3と組み合わせる際の長所と短所も記しておく。
長所
- ズーム範囲全体で優れたシャープネス
- 手動絞りリング
- f / 2.8一定絞り
- 全天候設計
- 高速なフォーカスモータ
短所
- 光学手振れ補正なし
- 重い
まとめ
X-E3レビューで感じたのは、富士フイルムが今までに手掛けた、ビデオが撮影できるミラーレススチルカメラとして最高のものだということだ。手頃な価格、ビデオ画質、ビデオモードでの正確なオートフォーカス、そして携帯性に優れたカメラだ。 X-E3にログのピクチャープロファイルが含まれていなかったのは残念だ。カメラの性能が良かっただけになおさらそれが悔やまれるところだ。低予算でビデオを撮影できるカメラが望みなら、これは十分にお勧めできるカメラだ。なお、X-T20とより高価なX-E3の価格差は約100ドルだ。もしどちらかを選ぶ必要があるなら、X-E3を選ぶだろう。
このレビューでのカメラ設定:4K(UHD)25p。フィルムシミュレーション:Pro Neg Std。シャープネス-4、シャドウトーン0、ハイライトトーン0、 Adobe Premiere Proの最新版で編集。 FilmConvertの設定は、make:default、model:default、setting:FJ Velv 100。シャープネスは付加していない。
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