クラウドベースのカラーグレーディングプラットフォームfylm.aiは、RAWスチルファイルの現像とデベイヤリングをネイティブでサポートするようになった。この最新アップデートにより、スチルカメラマンは最初から最後まで完全にクラウド上で画像処理を行うことができるようになる。
なお、 fylm.ai 昨年春に発表され、秋にはベータ版がリリースされたばかりのクラウド型カラーグレーディングサービスだ。
fylm.aiは、AIを搭載した映像制作者や写真家のためのカラーグレーディングツール。その目的は、技術的なプロセスを簡素化し、クリエイティブなビジョンを実現する。fylm.aiは完全にクラウド上に存在するため、チームで共有して制作を進めることができる。
fylm.ai 1.1アップデート
fylm.aiは、実は当初からRAWファイルに対応していた。ただし、その対応は非常にシンプルなものだった。Fylm.aiは、RAWファイルから内蔵のサムネイルファイルを抽出し、それを使ってLUTを作成する。ユーザーは、そのLUTを後からフォトショップで適用する。
しかし、fylm.aiは、スチルカメラマンがより早く、より速く仕事をこなせるようにしたいと考えた。
最も簡単でクリエイティブなカラーグレーディングツールを作るというミッションに着手したとき、私たちは常にフィルムメーカーやフォトグラファーにも対応したいと考え、今回のリリースでそのミッションに一歩近づくことができました。
Fylm.ai Press Release December 20, 2021
Fylm.ai 1.1では、Adobe Photoshopでの最後のステップをスキップして、すべてのプロセスをクラウド上で完結させることができる。
動作
fylm.aiでRAWファイルを読み込むと、すぐに編集やカラーグレーディングができるようにRAWファイルの現像が進む。
デフォルトでは、fylm.ai 1.1はRAWファイルをProPhoto RGBカラースペースに現像する。また、正しい ACES 入力および出力変換を自動的に適用するため、ファイルは fylm.ai のコンテキスト内で正しくカラーマネージメントされる。
また、Adobe RGBとsRGBの色空間を選択することができる。さらに柔軟性があり、カラー編集に余裕が必要な場合は、RAWファイルをEXR形式の巨大なACES2065-1コンテナに展開することができる。
ProPhoto RGB、Adobe RGB、またはsRGBを使用する場合、トーンマッピングオプションは変更できず、常に有効になっている。RAWファイルの現像にACES2065-1を色空間として選択した場合、トーンマッピングを適用するかしないかを選択することができる。
トーンマッピングを無効にすると、RAWファイルのレスポンスはリニアになり、編集の幅が広がるが、その分ファイルの微調整が必要になる。
RAW現像で利用できる最後のオプションは、ハイライトリカバリだ。ハイライト リカバリ オプションは、全ての(撮影時に飛んでしまわなかった)ピクセルに対して、ホワイトバランスのスケーリングをRAWファイル内の全てのチャンネルに適応することを保証するものだ。
RAWファイルの現像が完了したら、他の画像と同様にfylm.aiでグレーディングを行い、通常通りfylm.aiのすべてのツールを使用することができる。
この新しいRAW現像機能は、現在fylm.aiのユーザーおよび新規のユーザーには無料で提供される。
詳細はfylm.aiのサイトを参照いただきたい。1月31日まで、クーポンコード「RAWUPDATE30OFF」で年間プランが30%OFFになるキャンペーンを実施中。
注:この記事を書いている時点では、fylm.ai 1.1.1 と 1.1.2 もすでに利用可能となっている。どちらのバージョンも主にスピードの向上に重点を置いており、それらについて詳しく知りたい方はこちらのfylm.aiのブログをご覧いただきたい。また、ソニーα7R III の RAW ファイルの現像とグレーディングをステップバイステップで行うことができる有用な記事もある。