ジェネレーティブ・アーティフィシャル・インテリジェンスは今年ホットなトピックとなり、視聴者の一部から強い反発が巻き起っている。これらの多くの人々は、CineDがこの急速に進歩するテクノロジーを積極的に宣伝していると非難しており、彼らは懸念を持って見ている。私たちの純粋な意図は、視聴者に現在の開発状況を伝え、より知識を深めてもらうことだ。結局のところ、知識は力であり、力を持てば、プロとしての未来もコントロールできるのだ。
10年前、CineD（当時はcinema5Dと呼ばれていた）は、デジタル一眼レフ革命を推進したとして 「非難 」された。一部の専門家は、私たちが従来のビデオカメラにこだわらず、大型センサーを搭載した小型カメラの使用を推進しているという事実を指摘した。
時間が流れ、「未来的な 」デジタル一眼レフ革命は 「現実のもの 」となった。長年のプロフェッショナルの中には仕事がなくなってしまった人もいれば、好奇心を抱き、進化し続ける映像制作の世界に適応することが成功し続けるために不可欠であることを理解することで成功した人も大勢いる。
しかし、現在の映像用AIの発展と急速な進化は、これまでに見たこともないようなものだ。ややもすればこの記事が出版される頃には時代遅れになっているかもしれない。ビデオ編集、音声操作、吹き替え、テープ起こし、脚本などのための新しいツールは、私が靴下を履き替えるよりも早く市場に出回っている。
GenAI – 結果の責任は誰にあるのか？
ジェネレーティブな人工知能が映像制作バブルに影響を与えるだけだと考えるのは甘いだろう。この技術は、「ディープフェイク」コンテンツを作成し、世界に害を及ぼす可能性があるほど高度になってきている。規制を担当する人々は現時点では十分な知識を持っておらず、私たちの安全を確保するための解決策を見つけるのが非常に遅れている。
最近、Lightricksの共同設立者兼CEOのZeev Farmban氏と興味深い会話（英語）をした際、AIツールの開発に深く関わっている人物から「責任」という視点をよりよく理解しようと試みた。LTX Studioは、脚本、ストーリーテリング、ナレーション、音楽などを支援すると述べている。その話の中で思ったのは、開発企業が自分たちの産物に責任を持つことを期待すべきではないということだ。私がそう考える理由は主に2つある。ひとつは、現在の 「セキュリティ対策」（たとえば電子透かし）は簡単に回避できるということ。もうひとつは、ホーム・コンピューティングのパワーは成長し続けており、あっという間に強力なAIプロセッサーが低価格になり、誰でも利用できるようになるかもしれないということだ。そうなれば、個人もホストを介さずに自分の映像をレンダリングできるようになるだろう。解決策になりそうなのは、インターネットプロバイダーの足並みそのものだ。以前、プロバイダーはある種のポルノをブロックするよう強制された（そしてブロックした）。ともあれ、私は、自分たちの分野を知り、理解していると主張する高給取りの専門家たちが、この問題に対する適切な規制や解決策を早急に打ち出してくれることを心から願っている。そうでなければ、私たちは皆、カオスの本当の意味を知ることになるだろう。
映像制作の世界におけるGenAI
というわけで、これは国や職種を超えた 「グローバルな問題 」でコンテンツ制作という大きな世界で起きていることと重なる部分もあるだろうが、ここでは私たちの業界だけに焦点を当ててみたい。
現実には、今日でさえ私たちの多くが行っている仕事のいくつかは、AIに取って代わられる可能性がある。日に日にAIがより良くより正確にできることが出てくるだろう。今、目の前で起きているこの巨大な変化を目の当たりにしているクリエーターとして、私たちの役割は何なのか、どう対応すべきなのか。このジェネレイティブAIの波を一過性の悪夢だと決めつけ、身の回りで起きている現実を無視するのか。それとも、私たちの技術を完成させるために費やした年月が、今まさに危険にさらされているという現実が、私たちを憂鬱な気分にさせるのだろうか？
個人的には、一般的にパニックになることが問題解決につながるとは思えない。1939年にイギリス政府が「Keep Calm and Carry On（冷静に、そして前進せよ）」というスローガンをモチベーションを高めるポスターにしたのは、決して無意味なことではない。では、私たちは「冷静にAIに打ち勝つ」ことができるのだろうか？さまざまな選択肢を考えてみよう。
ジェネレーティブAIが映像に与える影響に頭を悩ませている人には、分かりやすいセグメントに分割することを強く勧める：
認識する：
これがが本当に起こっていて、どこにも行かないということに早く気づけば、適切な解決策を見つけることができる。
現在の自分の仕事は危機に瀕しているのだろうか？
自分は何をして生計を立てているのか？カメラマン、編集者、カラリスト、サウンドマン、ディレクター、プロデューサー、ソングライター、ミュージシャン？(もちろん、リストは続く）。現在のAIのトレンドを把握し、AIツールを開発している人たちが何を目指しているのかを見てみよう。あなたの現在の仕事はAIのターゲットになっていないかもしれない。
カメラマンはAIに取って代わられるか？
それは、あなたが手がけるカテゴリーに大きく依存する。人を扱う物語的な映像制作に関連するものは、今後も残るだろうし、取って代わられることはないだろう。例えば、結婚式やドキュメンタリー、ニュースなどはそう簡単に取って代わられないだろう。
痛みを伴うが、考慮する必要がある
AIツールの中には、練習とプロの技が必要なものもある。この業界で活躍し続けたなら、アプリ／ソフトウェアのいくつかを学ぶことで、有利な立場に立てるかもしれない。
個人のクリエーターは？
近年、私たちクリエーターの多くは 「何でも屋 」に進化している。場合によっては低予算と小規模なクルーで処理できる。このような傾向は、主要な専門知識（例えば、カメラワーク）と並行して編集やカラーグレーディングツールなど「他のもの 」も使う知識も得ることになる。その次には、音楽のセンスを磨き、オンラインプラットフォームの楽曲の使い方を学ばなければならない。そして今、GenAIは私たちがさらに自立するため、この傾向をさらに強める可能性がある。私たちは、クライアントの予算や具体的なニーズに適応できるように、新しいツールを使いこなす必要がある。
とってかわられる分野は？
私が知る限り、主なリスクはコマーシャルを制作する人たちだ。以前は仕事に誇りを持っていた 「代理店 」は、コストを削減し、「流行 」の次に 「より価値のある選択肢 」をクライアントに提示することを考える必要がある。現段階では、企業や代理店は流行の波に乗ることを望んで、実際にこの方向に突き進んでいる。
次に、ストック映像やライセンス音楽だ。GenAIが映像を生成するのがより簡単に、より速く、より費用対効果が高くなる可能性があるため、苦境に立たされるかもしれない。音楽に関して言えば、AI音楽を生成し提供するサイトは大手スタジオに注目されている。
対策？
主な疑問は未解決のままだ。即ち、私たちが苦労して提供した素材だ。多くの場合、私たちが制作したものは、私たち自身や他の人によってアップロードされ、ネットに流れている。ネットにアップロードしなければ安全だと考えは早計だ。LightricksのCEOから聞いたところによると、彼らは現在いくつかのテレビ局と緊密に協力し、さまざまなAIモデルを訓練するために彼らのアーカイブを調べているという。
つまり、私たちが提供した素材が AIの学習センターとなるのを防ぐ方法はない、というのが結論だ。しかし、そのために誰が我々に金を払うのだろうか？正直なところ、個人への補償を決める適切な方法すら見当たらない。何が起こるかわかったときには、すでに手遅れなのだ。
最後に
ストライキや陳情では、今度の革命を遅らせることはできない。また、私たちの業界とは必ずしも関係がなく、優先順位も利害関係も異なる権力者が多すぎる。だから、本当に必要不可欠なのは、常に情報を入手し、新たなチャンスを見極め、特に人物を中心とした映像制作に携わっているのであれば、自分の立場を確固たるものにすることだ。
Images credit: https://www.pexels.com, cottonbro studio, and Tara Winstead (Modified by CineD).
