キヤノンC700 FFと20mm T1.5ハンズオン
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2016年末に発表されたキヤノンの最上位シネマカメラC700が、短期間に更なる進化を遂げた。super35mmやsuper35mmグローバルシャッターだけでなく、フルフレームもシリーズに連ねた。C700シリーズは度々ご紹介してきたが、今回はフルフレームに焦点を当てる。また、キヤノンのシネマプライムレンズに20mm T1.5が仲間入りした。詳細は下記にて確認してほしい。
シネマ業界でフルフレームの存在感が高まっている。キヤノンという老舗メーカーもこのトレンドに乗り出したことはさほど驚くことではなく、むしろユーザーにとっては喜ばしい。
始めに、価格からご紹介する(少し複雑になるが)。C700 FFは、33,000ドルとされ、C700 super35mmは28,000ドルとされている。両方ともベースパッケージの値段となる。グローバルシャッターは(C700 GSと表記されることが多い)、中間の30,000ドルくらい。恐らく多くのオペレーターやレンタルハウスが、価格が近いこともありフルフレームにいくと思うが、グローバルシャッターが持つ利便性も忘れてはならない要素だ(特にモワレを避けることができる)。
C700FFの概要
米国キヤノンのPeter Marr氏はC700 FFについてその特徴を語ってくれた。見た目は変わらない。C700を使い慣れていれば、そのまま使えるということである。となると、中身がどうなっているかが重要になってくる。
端的に言うと、5.9K (5952 x 3140)の38.1 x 20.1 mmサイズフルフレームCMOSセンサーというのが中身だ。事前に発表していた15stopのダイナミックレンジ、5952 x 3140、12ビット、RAW収録(外部収録のみ)といったスペックは健在で、まさに「シネマカメラ」と呼ぶにふさわしいものとなった。5.9Kでの撮影は、アスペクト比が17:9となり、アナモフィックでの撮影を見越している。
C700 FFのポテンシャルをフル活用するためには、Codex社の外部レコーダーを用いることをお薦めする。このレコーダーはC700 FFのボディに直接取り付けられ、RAW収録を可能にする。それなしではスペックが制限されるが、それでもカメラ内収録で最大60pのXF-AVCで4:2:2、10ビット、4096 x 2160の解像度が得られる。2Kにすると内部収録でもXF-AVCで4:4:4、12ビットを2枚のCFast 2.0に記録することができる。
Codex社の外部レコーダーは、6,995ドル(SSDは含まない)と安くはない。しかし、個人的にはC700 FFでスムーズに撮りたいのであれば必需品だ。私は以前からC700の画を気に入っており、ブースで見たC700 FFの画も非常に良かった。しかし大切なのは、実践で使用した時にどう上がってくるかだ。
CN-E 20mm T1.5の概要
キヤノンのシネマプライムレンズシリーズに、14mmと24mmの間となる20mmが登場し、同シリーズは計7本となった。シリーズを通してTストップはそれぞれ異なるが、20mmはフルフレームをカバーしており、非常に明るいT1.5である。20mmを追加した理由も頷ける。価格に関してはほかのプライムレンズと同じくらいとのことなので、恐らく4,000ドルくらいと予想される。
フルフレームが追加されたC700シリーズは、ハイエンドのシネマカメラ群ではまだ競争相手の一つと見なされていないかもしれないが、確かな方向を向いているだろう。DPにとってもシネマカメラにとっても、ハリウッドは入り込むには難しい場所である。しかしキヤノンは、シネマサイドにも果敢に挑んでいく姿勢を見せている。続けてチェックしていきたい。
Link:C700 FF | CN-E 20mm T1.5