プロの放送業務においてライブスイッチングはありふれたことだが、新しい種類のインディーストリーマーにとっては重要なツールに変異している。ブラックマジックデザインは2019年後半に開始したが、Hollylandは遅れていた。
しかしHollyland は低価格のポータブルスイッチャーStreamix M1を発売した。HDMI、SDI、RJ45、スマートフォンなどの入力を選択して、ライブビデオスイッチング化可能だ。接続にはWiFiやEthernetを使用する。Hollylandは、ビデオトランスミッターとレシーバーの優れた製品群で知られており、Streamixは、ワイヤレスビデオの延長線上にあるものと考えられる。
ブラックマジックデザインのATEM Miniスイッチャーは、4つのカメラ入力を備えたATEM Miniが311ドルからという低価格だ。少なくとも、4系統のカメラのキャプチャーカードが1つのユニットに入っているというのはお買い得で、YouTuberに人気がある。Streamix M1は約3,009ドル+税で、会場や会議での使用に適している。
スイッチングマーケット
コロナ禍の影響で、ストリーミングビデオの使用が促進された。新しいATEM Mini製品を使えば、音声や放送用のエフェクト、トランジションを使用したマルチカメラの制作が可能になる。この市場は、今後ますます拡大し、洗練されていくことだろう。
ただし、HollylandのStreamix M1は、セミプロのライブイベント市場を狙っている。そのヒントは、PTZ(パン、チルト、ズーム)コントロールを可能にする放送用カメラのSDI入力とRJ45入力の選択にある。HDMI入力が2系統、SDIが2系統、RJ45が1系統、スマートフォン入力が1系統ある。また、ビデオプレーヤーと1つのインターネットソースを持ち込むことができる。
比較すると、最新のATEM Miniスイッチャーは「Extreme ISO」で、8系統のHDMIカメラ入力、内蔵のストリーミングエンジン、リミックス用のISOフィードセパレーションを備えているが、SDIとRJ45入力は無い。すべて1,144.55ユーロ+税。この製品には、自動的に作成されるResolveのプロジェクトファイルへのISO記録も含まれているので、編集作業の半分はすでに完了していることになる。
Streamixの特徴
Streamix M1は、RTMPに対応したあらゆるプラットフォームに対応しており、最大3つのプラットフォームに同時にストリーミングすることができる。例えば、Facebook、YouTube、Twitchなど、RTMPプロトコルをサポートしている数百ものプラットフォームから、最大3つのプラットフォームを同時にストリーミングすることができる。また、Restreamにアカウントを開設すれば、より多くのストリーミング先に対応することができる。
YouTubeのようなオンラインプラットフォームでは、ホームスタジオからのライブストリーミングが主流になっているが、音楽会場や劇場、さらには火葬場などからライブコンテンツを配信しているクリエイターも多くいる。このような場合、Streamix M1のようなプラットフォームが役に立つ。しかし、現場から配信する場合、アップロード帯域に依存することになる。Space X社のStarLinkサービスや、AmazonのProject Kuiperと呼ばれる同様のサービスなど、衛星を使ったソリューションが登場している。それ以外なら、WiFi、イーサネット、または携帯電話用に頼るしかない。
Streamix M1は、有線と無線の両方の接続をサポートし、利用可能な帯域幅と希望する解像度に応じて調整できる複数のビデオビットレートを選択できる。
使用に関して
Streamixはスタンドアローンのユニットで、11.6インチのHD専用タッチスクリーンでプログラムの表示や操作をコントロールする。音声を別途ルーティングしないのであれば、ソフトウェアの中にオーディオミキシングデスクがある(ただ、HDMI特有の映像の遅延で音声が同期しなくなるので注意が必要)。
また、様々なスポーツのスコアボードなど、番組を構築するためのライブラリも用意されている。しかし、Restream、Ecamm Live、Streamyardのようなプログラムを使えば、更に柔軟に対応できる。
また、Streamix M1には256GBのRAMが搭載されているので、進行中のライブ番組を録画しながら、保存した動画を番組のフィードに表示することができる。
Streamixの詳細については、Hollylandのサイトを参照いただきたい。
Hollyland社のStreamix M1は、希望小売価格2.999ドル(VAT抜き)で発売されている。