アンティークな8×10大判フォトカメラでビデオを撮影するのはどうだろうか?映像制作者兼写真家のZev Hoover氏が独創的な作品を制作した。まず下のビデオをご覧いただきたい。
Zev氏はスライダーに8×10の大判カメラを装着し、ソニーのα7Sをチルトシフトして底面に固定している。
その結果、かなり異様な形状になっているが、チルトシフトマクロルックに似た、非常に浅い被写界深度の映像が撮影できる。
Zev氏のビデオはこれらのことをうまく説明しているが、まだよくわからないという場合は、下の写真も参考になるだろう。
複雑な話に聞こえるかもしれないが、DoFアダプターの原理を知っているなら、実際には比較的簡単な話だ。
光がカメラ前面の大判レンズを通って、背面の白いパネルに結像し、広角レンズをマウントしたα7Sがこの映像をキャプチャする。
α7Sは、底面に後ろ向きに取り付けられており、歪みを避けるためにシフトアダプターを使用している。
これら全ての機材は安価なスライダーにマウントされており、大判レンズがキャリッジに取り付けられているのでスムーズなフォーカシングができるようになっている。
Cinema5DのNino LeitnerはZev氏と話し、それがどのように動作するのかを聞いた。 前述したように、それは古いDoFアダプターのシステムと原理は同じだ。古いDoFアダプターでは、光が35mmレンズを介してグラウンドグラス上に結像し、パナソニックのHVX200やソニーのEX3といった当時のカムコーダーがそれを撮影するシステムだった。
なお、Zev氏の場合はグラウンドグラスではなくマットホワイトを使用している。
「私のカメラでは、ガラスの代わりにマットホワイトのスクリーンに画像を投影しています。これは2つの理由からで、ひとつはマットな素材を使用すると”ホットスポット”の問題はほぼ完全になくなること、もう一つは全体の大きさが半分になるからです。」
「主な課題は、光の通り道を遮ることなく、スクリーンをどのように撮像するかでした。撮影用のカメラをスクリーンのすぐ前に置いただけでは、大判レンズからの光を遮ってしまいます。
私の解決策は、撮影カメラのレンズをシフトすることでした。これは、建築写真などでパースを付けず垂直の線を平行にするのと同じ方法です。これにより、スクリーンを下から撮影するにもかかわらず、歪ませないで全体像を撮影することができました。」
Zev氏はまた、カメラの技術面からも説明してくれた。
「私は大判レンズとしてIndustar-37を使用しましたが、これは300mm f4.5で、これは私が見つけることができた最も明るい100ドルを切る8×10レンズです。 α7Sには、APS-Cモードに設定したKipon Nikon-Sonyシフトアダプターがマウントされ、これにIrix 15mm f2.4 Firfly(最も安価で明るく、低歪率の広角レンズ)がマウントされています。」
結果は素晴らしいものだ。もっともそれは完璧ではなく、撮影しているとかなり奇怪な姿になるし、約6ストップ暗くもなる。しかし映像は実に印象的だ。