先月レポートしたように、Appleは新しい iMac Proを出荷した。歴代で最も速いMacに多くの人が興奮したことだろう。2週間実使用して試してみたので、 iMac Proがどの程度実戦で使えるのかレポートしたい。
最初に
最初に目に入ったのは、 iMac Proとそのアクセサリーの美しいスレートグレー仕上げだった。黒の仕上げが再び採用されている。また、背面の巨大なポートも目を引く。私は周辺機器をUSB-Cにアップデートしたので、4つのThunderbolt 3ポートを利用することができた。USB 3ポートも4個搭載されており、従来の外付けSSDやDaVinci Resolve 14ドングルもそのまま対応できるのは嬉しい。
構成
私の手元にあるのは、ミッドレンジの iMac Proで、これはコストパフォーマンスのバランスが最も良いと思う。
- 27インチ、10ビット、500nitの明るさ、ワイドカラー(P3)、Retina 5Kディスプレイ(5120×2880)
- 3.0GHz 10コアIntel Xeon Wプロセッサ、最大4.5GHzのTurbo Boost
- 64GB 2666MHz DDR4 ECCメモリ
- 2TB SSD
- 16GBのHBM2メモリを搭載したRadeon Pro Vega 64
- マジックマウス2 – スペースグレー
- 10キー付きマジックキーボード – スペースグレー
iMac Proの価格については、これはパソコンに費やすべきレベルのものではない、という考えは持っていない。しかし、価格が高価すぎると考える人もおられるかも知れないが、 iMac ProはAppleが提案するプレミアムハードウェアと考えると納得できるものだ。Mac Proが2013年に発売され、多くの編集室に導入されているが、パフォーマンス的には iMac Proが優れていると思う。
アップグレーダビリティー
前回もレポートしたが、 iMac Proはユーザーが内部をいじることを許しておらず、アップグレードもできない。これに対しては不満の声もあるようだが、そのような考えも悪くはないかもしれない。ちなみにiPhone XにマイクロSDカードを挿入することさえできない。それを考えると iMac Proがユーザーアップグレードできないことも理解することはできる。これは多くのワークステーションを導入し、それらをカスタマイズして使っている施設にとっては懸念されることかもしれないが、我々一般のユーザーやほとんどの中小の施設にとって特に大きな問題ではない。また、ユーザーアップグレードを望むユーザーのために、アップルは外部のThunderbolt 3ブレイクアウトボックスと、まったく新しいモジュラーMac Proの2つのソリューションを開発中だ。最近では、多くの消費者は自分に最適のものを購入し、おそらく2〜3年後にそれを売り、そのお金で次のものを購入する。アップルのコンピューターは購入されたスペックのままなので、次のユーザーは安心して購入することができる。
処理速度
速度に関しては、正直言って、これはベンチマークを並べたレビューではない。その情報は既に存在しており、数字上は iMac Proは従来の同社のパソコンより高速だ。重要なのは、実際の編集作業においてその速さが体現できるか、だ。新しいものが従来に比べて30%速いと言われても、実作業においてそれが実感されなければ意味がない。そのため、自分が今使っているMacBook Proと比較して、同じプロジェクトを編集する上で違いがどの程度あるかを確認した。
結果的には、相当速いパソコンであることが実感できた。スタビライジングやオプティカルフローのためにクリップをレンダリングしたりすると、バックグラウンドプロセスが非常に速く処理されていることが分かる。4K、6K、さらに8Kの映像を再生する場合は、特にその実感がある。8K ProRes 422 HQを再生したときは、フレームドロップが発生したが、8K ProRes LTは問題なく再生できた。ただ、フレームのコマ落ちに関しては編集ができないと言うほどのものではない。テストでは、C200のネイティブ10ビット50p 4K RAWをフレームドロップ無しに編集できた。また、JとLキーを使って再生方向を瞬時に変え、オンザフライで編集する場合も、あたかも8ビットのHDファイルのごとく軽々と行うことができた。
正確に測定する価値があるのは、エクスポートの時間だ。拘束される時間に直接影響を与えるものであるため、複数の内容をエクスポートするときにどれくらいの時間を節約することが期待できるかを数値化したかった。私は5分46秒のサンプルを2回エクスポートし、それをトップスペックの2017 15インチMacBook Proと比較した。サンプルは、ProRes 422 4K 25pマスターをH.264 HD 25pにエクスポートするというもの。結果は以下のとおり。
- 15” MacBook Pro 2017 – Master Export – 11分01分
- 15” MacBook Pro 2017 – Client Deliverable – 21分43分
- iMac Pro– Master Export – 3分10分
- iMac Pro– Client Deliverable – 6分27分
明らかに速い。新しい iMac Proを購入する人は、空いた時間で新しい趣味をはじめることができるほどの違いだ。
なお、Cinema5DのTim Fokは彼のiMac 5Kとの比較を行い、51秒、6K、.R3DファイルをHD Pro Res 4444にエクスポートするデータを計測したが、結果は以下の通り。
- iMac Pro– 0分56秒
- iMac 5K (Late 2014), 4Ghz i7, 32GB RAM, AMD Radeon R9 4GB GPU – 2分53秒
まとめ
スターを作る予定だ。このプロジェクトのワークフローに iMac Proは威力を発揮するだろう。ネイティブのまま映像編集してグレーディングするのに十分なパフォーマンスを持っている。これだけのパフォーマンスなら、このあと2~3年は iMac Proがアップグレードできないということも問題ではないだろう。自分でパーツを集めて iMac Proに匹敵するパソコンを組んだとしても、おそらく節約にはならないだろう。 iMac Proの優れたディスプレイまで考慮すれば、もはやカスタマイズしたパソコンを組む意味はほとんどない。
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