多くのプレミアムスマートフォンは、メーカーの主力機種でもあるため、高性能カメラをアピールしている。しかし、レンズの横に付けられたライカやハッセルブラッドのロゴは、本当にそれらメーカーのカメラが採用されているのだろうか?
ユーザーが新しいスマートフォンに買い替える大きな理由はCPUやバッテリー持続時間もあるが、新しいカメラが搭載されていることも大きな要因の一つだ。スマートフォンのカメラは、世代交代ごとに大きな飛躍を遂げている。
スマートフォンメーカーは、ライカやハッセルブラッドなどの有名ブランドと提携することで、スマートフォンのカメラの魅力を高めている。 HuaweiとOnePlusのハイエンドスマートフォンなどがそのよい例だ。
ハッセルブラッドやライカによるスマートフォンのカメラとは?
スマートフォンの内部は非常に複雑なアルゴリズムを使用しており、簡単に美しい写真が撮れる。照明条件、手ぶれなど外的要因に関係なく、見栄えの良い写真になる。即ち、カメラ自体の性能が、レンズ以上に影響を及ぼしている。
また、多くのスマートフォンメーカーはソニーのセンサーを使用している。では、スマートフォンにより何が違うのだろうか。ご想像のとおりそれはソフトウェアで、高度なアルゴリズムを備えた画像パイプラインだ。ソフトウェアは、絞りとシャッタースピードの最適な設定を決定し、どの顔に焦点を合わせるかを判断する。ユーザーはシャッターボタンをタッチするだけで良い。
さらにFiLMiC Proなどのアプリは、スマートフォンでの撮影をより詳細に制御することができる。しかし、繰り返しになるが、それはソフトウェアの機能だ。
では、ライカやハッセルブラッドのような「昔ながらの」カメラメーカーは、最新のAI制御スマートフォンで一体何をしているのだろうか。ライカは、M(Messsucher – Rangefinderのように)シリーズのハイエンド写真ツールの販売に力を入れている。ハッセルブラッド(現在はDJIの翼下)は、超高価な中判カメラを製造している。
これらの市場とスマートフォンの市場はまったく異なるセクターだが、それは純粋なマーケティングの論理だ。ハッセルブラッドのカメラがすでに月に飛んでいることは誰もが知っているので、OnePlusが同社のスマートフォンにハッセルブラッドのロゴを貼るのはセールスに優位に働く。一方、ハッセルブラッドにとって、これらのスマートフォンメーカーにブランドを付与することは重要な収入源で、かつ多くの人々がハッセルブラッドのブランドを知るようになる。同じことがライカとファーウェイにも当てはまる。
では、OnePlus 9 Proスマートフォンのハッセルブラッドカメラは、以前のモデルについているノンブランドのカメラよりもはるかに優れているだろうか?色は間違いなくより自然に見えるが、それがコラボの成果か画像処理のノウハウかわからない。 Huaweiも同じだ。同社は2016年のMateP9からライカとコラボしている。しかし、メニューシステムを除いて、実際にライカが製造したものは無い。
さらに奇妙なのはレンズのブランド名で、例えばHuawei P40Pro+は、そのレンズを誇らしげに「Vario-Summilux」と呼んでいる。Summiluxという名前は、常にライカの明るい手動プライムレンズのハイエンドラインを表している。しかしこの「Vario-Summilux」は焦点距離が可変であるだけでなく、f /1.8からf / 4.4に過ぎない。
ポケットライカではない
つまり、これらの煌びやかなブランディングは、単なるブランディング戦略に過ぎない。 あくまでスマートフォンであり、ハッセルブラッドのロゴはそれをハイエンドの写真ツールに変えることは無い。 撮れる写真は確かに素晴らしいが、スマートフォンのカメラはハードウェアだけではなく、ソフトウェアとアルゴリズムにはるかに依存している。 多くのスマートフォンはソニーのセンサーを使用しているが、すべてのスマートフォンのカメラの性能が良いわけではない。
いずれにせよ、最新のスマートフォンであれば、とりあえず美しい写真やビデオを撮影できる。
Source: Der Standard (Austrian newspaper, the article is written in German language)