コロナ禍の影響を受けていない業界はない。私たちに撮影機材を提供しているメーカーも例外ではない。そしてそれは、我々の仕事にも影響を及ぼしている。
世界中のほとんどの人が、コロナ禍の影響を目の当たりにした。このウイルスは急速に拡散し、現在までに世界中で400万人近くが死亡している。多くの国が旅行やビジネス、日常生活を制限した。また多くの企業がリモートワークを施行し、コストを削減し、従業員を解雇した。
もちろん、これは映像業界にも影響を与えている。プロダクションへの影響についてはすでに書いたが、私たちのワークフローを支えているテクノロジーを提供している企業にも影響がある。
生産ロットの縮小
多くの社員が在宅勤務になったり、解雇されたりしたため、企業の生産量は減少した。生産ロットは明らかに小さくなり、ビデオ通話で製品を開発したりするのは難しく、時間もかかる。
というのも、多くの製品が世界中の小さな部品で構成されており、このサプライチェーンは地理的にも時間的にも巨大なものだからだ。今日購入した製品でも、中に入っている部品は1~2年前のものかもしれない。
テクノロジーの中でも特に価値の高い部品は、マイクロチップだ。これは、台湾、中国、韓国、シンガポール、マレーシア、日本でほぼ独占的に作られている。他の国で生産することは理論的には可能だが、非常に高価になる。そのため、半導体に依存しているほとんどの企業は、アジア市場に支店を持っていたり、アジア地域のサプライヤーを抱えていたりして、複雑で長いサプライチェーンを形成している。
今年の3月にスエズ運河で立ち往生したコンテナ船「エバーギブン」の影響も軽視できない。ヨーロッパとアジアを結ぶ最も重要なルートのひとつであるスエズ運河で、エバーギブンと同じサイズの船5隻を含む約370隻の船が6日間にわたって立ち往生した。
グラフィックカードの価格が高騰
部品が希少になり、需要を満たせなくなると、価格の上昇が起こる。世界的なインフレ率の上昇は、ほとんどすべての産業に影響を与えている。
良い例がグラフィックカードだ。NvidiaとAMDは、昨年、最新世代のGPUを発表した。瞬く間にすべての製品が品切れになった。昨年の第4四半期以降、新しいPCを作るのは難しくなっている。スカルパー(商品を大量に購入し、在庫が少なくなると高値で販売する輩)やメーカーが暗躍している。消費者価格は定価をはるかに超え、在庫があれば希望小売価格の2.5倍になることもある。もちろん、この爆発的な需要には、暗号化されたマイニングの影響もあるが、CPUも同じようなパターンだった。
GPUの価格のピークは一時的なものかもしれないが、Teradekのような企業はすでに値上げを発表している。
今後の影響
さて、すでに起こったことを書いたが、1ヶ月後、1年後にはどうなっているだろうか。製品の価格はある程度上がり続けるのではないだろうか。インフレは値段のつくものすべてに影響するが、給料や日当の変動は緩やかなので、新しい機器を手に入れるのが難しくなる可能性もある。
また、ハイテク製品はサプライチェーンが長いため、入手のしやすさも問題となる。また、GPUのように製品の価格が上昇することも考えられる。部品を現地で生産・調達している企業は、海外からの部品調達を待っている企業よりも優位に立てるだろう。
その結果、新製品のリリースに影響が出て、遅れることになるだろう。一緒のテーブルに座ることができないと、開発の効率は下がるし、新しい組み立てを始めるにも時間がかかる。
パンデミックとその規制の影響は、これから1年ほどは顕著に現れると思われるし、それに対応していかなければならない。また、新しい技術に対する見方や取り組み方も変わってくるだろう。
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