ニコンが発売時期を未定としていたプレミアムコンパクトカメラDLシリーズの発売を中止すると発表した。また、同時に多額の損失も計上している。
DLシリーズの開発を中止
同社は1インチイメージセンサーを搭載するコンパクトカメラDLシリーズを昨年6月に発売予定としていたが、画像処理用ICの不具合により、その後発売を延期していた。今回の発表はDLシリーズでの採算に疑問があるため、開発を中止する決定。同社によると、開発費の増加に見合う需要が見込まれないとのこと。
今回発売が中止になったのは、DL18-50 f/1.8-2.8、DL24-85 f/1.8-2.8、およびDL24-500 f/2.8-5.6の3機種。ソニーのRX100とRX10シリーズと競合するポジショニングだった。
財務状況
2つ目は2016年の財務状況の問題だ。同社発表による「特別損失の計上に関するお知らせ」によれば、平成29年3月期第3四半期累計期間において 29,790百万円の特別損失を計上している。
また同時に、1,000人規模で希望退職者を募集した。これにより、3月期連結決算における構造改革関連費用の総額は50億円増加し、530億円と見込まれている。この理由に関して、同社は半導体リソグラフィー事業における在庫の評価減/償却としている。
理由は?
おそらくこの問題の一部は2016年に発生した熊本地震によるものと考えられる。ソニーもこの地震で大きな損害を受けているが、その影響は最小限に留まったようだ。ソニーの撮像素子製造工場は大きな被害を受けたが、ソニーはニコンにとって大きな撮像素子のサプライヤーだとされている。
ニコンは2008年に世界初のビデオが撮影できるDSLRを発売している。しかし、その後、ビデオ機能を搭載するモデルはあるものの、同社のカメラがビデオ機能で大きな話題になることはなかった。ビデオ機能の劣勢が業績の悪化にどれだけ関係しているかは定かでないが、ビデオユーザー、あるいはビデオもフォトも撮るユーザーから見ると、ビデオ機能の巻き返しが期待されるところだ。