オリンパスは、カメラ事業を投資ファンドの日本産業パートナーズ(Japan Industrial Partners:JIP)に譲渡すると発表した。 JIPは、OM-DとZUIKOブランドを引き継ぐ。売却は今年末までに終了する予定。
オリンパスは、84年に渡り、カメラ事業に携わってきた。同社のイメージング事業は、1936年に写真用レンズ「ZUIKO」を使用したカメラの製造・販売から始まった。ミラーレスカメラの最前線でパナソニックとマイクロフォーサーズを立ち上げたのもオリンパスだ。
ほとんどの映像クリエーターにとって、オリンパスのカメラはおそらく一番の選択肢ではなかったが、OM-Dブランドのカメラは多くのフォトグラファーに人気がある。オリンパスからの最後の新製品は2020年2月のOM-D E-M1 MarkIIIだった。一方、オリンパスのマイクロフォーサーズM.ZUIKOレンズは、パナソニックのMFTよりも映像制作に適しており、多くの映像クリエーターが、LUMIXボディでM.ZUIKOレンズを使用している。
オリンパス、イメージング事業を売却
オリンパスはカメラ事業以外にも事業を展開しており、医療、科学、産業用システムなど、他の分野でほとんどの収益を出している。一方、カメラ事業は3期連続の営業損失計上となった。下はオリンパスの発表文の抜粋。
オリンパスは、スマートフォンやタブレット端末等の進化に伴う市場の急激な縮小等、極めて難しいデジタルカメラの市場環境に対応するために、生産拠点の再編等によるコスト構造の見直しや収益性の高い交換レンズを強化するなど、売上規模が縮小しても継続的に利益を生み出せる事業構造とするべく、収益構造の改善を図ってまいりました。しかしながら、オリンパスの映像事業は 2020 年3月期まで3期連続で営業損失を計上するに至っています。
同社は、OM-DおよびZuikoブランドを含む画像処理事業を売却し、その他の主要な事業分野のみに焦点を当てる。
オリンパスのイメージング事業を引き継ぐJIPは、2014年にソニーのVAIO PC事業を買収した会社だ。JIPはイメージング事業を再編し、OM-DとZUIKOブランドを継続するとしている。
映像事業の分社化及びJIPへの譲渡後も、新会社が構造改革後の研究開発・製造体制を維持し、引き続き高品質かつ信頼性の高い製品を提供し続けます。また、オリンパス製品のカスタマーサポートを継続いたします。
現在のところオリンパスユーザーは製品のサポートについて心配する必要はないようだが、OM-DカメラとZUIKOレンズの将来がどのようになるかはまだわからない。
スマートフォンがカメラ市場に進出していることは明らかで、将来的には多くのカメラメーカーが深刻な問題に直面するのかもしれない。今回のコロナウイルス不況の影響で世界経済が減速すると、その傾向が加速する可能性がある。
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