オリンパスは OM-D E-M1 Mark IIIを発表した。これは20.4メガピクセルのマイクロフォーサーズ(MFT)センサーを搭載するミラーレスカメラ。対応する手振れ補正機能搭載レンズと組み合わせた場合、最大7.5stopの手振れ補正を実現している。 また50メガピクセルの高解像度ショットやライブNDなど、多くの写真撮影用の機能を持つ。改善されたオートフォーカスは、ビデオ撮影でも機能する。ビデオは、内部で最大DCI 4K 24fpsのH.264 8ビット4:2:0で記録される。
オリンパスはパナソニックとともに、長年にわたってMFTシステムを採用するカメラメーカーだ。最近パナソニックは、フルフレームのLマウントLUMIXシステムを推進し、ビデオ中心のアプローチを進めている一方、オリンパスは、主に写真撮影に力を入れている。 今回の発表では、ビデオ機能にも若干の改善があるが、特にビデオ機能に力を入れた形跡はない。
OM-D E-M1 Mark IIIの概要
OM-D E-M1 Mark IIIは、従来のE-M1 Mark IIと同じアスペクト比4:3で20.4メガピクセルLive MOS MFTセンサーを採用している。 TruePic IXと呼ばれる新しい画像処理エンジンを搭載し、新機能に対応している。
おそらく、E-M1 Mark IIIの最も興味深い新機能は手振れ補正だろう。オリンパスはこれまで、カメラに5軸センサーの手振れ補正機能を実装してきたが、今回はこれを多少改善し、同社はOM-D E-M1 Mark IIIは世界最高の手振れ補正性能を実現したと述べている。ボディ内ISは約7.0 stopの補正を提供し、対応するレンズをマウントすると約7.5 stopの補正を実現している。
ボディはマグネシウム合金製で、コンパクトかつ軽量に作られており、防塵、防滴(IPX1)、および-10℃までの凍結防止も備えている。またUSB充電にも対応しており、約2時間でバッテリーを満充電できる。
また1秒あたり30,000回以上振動する超音波フィルター(SSWF)を装備し、レンズ交換時にイメージセンサーに付着する埃を除去する。カメラのシャッターユニットの耐久性は400,000回とされている。
オーディオ入出力は、マイク用の3.5mmジャック入力と、ヘッドフォンジャックを備えている。 LCDモニターはフリップアウト対応。2基のカードスロットも持ち、以下のような記録モードが選択できる。
- 標準:指定されたカードへの記録
- 自動切換:指定したカードがいっぱいになると、他のカードでの記録を継続
- 振り分け:指定された画質設定で両方のカードに記録
- 同一書き込み:同じ画質モードで両方のカードに記録
オートフォーカス
最大18 fpsのAF / AEトラッキング高速連続撮影が可能。連続撮影中にライブビュー表示が可能で、動きの速い被写体でも正確に追跡できる。さらに、新しいAF機能「星空AF」が搭載された。夜空の星に正確なオートフォーカスを可能にしている。顔優先/眼優先AFは、精度や追跡性能が進化している。
ビデオ撮影時のオートフォーカスに関しては、OM-D E-M1Xから継承されたオンチップ位相検出AFとAFアルゴリズムを利用し、正確なAFを実現している。ビデオ撮影用の4種類のAFターゲットモードが利用でき、C-AFの感度と動作速度もカスタマイズできる。マルチセレクターにより、動画撮影中でもAFエリアを移動できる。
写真撮影機能
従来のモデルでも高解像度モードは搭載されていたが、E-M1 Mark IIIでは、ハンドヘルドモードで最大8160 x 6120(約50メガピクセル)、あるいは三脚を使用して最大10368 x 7776(約80メガピクセル)の写真を撮影できる。この機能はセンサーシフトを使用し、16回撮影された320メガピクセルの情報から最終画像を作成する。
またライブND機能も搭載された。ライブNDは、露出時間を延長し、複数の露出を合成することにより、遅いシャッタースピードで撮影できる。写真撮影の場合、NDフィルターを使用するのと同じ効果が得られるが、この機能はビデオ撮影には使用できない。ライブND効果は、ND2(1ステップ)からND32(5ステップ)まで5段階から選択でき、画像は、撮影前にビューファインダーやLCDモニターでリアルタイムに確認できる。
プロキャプチャーモードでは、半押しで記録を開始し、全押し時点からさかのぼって最大35コマ記録することが可能。この機能は、人の反応タイムラグやカメラの動作タイムラグが原因で撮り逃していた瞬間をより確実に記録する。 RAWおよびJpegで記録でき、撮影中のブラックアウトも無い。
ビデオ機能
ビデオ機能については、OM-D E-M1 Mark IIIは、E-M1 Mark II からわずかに改善されている。使用可能な記録モードは次のとおり。
- 4096 x 2160 (C4K) at 24p / IPB (approx. 237Mbps)
- 3840 x 2160 (4K) at 30p, 25p, 24p / IPB (approx. 102Mbps)
- 1920 x 1080 (FHD) at 30p, 25p, 24p / ALL-I (approx. 202Mbps), IPB (approx. 52Mbps, approx. 30MBps, approx. 18Mbps), or at 60p, 50p / IPB (approx. 52Mbps, approx. 30MBps, approx. 18Mbps)
- 1280 x 720 (FHD) at 60p, 50p, 30p, 25p, 24p / ALL-I (approx. 102Mbps), IPB (approx. 26Mbps, approx. 14MBps, approx. 10Mbps)
ビデオ記録形式はMOV(MPEG-4AVC / H.264)で、最大記録時間は約29分。また、カメラはFHD(1920 x 1080)で最大120fpsのスローモーションを記録できる。撮影時に、再生フレームレートを24P〜60Pの間で調整できる。
ビデオ記録中の手振れ補正に関しては、2つのモードがある。
- M-IS1(イメージセンサーシフトおよび電子補正によるマルチモーションIS、視野は異なる)
- M-IS2(イメージセンサーシフトによるマルチモーションIS)、OFF
フリッカースキャン機能を使用すると、シャッター速度を微調整することにより、LEDライトなどを使用した場合の縞模様を回避することができる。さらに、E-M1 Mark IIIでは、ダイヤルによりシャッタースピードをより大きなステップで調整し、目的のシャッタースピードを即座に設定することができる。
オリンパスは、OM-Logと呼ばれるフラットなガンマ曲線画像プロファイルをサポートしており、シャドウとハイライトのディテールを保持することができる。またビューアシスト機能により、ライブビューでのモニタリングをBT.709に変換された画像で見ることができる。 LUT(ルックアップテーブル)ファイルは、オリンパスから直接入手できる。カメラが内部で記録できるのは8ビット4:2:0ビデオのみのため、強いカラーグレーディングを行うと、バンディングなどの不要な効果が発生する可能性が高い。
HDMIコネクタは4:2:2信号を出力でき、 Atomos Ninja Vなどの外部レコーダーでビデオ信号をProResファイルとして記録できる。カメラで同時に記録する場合は、4:2:0は4:2:2にアップサンプリングされる。使用する外部モニターによっては、一部の機能が利用できない場合がある。
E-M1 Mark IIIとOlympus PCMオーディオレコーダーLS-P4の組み合わせにより、より高品質のサウンドでより良いビデオ撮影が可能になる。 LS-P4は、それ自体で音声を録音でき、レコーダーで高解像度の音声をバックアップしながら、外部マイクとしても使用できる。 E-M1 Mark IIIと同時にリリースされたLS-P4のファームウェアバージョン1.10では、サウンドファイルの編集に役立つ「スレートトーン」機能と、レベル調整をサポートする「テストトーン」が追加されている。
オリンパスM.Zuiko 12-45mm f / 4 PROレンズ
オリンパスは、すでに12-40mm f / 2.8 PROレンズを発売している。これは、MFTシステムに最適な標準ズームレンズの1つだ。新しいオリンパスM.ZuikoデジタルED 12-45mm f / 4 PROは、より手頃な価格のコンパクトなレンズで、リーチが拡張されている。 f / 4一定の明るさを保ち、24-90mm(35mm換算)の焦点距離を提供する。レンズの寸法は63.4 x 70 mmで、重量は254 g。
ワイド端で4.7インチ(約12cm)、望遠端で9.1インチ(約23cm)の最短合焦距離は、1:2の最大倍率で、クローズアップ撮影に適している。絞りは7枚羽根で構成され、f / 4とf / 22の間で調整できる。 フィルター径は58mm。なお手ぶれ補正機能は搭載していない。
工学設計は鮮明な色精度の画像を目的に、球面収差、色収差、および歪みを抑制している。 ゼロコーティングも特徴で、フレアとゴーストを制御し、明るい環境で撮影する場合のコントラストを改善している。更に耐候性も考慮されている。
Price and Availability
オリンパスOM-D E-M1マークIIIは現在予約注文可能。 2020年2月28日に発売予定。カメラ本体の価格はオープンだが、実勢価格は20万円前後。 12-45mm f / 4 PROレンズも同時に出荷を開始し、希望小売価格は85,000円(税別)。