パナソニックLUMIX BGH1レビュー
パナソニックLUMIX BGH1は、マイクロフォーサーズセンサーを搭載したボックススタイルのカメラで、間もなく出荷が開始される。今回発売前のものを手に入れることができたので、簡単なドキュメンタリーを制作し、レビューした。
LUMIX BGH1は10月中旬に発表され、出荷が始まろうとしている。今回、このカメラが実際どのように使えるかを確認するため、レビューを行った。
コンセプト
「ボックスカメラ」の概念は従来からもあり新しいものではない。しかし、最近このような「ブレイン」がどういうわけか増えているようだ。中国のカメラメーカーZCAMはすでにさまざまなセンサーサイズのボックスカメラを発売している。Z CAM E2と、より手頃なE2Cが良い例だ。 REDの最新のカメラであるKomodoも同様だが、より大きなセンサー(Super 35)を搭載している。このようなボックスカメラはLCDディスプレイやEVFなどのパーツが無く、さまざまな撮影状況に対応できる。ユーザーがすでにそれらを所持している場合、これらを使いまわせることにより、価格を下げることもできる。
パナソニックBGH1は非常に柔軟なカメラで、多くの撮影スタイルに対応できる。今回のレビューではドキュメンタリーで使用したが、ドローンやマルチカメラ制作などでの使用に関しては、この記事のコメントセクションで情報を共有していただきたい。
ターゲットユーザー
レンタルハウスや制作会社、あるいは放送局での使用なら、このタイプのカメラは非常に理にかなっている。ある日はドキュメンタリー撮影に、別の日はドローンと組み合わせて、翌日はスポーツイベントでカメラをリモコンで操作するといった使い方ができる。いずれにせよ、他の多くのカメラと同様に、カメラの長所を考えると、使い方も見えてくる。そこでこのカメラの特徴を並べてみた(順不同)。
- マイクロフォーサーズカメラの中では優秀なダイナミックレンジ(後日ラボテストを実施予定)
- 良好なローリングシャッター制御
- 非常に優れた低照度特性を備えたデュアルISOカメラ
- 小型のため幅広い用途
- 柔軟な記録フォーマット/フレームレート/解像度
- 非常に長いバッテリー持続時間
- 非常に良い音質
ドキュメンタリー撮影での使用感
さて、「リグアップ」して、撮影映像を安定させるための適切な解決策をとらなければならない。このカメラにIBISは搭載されていないからだ。
しかしリグアップはそう簡単ではなかった。まず、ショルダーマウントを考えた。バランス的に適切と思われたからだ。しかし、ボタンの配置を見ると、肩に担いでカメラを操作することはほとんど不可能だと気付くのに時間はかからなかった。
ショルダーマウントをするなら適切なコントローラーが必要だが、その目的を達成できる機器の情報は無い。いずれにせよ、これは本当に小さなボックスカメラで、肩に乗せるようにリグアップすることは、難しいという判断に達した。
そこでカメラサイドにVocasの木製ハンドルやJobyのWavoマイクなど、必要なものを取り付けることにした。驚いたことに、ネジをしっかりと固定することができなかったため、それらを取り付けるのはそれほど簡単ではなかった。小型軽量にするため、筐体が比較的薄いようだ。 1/4ねじは、標準の深さの穴が無い。
1つの解決策は、SmallRig 3024のようなケージを使用することだ。これは、カメラ本体にぴったりと収まり、同時に多くのアタッチメントポイントを追加できる。
結局かなりの時間をかけてさまざまなリグを試した後、カメラを「現状のまま」にし、アクセサリーを直接接続することにした。小ささを生かし、ミラーレスカメラのように操作することを試みた。
モニター用に、長年使用していなかったが、非常に古くて信頼できるCineroid EVFを使用した。オーディオには、Joby Wavoマイクを使用し、Vocasの木製グリップとトラップも取り付けた。
レンズは、オリンパスのM.ZuikoデジタルED 12mm f / 2とM.ZuikoデジタルED12-100mm f / 4 ISPROを使用することにした。12mmレンズは、ドキュメンタリーに最適だ。光学品質は素晴らしく、軽量で、比較的明るく、焦点距離が広いため、被写体を追いながら動きや揺れを補正するのに役立つ。このオリンパスレンズをBGH1で使用すると、オートフォーカスが非常にうまく機能することも分かった。
もう一つのレンズはオリンパス12-100mmf / 4で、これはもちろんはるかに重く、ドキュメンタリーの撮影スタイルでは最適とは言えないが、焦点距離を変更する場合、素早く操作できる。(たとえば、MirafloresとGOTAコーヒーのスタッフと顧客を遠くから撮影)。このレンズの利点は、光学手振れ補正を内蔵していること。これとオートフォーカスシステムはBGH1でうまく機能した。
ボタンとメニューの操作性
カメラのボタンとメニューの操作性が撮影中の最大の問題だったかもしれない。常にボタンを操作していたからだ。ちなみに、マニュアルレンズを使うと、少なくとも絞りの操作にはボタンを使う必要がないので、少し楽になるかもしれない。
次のモデルではジョグダイヤルが追加されることを期待する。これにより、特にメニューをナビゲートするときや、撮影操作自体でカメラの全体的な操作性が向上するだろう。
全体的な性能
BGH1を使用するには、多少「慣れ」が必要だ。ドキュメンタリー、特に頻繁に移動しながら撮影する場合は、快適に撮影できるように準備する必要がある。当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、単なるボックスであるカメラを使用する場合は特に重要だ。
IBISがないのは残念だ。特にパナソニックはこの分野で先行しているメーカーなので、ことさらそう思える。この機能を補う方法は次のようなことが考えられる。
- 手振れ補正搭載レンズを使用する
- 広角レンズを使用する
- 三脚やジンバルを使用する
オーディオ
BGH1は、パナソニックのDMW-XLR1E XLRマイクアダプターと互換性がある。このアダプターはオフィスにあるが、コンパクトにするため、カメラのダイレクト3.5マイクソケットを使用した。これでもオーディオ品質は良好だった。
オートフォーカス
オートフォーカスはほぼうまく機能した。パナソニックはカメラのオートフォーカス性能を常に改善しているので、より「成熟した」ソリューションを手にできる。
低照度特性
低照度特性に関しては、LUMIX GH5Sと同様のパフォーマンスが期待できる。また、BGH1はデュアルISOカメラであり、ネイティブISOは選択した画像プロファイルに応じて変化する。
不足している機能
これは専用のビデオカメラなので、個人的には可変NDフィルターが内蔵されていて欲しい。ただしカメラ内のスペースが厳しいため、機械的なNDフィルターを入れるのは非常に難しい作業だ。将来のモデルでは、是非電子可変NDフィルターを搭載することを検討して欲しい。
まとめ
BGH1は、優れた用途の広いカメラだが、すべての人に適しているわけではない。通常の映像クリエーターなら、もっと簡単な解決策があるだろう。ただし放送局や制作会社、あるいはレンタル会社なら、このカメラは非常に手頃なコストで非常に多くの撮影スタイルに対応できるため、最適かもしれない。さらに、このようなカメラが成功すれば、そのコンセプトをフルフレームセンサーにも適用できるだろう。
ところで、カラーグレーディングについて言えば、パナソニックの映像には余分なマゼンタに悩まされる。ただ、パナソニックのカメラ全体の色の統一性があるので、これはおそらくすぐには変わらないだろう。皆さんの意見はいかがだろうか?
冒頭のビデオに関して
パナソニックLUMIX BGH1とオリンパス12mmおよび12-100mmで撮影。 V-Log L、さまざまなISO値(この画像プロファイルにネイティブであるため、ISO 400および2,000を維持)。主にハンドヘルドで撮影したが、一部スライダーも使用。また幾つかのクリップはポストで手振れ補正している。 LUTはLutify.meで処理。音楽はEpidemicsoundの許可を得ている。
謝辞
貴重な時間を割いてこのビデオに出演してくれたKatieさんとMarkusさんに感謝したい。ウィーンで最も美しいフラワーショップと最高のコーヒーハウスの詳細については、MirafloresのWebページとGOTACoffeeのサイトごご覧いただきたい。