パナソニックがLUMIX BS1Hを発表した。これはS1Hの内部構造(IBISなし)とBGH1に似たボディを持つボックススタイルのフルフレームカメラだ。このカメラは、最大5.9K/30pのフルセンサー、または最大C4K/60pのSuper35クロップビデオで撮影できる。また、12ビットのRAW映像をHDMIで、フルHDを3G-SDIで出力することができる。堅牢なボディには、PoE+機能を備えたイーサネットポートも搭載しており、リモートでの電源供給や制御が可能となっている。
最近、ボックス型のモジュラーカメラが人気を博している。例えば、Z CAM E2シリーズ、RED Komodo、そして新しいRED V-RAPTORなどがある。パナソニックも、すでにこのようなカメラをラインナップしている。2020年11月に発表された「LUMIX BGH1」は、最も手頃な価格のNetflix公認カメラとなった。
これはGH5Sのマイクロフォーサーズセンサーを搭載し、SDI出力やイーサネットポートなどによる接続性の向上を実現した。(ラボテストはこちら)。今回、パナソニックはもう一つの箱型カメラLUMIX BS1Hを発表した。その名前が示すように、基本的には箱型のS1Hだ。
LUMIX BS1Hの概要
パナソニック自身は、この新しいカメラを「Full-Frame Box-Style Mirrorless Live & Cinema Camera」と呼んでいる。内部構造は同社の動画中心のミラーレスのフラッグシップ機、LUMIX S1Hのものを採用している。ボディの大きさはBGH1とほぼ同じ。
スペックについては、基本的にLUMIX S1Hと同じ。デュアルネイティブISOを搭載した24.2メガピクセルフルフレームCMOSセンサーの有効解像度は6,024×4,016で、パナソニックによるとモアレや偽色を抑制するOLPF(光学ローパスフィルター)が搭載されている。もちろん、ライカLマウントを採用している。
動画撮影、ダイナミックレンジ
S1Hと同様に、このカメラには10ビットの4:2:2、4:2:0、8ビットの4:2:0と多くの記録モードがある。映像の解像度とフレームレートは、6K/24p、5.4K/30p(アスペクト比3:2のアナモフィック)、5.9K/30p(アスペクト比16:9)のいずれかになる。また、BS1Hでは、Super35などにクロップした場合に、10ビット60pの4K/C4K HEVC映像の記録が可能。4:2:2 10bit 4K30pは、H.264でフルエリアでの記録が可能となる。
ダイナミックレンジについては、パナソニックはV-Logで14ストップ以上を実現できるとしている。ダイナミックレンジの性能はS1Hと同じだと思われるので、S1Hラボテストを参照いただきたい。さらにパナソニックは、LUMIX BS1HがVariCamシリーズのシネマカメラのカラリメトリを採用し、美しい肌色と正確な色を実現していると述べている。
LUMIX BS1H」は、バックアップやリレー録画用に2つのSDカードスロットを備えている。また、2つのタリーランプ(前面・背面)とネットワーク接続ランプを搭載している。さらに、操作ロックスイッチと5つのファンクションボタンを搭載している。音声入力については、3.5mmオーディオ(入出力)端子のほか、パナソニック製XLRマイク「DMW-XLR1」にも対応している。
S1Hとの相違点
LUMIX S1Hと比較すると、まず、BS1HにはIBIS(In Body Image Stabilization)が搭載されておらず、センサーは固定されている。次に、BS1Hには当然ながらディスプレイがない。HDMIやSDI出力で外部モニターを接続する必要がある。
外部記録とストリーミング
SDI出力といっても、3G-SDIしかないので、フルHDの解像度しか出力できない。そのため、どちらかというとモニターに適している。一方、HDMI端子は、最大4K 60p 4:2:2 10bitのクリーンな映像出力と、最大5.9K 30p 12bitのRAW映像出力が可能だ。カメラのHDMI出力は、 Atomos Ninja VとBlackmagic Video Assist 12Gの両方のレコーダーに対応し、さまざまなビデオフォーマットで外部に記録することができる。
ライブストリーミングのニーズの高まりに対応するため、BS1Hでは、有線LANでPCを接続することで、オンライン上のソーシャルストリーミングプラットフォームへの遠隔画像送信を可能にするIPストリーミング機能を搭載している。H.265による4K 60p(50p)映像のストリーミングが可能。帯域が十分に広くない場合でも、低ビットレートで超高精細な4Kでのストリーミングが可能だ。
カメラ本体と接続性
BS1Hは、マグネシウムとアルミニウム合金で構成されたボディフレームを持つボックス型の筐体を採用している。カメラの側面にはアクティブクーリング用の通気口が設けられている。サイズは93.0×93.0×78.8mm、重量は585g。参考までに、「BGH1」のサイズは93.0×93.0×78.0mm、重量は545gなので、新しい「BS1H」はわずかに大きい。
カメラの背面には、多くのポートとバッテリースロットがある。BGH1やEVA1と同様に、BS1Hでもパナソニック製のVBRバッテリーを採用している。USB 3.1 Type-Cのほか、3G-SDI(BNC)とフルサイズのHDMI端子を搭載しており、同時出力が可能となっている。また、マルチアングルでの同期撮影が可能なGENLOCK IN(BNC)、TIMECODE IN/OUT(BNC)機能を搭載しており、外部モニターやリグ、ジンバルなどを使った拡張性の高いシステムを構築できる。
LAN接続時には、PoE+(Power over Ethernet+)に対応したイーサネットポートを搭載している。これにより、パナソニックのPCソフトウェア「LUMIX Tether for Multicam」を介して、最大12セットのLUMIX BS1Hカメラをコントロールすることができる。なお、USB/LAN経由でカメラを制御するためのSDK(Software Development Kit)は無償で提供される。さらに、汎用のリモートコントロールユニットφ2.5mmに加え、2.4GHzのWi-Fi接続、Bluetooth 4.2(BLE)にも対応している。
価格と発売時期
パナソニック LUMIX BS1Hは、現在海外では3,497.99ドルで予約販売されている。出荷開始は11月中旬頃を予定している。参考までに、LUMIX S1Hは現在514,800円。
パナソニックの発表資料はこちら。