2017年初頭にLUMIX GH5がリリースされてからかなりの時間が経ち、後継機であるGH5 IIが我々のラボに到着した。新しいセンサーアーキテクチャーと更新されたヴィーナスエンジンにより、パフォーマンスが向上している。
マイクロフォーサーズ(MFT)センサーを搭載したカメラの新製品が発表された。MFTセンサーを搭載したカメラは、レンズの適応性が非常に高く、ローリングシャッターの値が低く、ダイナミックレンジの広さも問題ない。
2009年以降、これらのMFTセンサー搭載カメラはどれも美しい映像を撮影できるので、センサーが小さいからと言う言い訳ができなくなった。LUMIX GH5 IIのレビューとミニドキュメンタリーはこちら。
2018年にLUMIX GH5をテストしたとき、S/N比2では9.7ストップ、SNR=1では10.8ストップのダイナミックレンジしか示さなかったので、少しがっかりした。「GH5S」や「Z CAM E2」などの他のMFTセンサー搭載カメラでは約1ストップ多く、最近テストした「LUMIX BGH1」ではSNR=2で11.6ストップも表示された。
リニューアルされたGH5 IIはどうだろうか?
ローリングシャッター
いつものように300Hzのストロボ光を当てて、記録画像の上から下まで白黒の縞模様のペアを作る。これにより、ローリングシャッターの値を測定することができる。
4K DCIモード(UHDよりも画像の高さが7%低い)では、以下のように、25pと50pで13.9msというかなり良好なローリングシャッターが得られた。
13.9msは、LUMIX BGH1(UHDで11.9ms)やZ CAM E2(4K DCIで11.1ms)よりも少し悪い値だが、全体的にはとても良いといえる。
ISO400およびISO2500におけるダイナミックレンジ
ダイナミックレンジのテスト方法についてはこちら。
ISO400、4096×2160の25pモード、V-Log Lで、Xyla21チャートを撮影すると、以下のような波形が得られる。
V-Log Lで見てもわかるように、80%のLuma値以下ですでにクリッピングが発生している。ノイズフロアの上には約11ストップが確認でき、ノイズフロアの内側には弱めの12ストップとさらに弱めの13ストップが確認できる。
Imatest confirms this finding, 10.5 stops are calculated for SNR = 2 and 11.5 stops at SNR = 1 for ISO 400, V-Log L:
この結果から言えるのは、初代GH5に比べて0.8ストップ分良くなっていることと、真ん中のグラフの青いSNR=1のライン(11.5)よりもさらに2ストップ分ほど上が確認されていることだ。もし、内部記録されたH264 10bit 4:2:2ファイルのコーデックが、ノイズフロア内のディテールも捉えることができるほど強力であれば、ポストプロダクションでの高度なノイズリダクション技術を用いて、この2ストップ分を「発掘」することができる。このコーデックはシャドー部分を掘り下げることができる。これは後述のラティテュードのセクションで明らかにする。
また、ISO感度を上げていくと、「SNR=2」と「SNR=1」のしきい値におけるダイナミックレンジの値が、ISO感度を上げるごとに小さくなっていくことが分かった。例えば、ISO2500では次のような波形が得られた。
これは予想されたことだが、画像はよりノイズが多くなり、ノイズフロアの上に10ストップほどの値が見られる。下のIMATESTでもこれを確認している。ダイナミックレンジの値は、SNR=2で9.25ストップ、SNR=1で10.6ストップまで低下している。
このセンサーはISO400のみのネイティブISO値しか備えていないため、ISO値が高くなるとダイナミックレンジにかなりの影響を与える。従って光量の少ない状況では撮影に注意が必要だ。
ラチチュードテスト
ラティチュードとは、露出オーバーやアンダーになったときに、カメラが色やディテールをどの程度維持できるかを数値化したものだ。
今回のケースでは、標準的なスタジオシーンで、人物の額の波形上のルミナンス値60%をベース露出を設定している。カメラの設定は再びISO400、4K DCIモードのV-Log Lとした。
前節のXyla21チャートの波形プロットに見られるように、この設定はV-Log Lではすでにかなり高くなっており、クリッピングが発生する前に、あと2ストップだけ露出オーバーにすることしかできない。
額の赤チャンネルは、10bit空間(V-Log L)ではクリッピング値の768に近い。左側では、Datacolor Spyderのいくつかのパッチがすでにクリッピングしている。
そこから、レンズのアイリスをT1.5からT8まで絞って露出アンダーにし、さらにシャッター角度を360°から180°、90°、45°にすることで、8ストップの露出変化とした。参考までに、標準的なスタジオ風景では、シャドウは被写体の顔から5ストップ分下にある。
基準となる3ストップ分の露出を見ると、戻された画像にはすでにノイズが発生しており、基準となる4ストップ分の露出はかなりノイズが多くなっている。
しかし、色はよく保たれており、ノイズも微細で、大きなクロマノイズの斑点もないため、ノイズリダクションできれいに仕上げることができる。
基準露出の5ストップアンダーでは、戻すと画像が崩れる寸前だ。ピンクがかった色調になっているが、これは主にクロマノイズが多く発生しているため。
しかし、ノイズは細かく分散されており、横縞や縦縞のような不要効果も見られないため、ノイズリダクションで十分に画像をきれいにすることができ、クロマノイズによるピンク色のトーンも抑えられる。しかし、深い影への移行部分にはピンク色のトーンが残っており、かなり不自然な印象を受ける。
つまり、この時点で限界に達したということだ。
6ストップアンダーをベースに、戻した画像は以下の通り。
ルミナンスノイズとクロマノイズの大きな斑点は、ここで紹介する静的なダウンスケールされた画像よりも、動画の方が識別しやすく、全体的に色がおかしくなっている。ここで「ゲームオーバー」だ。
とはいえ、MFTセンサーにしては、正直なところ、この結果はとても素晴らしいものだ。CineDの標準的なスタジオシーンでGH5 IIの露出ラティテュードは7ストップ(2オーバーから5アンダー)で、最近テストされたフルフレームのソニーα7S III(センサーサイズは4倍)と同じレベルにまで引き上げられている(こちらのテストを参照)。先日テストしたLUMIX BGH1では、露出アンダーの画像に強い横線が入ってしまうため、ここでは6ストップの露出ラチチュードしか測定できなかった。
これは主に、水平線や垂直線のような目に見える不要効果がないためで、内蔵コーデックは露出アンダーの強い画像の細かいノイズをエンコードし、ポストプロダクションでのノイズリダクションで画像を修復できる。
参考までに、パナソニックのS1H、S1、S5(ラボテストはこちら)やソニーのα1(ラボテストはこちら)のような最近のフルフレームカメラは、8ストップの露出ラチチュードで、さらに約1.5ストップのダイナミックレンジを示している。また、最近テストされたArri ALEXA Mini LFのような最上位のシネマカメラは、10ストップの露出ラチチュード(ラボテストはこちら)で、約3ストップのダイナミックレンジを実現している。
まとめ
パナソニックLUMIX GH5 IIは、先代のLUMIX GH5に比べて間違いなく大きな進歩を遂げている。ローリングシャッター、ダイナミックレンジ、ラチチュードなど、すべての面で非常に優れている。
最新のMFTカメラの能力と、しっかりとした内部記録との組み合わせで、非常にしっかりした有機的な画像が得られ、ポストで補正されても破綻することはない。