パナソニックLUMIX S1フルフレームカメラは、cinema5Dのダイナミックレンジとラチチュードテストで非常に良い結果を残した。そこで今回はローリングシャッターのテストを行ってみたい。ご存知のようにローリングシャッター現象はCMOSが持つ特有の好まざる現象だ。
Cinema5DではすでにパナソニックS1に関するいくつかの記事をリリースしている。V-Logプロファイルでのダイナミックレンジとラティチュードに関するテスト記事はこちら。
今回はローリングシャッターに関してテストを行った。ローリングシャッター現象はCMOSベースのカメラが持つ特有の現象だ。電車の窓から見る景色のような、動きの速い被写体の場合、垂直の線が斜めになってしまう。もう1つの例は、手ぶれ補正なしで撮影する場合の、手ぶれにより「ゆらぎ」感だ。
ローリングシャッター現象の原因
フレーム全体が一度に読み取られるグローバルシャッターに対し、読み取りが一定の速度(ミリ秒単位のローリングシャッター値[ms])でフレームの上部から下部へと行われるため、ローリングシャッター現象が発生する。
これは、フレームの上から下へ1行づつ読み出されることを意味する。一番上の行から一番下の行を読むまで時間差があるため、その間に映像の変化がある場合、被写体は歪んでしまう。
Cmgleeの例を下に示す(クリエイティブコモンズCC BY-SA 3.0でライセンスされている)
我々映像クリエーターにとっては、もちろんローリングシャッター現象は少ないほど良い。
さまざまなモードでパナソニックS1のローリングシャッターを見る
cinema5Dのテストでは300Hzの高周波数、クオーツ&マイクロコントローラベースのストロボ光に基づく新しい試験方法を採用している。センサーの読み取りが上から下に行われるに従って、ストロボから黒と白のバーが連続して表示される。
白黒のバーのペアを数え、1000/300 = 3.333 [ms]を掛ける。白黒バーの数が少なければ少ないほど、ローリングシャッターは少なく、即ち我々にとって良い結果となる。
フルフレームモードで毎秒25フレームのUHD(3840×2160)から始める。下の図のように22 [ms]という良い値を得ている。比較すると、例えばソニーα7シリーズのカメラではすべて25 [ms]より高い値が出る。
次はAPS-CモードのUHD 25p。驚くことに、ローリングシャッターは半分以下、10.4 [ms]となっている。 UHD 50p(APS-C)では、値は10.4 [ms]で同じだ。 なお、UHD 25pでは富士フイルム X-T3などのAPS-Cカメラは19.6 [ms]、 Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kなどのマイクロフォーサーズカメラは16 [ms]の読み出し速度を示している。またGH5は15 [ms]。 さらに、APS-CモードでフルHDで試したところ、7.4 [ms]という驚くべき結果が得られた。(50p APS-CのフルHDも7.4 [ms])実に素晴らしい結果だ。まとめ
パナソニックS1フルフレームカメラのテストを重ねているが、結果はどれも素晴らしいものだ。次に登場するパナソニックS1Hカメラのテストが楽しみだ。
パナソニックS1は実に素晴らしい映像制作用カメラと言える。 無料のV-Logアップグレードも含め、比較的手頃な価格というのも嬉しい。
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