パナソニックはVaricam LTのファームウェアVer.6を発表した。2月末リリース予定で、ライブ制作用の機能を充実させている。コンサート、イベント、テレビ番組などのマルチカムイベントでフィルムルックな映像を実現する。
2月末にリリース予定のファームウェアVer.6は、ライブプロダクションの機能を充実させ、マルチカメラシステムによるライブ・イベントやコンサートの収録が容易になる。
Varicam LT Firmware 6.0
ライブ放送では、大型のボックススタイルのレンズをマウントした2/3インチのENGカメラを見かける。しかし、このファームウェアアップグレード後は、それらのボックスレンズをマウントしたVaricam LTにお目にかかるかもしれない。
パナソニックは、この新しいファームウェアに、ライブ関連の機能を集約した。カメラは、タリーとともに新たにシェーディングモードを搭載し、リターンビデオを返す。従来のAK-HRP1000リモートパネルなどのリモートコントロールユニットを使用して、完全にカメラをコントロールすることができまる。 また、PomfortのLiveGrade、FireFly、CodexなどのソフトウェアをインストールしたPCでライブグレーディングが可能となる。
シェーディング、LUT、シーンファイルなど高度なペイント機能を含め、すべてをリモートで制御することができる。これにより、複数のカメラのマッチングが容易になり、全てのカメラで同じルックに調整することができる。新しいシェーディングモードでは、ライブカメラの色補正を実行しながらV-Logで収録することも可能となる。
ファイバー伝送は、DTS、ERECA、Multidyne、Telecastなどの伝送システムを介して可能となる。カメラの各SDI出力は別々に制御することができる。オンエア用のカラー補正されたクリーン出力をモニタリングビューでステータスチェックしたりマーカーをつけたりすることも可能だ。
音声関連では、ファームウェアのアップグレードにより、新しい「ライブモード」が搭載される。これにより、撮影中のファンノイズが軽減される。
ライブ撮影はENG からシネマへ
Varicam LTにはSuper 35mmのセンサーが搭載されているため、ライブ環境でも2/3 インチENGカメラを超える画質が期待できる。同社によれば、次のようなメリットが考えられる。
- VariCamの受賞歴を誇るSuper 35mmセンサーでシネマライクなルック
- VariCamのHDR対応のダイナミックレンジ14+ストップ
- VariCamの画質とカラーサイエンス
- VariCamのDual Native 800/5000 ISO機能で低照度撮影に有利
- ISO 5000では、レンズアダプターやズームレンズのFドロップを補正
ライブレコーディングで浅い被写界深度が必ずしも望ましいとは限らないが、これらのメリットは高品質のコンサート、イベント、テレビ番組の可能性を広げるだろう。
価格とリリース時期
このアップデートは、2018年2月末にリリースされる予定で、Varicam LTシステムの既存ユーザーは無料。
このファームウェアのアップグレードは、全てのユーザーのためではない。個人レベルの映像制作者であれば、これらの新機能は必要ないものだ。しかし、パナソニックがVaricam LTのさらなる可能性に挑戦しているのは素晴らしいことであり、まったく新しい種類のカメラになったといえるだろう。これらの機能を使う可能性がある現場にいるなら、是非試していただきたい。
Links: Varicam LTのWebページ