TYR Take-Away Russian Arm - 使いやすくなった車載クレーン
今年のIBCには“Russian arm”の新製品が展示されている。“TYR Take-Away Russian Arm”はコンパクトでセットアップが容易なジブシステム搭載のクルマ用クレーンだ。
従来のRussian armのイメージが思い浮かばない場合は、上のビデオを見ていただくのが早いだろう。これは車載カメラクレーンで、高速で走るクルマの中から操作できる。主な用途はクルマのCMが想定されており、ScorpioからOculusまであらゆる種類のジンバルヘッドを使用することができる。このシステムの使用コストは、クレーンだけでも6桁(ドル)のレベルで、通常は車を含むレンタルで利用される。また、これに加え、搭載するクルマにはシステムの重量などを考慮して対応する必要がある。そのためには、クルマ自体の改造も必要になってくる。なお、これらのクルマは、使用後には廃棄されることになる。
ドイツの会社Allgolden UGはこれを根本的に変えるシステムを開発した。Take-Away Russian Armの名前が示すように、今までのRussian Armシステムを凌駕するシステムで、ショットの要件に応じてさまざまな位置でクレーンを車両の上に置くことができる。おおよそ110,000ユーロの購入価格で、まだまだ安いとは言えない(詳しくはIBCのビデオを参照)。ただし、普通の乗用車の上に設置することが可能になっている。また、従来は専用のオペレーターが必要だったが、彼らの計画では(もちろんレンタルハウスにもよるが)、通常は特別なオペレーターなしでシステムをレンタルすることができる。
各種のモード
Take-Away Russian Armには以下のようなさまざまなモードが用意されている。
- 拡張モードでは、3軸により3D空間で自由に移動できる。クルマの周りを360°回転でき、クルマとの距離や上下動もコントロールできる。
- コンパクトモードでは、経験が少なくても使いこなすことができる。オーバーヘッドの動きをクルマから90cm以下に制限することで常に安全な範囲に留まり、衝突の危険性を大幅に低減し、クルマの上下左右に360度動かすことができる。
- ガレージモードは、限られたスペース専用の特殊モード。駐車場や狭い通路で追跡ショットを撮影することができる。
サポートされているクルマとジンバル
TYRシステムは工業用規格のエレクトロニクスで構成され、陽極酸化処理された筐体で、非常に耐候性が高いことが確認されている。システム自体は200種類以上のクルマに設置できるが、リストにないクルマの場合は、ニーズに合わせてカスタマイズすることができる。リグは20KGの耐荷重がある。今のところ、以下のカメラとジンバルがサポートされている。
適応カメラ
Arri Alexa Mini, Red Weapon, Canon C500, Canon 5D, Sony Alpha 7, Sony FS7, Sony F55, Blackmagic URSA
適応ジンバル
Shotover G1, Movi XL, Movi Pro, Movi M15, DJI Ronin 2, DJI Ronin MX
コントローラーとアプリ
TYRシステムには、アプリがプリインストールされたタッチスクリーンタブレットが同梱される。このアプリにはクルーの安全のため、クレーンの位置のフィードバック、ユーザーの制限、非常停止ボタン、セーフティマージンなどの機能が搭載されている。また、ゲートチェック、レンズ交換、カード交換、あるいはランチタイム中などにすべての動作をブロックする2つの補助スイッチが含まれている。
価格と発売時期
TYRのエンジニアはまだシステムとアプリを開発中だが、発売時期は数カ月先、価格は110,000ユーロとのこと。一般的にはレンタルアイテムとなる。