小型カメラのモーションコントロールシステムは、今やかなり普及してきたが、残念ながら相互互換性は低く、ユーザーが自ら工夫して使わなければならない状況が続いている。Black Forest MotionのPINEはこの状況に対するソリューションを提供しようとするものだ。このプロジェクトはKickstarterに登録され、40,000ユーロの資金調達目標を上回り、現在KickstarterまたはWebサイトで購入できる。
独自性とオープン性
独自性とオープン性の両立- これは、数多くの技術産業に残っている難しい課題だ。ハイテク産業は、オペレーティングシステム、ビデオコーデック、あるいは映像機器の接続プロトコルなどにおいても、トップダウンの独自性とボトムアップの創造性、そして運用上の柔軟性の間で揺れ動いている。
独自性
それぞれ一長一短がある。独自性の高いシステムは、一般的により信頼性が高く、操作が簡単になる。またイノベーションが起こるのも独自性が高く、独創的な環境が多い。
オープン性
しかし、独自性の高いシステムは、一旦支障をきたすと修復が困難になることが多い。内部がブラックボックス化しているので、ユーザーが仕組みを理解できないからだ。
オープン製の高い製品は経済的にも有利だ。メーカーにとっては全てを提供する必要がないし、ユーザーにとっては全てを購入する必要が無い。どちらにとっても初期投資を抑えられる。
結局どちらが良いかという結論は無いが、ユーザーの需要によってそれは変わってくるのだろう。今回紹介するPINEは、独自性を保ちつつ、オープンで柔軟性のあるシステム構築を目指したユニバーサルなモーションコントローラーだ。
ユニバーサルモーションコントローラー
カメラモーションコントロールシステムは、相互互換性が望まれる代表的な製品だ。例えばアプリケーションやパン・チルト用のモーターは一般に市販されている。コントローラーとモーターとの間の通信プロトコルは比較的簡単なものだ。
従って、ユーザーは、それほど専門的な知識がなくても使用することができる。さらに、モーションコントロールのアプリケーションは多く存在しており、ユーザーがシステムを自由に構築することができる可能性は高い。
PINEはステッパーモーターを搭載したスライダーやパンチルトユニットに接続でき、さまざまなカメラを制御し、iOSやAndroidデバイスに接続することができる。手持ちのパンチルトヘッドやスライダーモーターと互換性の高いコントローラーであり、モーションコントロールシステム全体を購入する必要がない。
主な機能
以下がPINEの主な機能。
- 4個のHirose HR10モーター接続ポートと、モーター接続用のアダプター・ケーブル同梱。 コネクタにはメカニカルリミットスイッチ用のピンが同梱されており、モーターが偶発的な損傷を受けるのを防ぐことができる。
- 2個のカメラトリガーポート
- iOSとAndroid対応のスマートフォン/タブレットコントロール。フェイルセーフプロトコルにより、接続が切断されても動作を継続できる
- Bluetooth Low Energy 4.1を採用しており、100メートルの範囲でコントロール可能
- 市販されているほぼすべての電動スライダーやパンチルトユニットとの互換性
プログラムできるモードには以下のものがある。
- Giga-Pixel photography
- 360°
- 3D scans
- Video
- Time-Lapse
- Live
- Astro
- Turntable
- Intervalometer
これらの機能とサンプル動画はPINEのKickstarterのページで多数紹介されている。
より統合されたモーションコントロールシステムが良ければ、Black Forest MotionがヘッドメーカーのNic-O-Tiltと提携し、互換性に重点を置いた非常に優れたシステムを提供している。モーターは広く互換性のあるArca-Swissプレートとレシーバーを使用して一緒に取り付けられている。 ユーザーはそれ以外の部分を構築すればよいのだ。
もちろんPINEを使用して、数多く発売されている他のメーカーのモーションコントロールから選択することもできる。
まとめ
オープンで相互互換性の高いモーションコントロールシステムのアイデアは興味深い。数多くのデバイスで機能を保証することは、そのようなシステムの課題ではあるが、Black Forest Motionがいずれ解決してくれるだろう。