PomfortがSilverstackオフロードマネージャーをリリース
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Pomfort社のSilverstackオフロードマネージャーは言ってみれば同社のSilverstack、そしてSilverstack XTのライト版といった位置づけだ。デジタル・イメージング・テクニシャン(以下DIT)向け業務用データバックアップ及びマネージメントソフト、といったところだろうか。オフローディング・認証エンジンに関しては兄貴分の上記2つと同一のものだが、制限された機能があるのも事実。といってもプロジェクトのサイズによっては全く必要ない機能であるとも言える。簡素化され使用目的が絞られている、ということは逆にスピーディーでありながら購入しやすい価格設定である、という強みを持っているわけだ。
例えば今後二度と撮影する機会がめぐってこないような映像をカメラに収めたとしよう。ロケから戻りホテルで確認を…と思ったらバックアップしたファイルは破損、記録メディアには既にフォーマットがかかっていた、なんてことを経験した方もいるのではないだろうか。それが教訓となり以降は必ず撮影データをバックアップするための何かしらの解決法を確立しようと決心するわけだ。Silverstackオフロードマネージャーはまさにそれをしてくれるソフトウェアである。複数の保存先へファイルをバックアップ、それを行う際には専用の認証システムが使われ、完了の通知を受け取ることができる。オフロードマネージャーには長年に渡って多くのDITが信頼を寄せるPomfort Silverstackの他のアプリケーションと全く同じコアエンジンが使用されているのも特徴だ。
Silverstackオフロードマネージャー
今回このオフロードマネージャーを設計するにあたって開発者が目指したのは合理的で使いやすさを追求しながらもパワフルで信頼のおけるバックアップを可能にする「ロケ先での相棒」をつくりあげることであったという。インターフェイスは非常にわかりやすいデザインだ。データソースを選び、それをオフロードする場所を決めるだけ。これら2つのステップがインターフェイス上に視覚的に、わかりやすく表示される。青のチェックボックスは既にコピーが終了したプロセスを指し、隣に位置する緑のものは認証が完了したことを意味する。ユーザーをホッとさせてくれる。
カメラの機種に関わらずバックアップができ、ファイル形式に至ってもRAWファイルから画像、音声ファイルやプロダクションで使用される様々なドキュメントまでサポートされている。更に、その日その日に行われたバックアップ行為全てをまとめたレポートが自動で作成される。データ認証に関しても多くから信頼されている同社の認証エンジンを使用、チェックサムにはxxHash、MD5、そしてSH1が使われている。Pomfortによるとデータコピーの速度はMacにあるFinderと同等である一方でハッシングプロセスに関しては認証に多少時間がかかるとしている。異なる複数のデータソース、例えばUSBやThunderboltポート、そしてカードリーダーなどから更に複数の保存場所へ同時にバックアップをすることが可能だ。各タスクにかかる負荷はソフトウェアが制御するのだという。
他にも例えばポストプロダクション直前になってSilverstack XTやSilverstack Labなどにプロジェクトをエキスポートする必要性が出てきた場合、こちらのオフロードマネージャーはカメラのメタデータを抽出してくれるため非常に便利だ。非常にわかりやすいレポートを作成される際にそのメタデータが使用される。オフロードマネージャーはカメラ機種だけでなくファイル形式、更には色のサブサンプリングやフレームレートなど非常に役立つメタデータを認識してくれる。Silverstack XTと同様、GoProから上はAlexa LFまで全てのカメラ機種に対応している。
バックアップ
映像記録の一連のプロセスにおいてバックアップは非常に重要なステップであることは言うまでもないだろう。デジタルが普及する以前はフイルムリールやビデオカセットに「データ」は記録、そしてアーカイブされバックアップという行為は必要がなかったとも言える。現在ではSxSやSDカード、SSDやCFastカードなど記録メディアの種類は多様化している中で1つ共通点があるとすればこれらのメディアは上書きをされることが前提となっている、という事実だ。
フォーマットを行いカメラで新たな映像の記録をする。バックアップ先が物理的にすぐそばにないのであれば安全で信頼のおけるデータ保存法、そしてそれが確実に行われたという認証プロセスが必要となってくる。ファイルの破損・欠損という事態を避け、無事にデータをポストプロダクションが行われる場所へ移送するにはこういった一連の糧は必要不可欠であるわけだ。
競合
バックアップソリューションは他にも多く存在する。Silverstack オフロードマネージャーがターゲットとして意識しているのはRedGiantのOffload や Hedgeといった比較的手頃ですべてを一挙に行ってくれるようなソフトだろう。どちらの製品もUS100ドルほどで購入が可能、そして定期的な使用料などを支払うことなく使い続けることができる。一方で今回取り上げているオフロードマネージャーは1年毎の使用料を支払うライセンシング形式である(月ごと、もしくは14日間といったプランもある)。一見こちらのほうが割高のようだが、Silverstackが提供する更にハイグレードな他のソフトにエキスポートができたり、既存のDITワークフローに統合できるという特徴があることを再度お伝えしておこう。こういった要素はRedGiantのOffloadやHedgeにはない機能であるわけだが、ユーザーとしてそういった柔軟性があなたのにとって必要あるかどうかを考えると良いだろう。
これら3つのソフトは全て複数のバックアップ先へのデータ転送が可能、認証はチェックサムを使用するわけだが、あなたがお使いのOSのファイルマネージャーを使用するよりも圧倒的に安全な方法であることは言うまでもない。今回紹介したオフロードマネージャーは1年ライセンスでUS139ドル(119ユーロ)、もしくはプロジェクトごとのライセンス購入が可能でその場合の価格はUS35ドル(29ユーロ)、更には月ごとのライセンス購入を希望される方にはUS49ドル(42ユーロ)で提供されている。それぞれのライセンスを必要な日に有効にでき、よってしっかりと予定立てればライセンス料を無駄にすることもない。例えライセンス有効期限が過ぎたとしても読み取りオンリーモードを使って既存のファイルを開くことは可能だ。実際に出費する前にソフトを実際に使用してから決めたい、という方は10日間無料のトライアルバージョンを使ってみるとよいだろう。
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