ドイツ・ミュンヘンに拠点を置く会社ポムフォート(Pomfort)は、チェックサム検証を備えたバックアップやデイリーの作成など、すべてのデータ処理のニーズをカバーするSilverstack Labをリリースした。早速みてみよう。
Silverstack Labとは?
既にご存知かも知れないが、Silverstackは人気のあるアセットマネージメントソフトウェアで、プロのDITに確固たるユーザーベースを持つツールセットだ。新しいSilverstack Labのリリースには、デイリーを作成する機能が追加されている。
チェックサムで検証されたカメラ映像のバックアップを行うだけでなく、同じインターフェイスでLUTのサポート、オーディオの同期、複数の目的のトランスコードを含むデイリーの作成が可能になった。
ソフトウェアの中心は、すべてが収集され整理されているユニバーサルライブラリだ。そこから、瞬時にバックアップやレポートを作成するツールを見つけることができる。ワークフローをいくつかの簡単な手順に分解してみよう。
ワークフロー
まず、素材をインポートしてライブラリ内でソートする必要がある。実際のカメラ映像、LUT、オーディオトラックなど、あらゆる種類のメディアを外部レコーダーからインポートできる。次にSilverstack Labはチェックサム検証を使用してバックアップを作成する。検証されたバックアップは、RAIDや2つの独立した外部ドライブなど、複数の記録先に対して作成できる。
そして、シームレスなデイリーを作成するためにクリップをマッチさせる。カメラがフラットガンマカーブに設定されている場合、LUTを適用し、内蔵のカラーコントロールを使用して各ショットを微調整できる。オーディオについても同じことが言える。Silverstack Labはタイムコードに基づいて、外部オーディオトラックを対応するビデオファイルに自動的に同期させる。
最後に、デイリーは、目的に沿って任意の解像度と形式で出力できる。アシスタントエディタ用のフル解像度のProRes422ファイル、ディレクター用のiPad用縮小H.264の出力も可能だ。これはすべてGPU処理に対応しており、すべてが1つのプログラム内でシームレスに動作するので、複数のプログラムや、幾つものツール、あるいはFinder(またはWindowsエクスプローラ)での操作をする必要は無い。
対象ユーザー
しかし、Pomfort Silverstack Labは誰にでも最適のツールということではない。これはプロ用のデータ管理ツールで、DITなどが必要とするすべての機能を提供するかなり高度なソフトウェアだ。従って、例えばインディー映画などでは、かえって使い難いかもしれない。 Silverstack Labは、プロダクションのワークフローを構築したり、維持するプロと、一部の専門的な個人ユーザーを対象にしている。
個人や小規模なクルーなら、おそらくこのような強力なソフトウェアは必要無いだろう。 そのようなユーザーには、Red Giant Offload(99ドル)やHedge for Mac(無料または99ドル)などが適している。どちらも、チェックサムでベリファイされたバックアップが中心機能だ。
フッテージの管理や、バックアップ、デイリーの作成が中心なら、Silverstack Labは有用だろう。もう一つ興味深いソフトウェアはKynoがある。映像のバックアップを中心に設計されているわけではないが、映像を整理し、タグ付けし、変換し、書き出すには最適のソフトウエアだ。詳細は同社のウェブサイトをご覧頂きたい。無償で試用版が利用でき、ライセンスは 159ドルとなっている。
機能と価格
Silverstack Labは既存のSilverstack XTのプラットフォームをベースにしているが、上記の機能に加え次の機能がある。
- 自動オーディオ同期
- 高速トランスコードエンジン
- トランスコード用に GPUのサポート
- AVIDシステム用のDNxコーデックへのトランスコード
- 高度なバーンインオプションとウォーターマーク
- マルチオーディオチャンネルトランスコード
- マルチクリップリファレンス用の高度なプレーヤーグリッドビュー
- 自動メタデータファイルのエクスポート
- HD-SDI出力
- LTO / LTFSへのバックアップ
更なる詳細については、pomfort.com/silverstacklab/what-is-newをご覧頂きたい。日本語はこちらのページで観ることができる。
価格で特筆できるのは、必要な期間のみ支払えば良いことだ。ライセンス料は、14日間99ドルから可能。また、1ヶ月間は179ドル、2ヶ月間は319ドルとなっている。更に年間では899ドルとなっている。