ProRes RAWとは? - AtomosのJeromy Young氏が語る
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ProRes RAWが発表され、話題になっている。いよいよRAWが身近なってきたのだが、さてProRes RAWとは一体どのようなフォーマットなのだろうか? NAB2018で、AtomosのJeromy Young氏にProRes RAWについて語ってもらった。
ProResは、NLEでの編集によく使われるコーデックとして知られているが、撮影や編集用のフォーマットだけでなく、場合によっては配信用のコーデックとしてMacでは標準的なものになっている。新しく登場したProRes RAWも、使いやすいRAWという位置付けだ。
Apple ProRes RAWの概要
AtomosとAppleは共同してこの新しいフォーマットの開発を進めてきた。RAWと言えば、従来は扱いにくいフォーマットのイメージがあるが、RAWワークフローを簡素化し合理化できるように設計されている。多くのカメラメーカーは独自のRAW形式を持っているので、NLEなどはそれぞれのワークフローに適応する必要がる。唯一の例外はcinemaDNGだが、これもNLEに優しいフォーマットとは言えない。一方、ProRes RAWは、使い易さに重点を置いて設計されている。これは、撮影から編集、あるいはグレーディングに至るまでをカバーする。 ProResの使いやすさと、RAWの柔軟性を併せ持ったものということができる。ただし現在のところ、この新しいフォーマットをサポートしているのはApple FinalCut Pro X 10.4.1のみだ。
ビデオカメラは通常、センサー(ベイヤーパターンの個々のセンサー)から出力されるデータを内部で処理し、コーデックで圧縮してRGBビデオピクセルを作成する。この処理後は、元に戻すことはできない。一方、ProRes RAWでは、すべてのRAWデータを取り込み、ProRes RAWフォーマットで直接記録する。編集時はFinalCut Pro Xで逆処理をする。ProRes形式はNLEに優しいため、レンダリングやトランスコードは不要で、すぐに編集やグレーディングを始めることができる。
このフォーマットには2つの形式がある。ProRes RAWとProRes RAW HQだ。ProRes RAWはデータレートを見ると、ProRes 422 HQ相当なのが分かる。そしてProRes RAW HQ はProRes 4444 XQのRAW版だ。これらは圧縮されたRAW形式だが、これは実際かなり意味がある。もし非圧縮の12ビットRAWであれば、データレート的には非常に高速なSSDが必要となってくるだろう。
ProRes RAWについての詳細は、Appleが作成したホワイトペーパー(PDF:英語)が参考になる。
AtomosとApple、そしてDJI
最新のAtomosモニターレコーダーには、既にProRes RAWがサポートされている。 Shogun InfernoとSumo 19には、ProRes RAWをサポートする新しいファームウェアバージョンがダウンロードできる。(ダウンロードはこちら) これらのファームウェアアップデートを使用すると、ProRes RAWを直接(カメラの能力によるが)最大12ビットで非常に高品質のRAWデータを記録できる。さらに、新しく発表された Atomos Ninja VもProRes RAWを収録することができる。これはまだ対応していないが、将来対応されるだろう。
DJIはX7カメラ用のアップデートを用意しており、今年5月には準備が整うはずだ。ドローンのカメラでもRAWで収録できるようになるのだ。
この先多くの機器メーカーがProRes RAWに対応した機器を作るかも知れない。ProRes RAWはかなり現実的なフォーマットなので、RAWとHDRのワークフローは、今後大きく進展することだろう。
Links:Appleのホワイトペーパー(PDF:英語)| Atomos Japan
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