ここ数年、映像素材サイトは増加しており、今や飽和状態にある。それに加え、複数の素材サイトに同じ映像素材を登録する投稿者がいるため、ユーザーが混乱するケースも出ている。 RawFilmは、一般的な映像素材サイトとは異なり、REDカメラで撮影されたREDCODE RAWファイルのコンテンツのみを提供する映像素材サイだ。
映像素材を撮影することは魅力的なことのように見える。プロジェクトで様々な映像を撮り、使わなかった映像がハードドライブに残っていることが多い。例えば、海に落ちる夕日の映像が余っているので映像素材として販売できるのではないかという期待が持たれる。しかし映像素材市場の現実は、提供者の期待と大きく異なる。映像素材は、通常は特定の編集を念頭に置いて購入される。この場合、顧客は同じショットで複数の異なるアングルを探している可能性が高い。これは編集するにあたって、自由度が高いからだ。提供者が、複数のアングルのショットを多数持っているなら、そのダウンロード率は高くなるだろう。
顧客側にも同じ問題が存在する。TouTubeのプレビューで探しても、同じような映像ばかり出てくる可能性がある。また、複雑な価格体系も問題で、どのように使うかまだはっきりしない状態で入手する場合、想定したコストの数倍となってしまう可能性がある。もちろん、映像素材サイトは既にこれらの問題を想定している。RawFilmは興味深い方法でこの問題に対応している。
RawFilmのアプローチ
RawFilmは、REDカメラで撮影したコンテンツのみを提供し、簡単な契約でREDCODE RAWでダウンロードすることができる。他の映像素材サイトと同様、多くの映像素材で構成されているが、これらの映像素材の大部分が互いに意味付けられた映像で構成される。一つのテーマに100〜300ショットがあり、さまざまな角度の映像のほか、人種や性別の多様性も考慮されている。CMでの使用には多少難しいところがあるかもしれないが、ドラマでも使用でき、撮れなかったシーンや予算オーバーになるショットを調達することができる。映像素材は単にストックされているだけでなく、タグ付けされて検索可能で、コンテキストによっても検索できる。すべてのクリップはログ形式で撮影され、コレクションビューは、素材のままのフラットなものか、軽い色補正が適用されているものかを選択して試聴することができる。もちろん、低解像度のファイルをダウンロードして、テスト目的でプロジェクトに組み込むこともできる。必要なコンテンツが見つからない場合は、RawFilmに連絡し、そのコンテンツの撮影を依頼する事もできる。
価格体系
基本プランは4k H.264で月に5クリップ、プラスプランは4k +(4k以上の解像度)ProResで毎月10クリップ、プレミアムプランは月に20クリップを使用でき、4k + REDCODE RAWまたはCinemaDNGのファイルで入手できる。 1つのクリップとは、1つのプロジェクト内の1クリップに対するライセンスを意味する。 1ヶ月間で使用できるクリップ数に満たなかった場合は、翌月に繰り越すことができる。年間支払いで約60%の大幅な割引も用意されている。
実際の費用は、プレミアムプランの年間契約では、4k + REDCODE RAWで240ライセンス、年間で$ 1080.00となる。月額契約の場合は、月49ドルで使用できる。その他にも多くのプランが用意されている。
問題点
RawFilmのサービスは非常に高品質かつ革新的で魅力的だ。ハイエンドの映像が集められているが、価格設定は比較的リーズナブルと言える。ただ唯一の欠点は、用途間の区別だ。 RawFilmは、商業利用、編集用途、および広告での使用を区別している。ここまでは良いのだが、自分のユースケースが明確で、その使用のみをフィルタリングし、好みのクリップを見つけた場合、それ以外の用途でそのクリップを使用することができない。検索フィルタなどの仕組みがないので、不便なところがあり。私がクリックしたすべてのクリップは商業的使用できたのでどこでも使用できたが、多くのクリップで確認するのは大変だ。
もう一つの問題は、REDのカメラで撮影したものしか登録されていないことだ。実際 REDはCM撮影には標準になりつつあり、カメラを操作できないカメラマンには仕事が来ないくらいになっている。 この事実があるので、理解できないことはないが、やはり自由度が低い感じがする。
RawFilmのサービスは、多くの高画質な映像とシンプルな価格体系により、ポストプロダクションなどの顧客に浸透しつつある。 RawFilmのサービスはこちらから確認できる。