待望のRED製スマートフォン“RED Hydrogen One”は数日前、REDオーナーを招待してロサンゼルスで開催されたイベントで、プロトタイプとしてお披露目された。最終的な製品は8月に出荷の予定。ここでは、その最新情報と、ホログラフィックデバイスの感想を報告しよう。
REDイベントがハリウッドで開催
5月19日、REDはハリウッドのスタジオで、REDカメラオーナーを招待してイベントを開催、そこでRED Hydrogen Oneのプロトタイプを発表した。招待されたゲストは、REDのスマートフォンを目にし、独自のホログラフィックディスプレイを体験した。ただ、出席者はディスプレイの写真やビデオを投稿しないよう、主催者側から求められた。 Jim Jannard氏が言う通り、ファーストインプレッションは皆のためにとっておくべきだろう。即ち、2Dの写真やビデオで紹介しても、ホログラフィックの良さを視聴者に伝えることはできない。HDRの良さを通常のディスプレイで伝えられないのと同じだ。
RED Hydrogenについては、昨年の8月、YouTuberのMarques Brownlee氏が”ダミー”プロトタイプを紹介している。また、今年の初めに、RED Hydrogenのアップデートについて報告した。最近では、REDがイベントの後でプロトタイプを見せており、約束どおり最終製品を提供できる可能性が高い。今夏、8月には米国で、AT&TとVerizon networksで出荷する計画だ。
それでは、これまでの情報をまとめてみよう。
主な仕様
- 2Dとホログラフィック3Dで表示可能な5.7インチ2560 x 1440ディスプレイ
- Android OS
- Qualcomm Snapdragon 835プロセッサー(少しに古い)
- 背面に2台のカメラと正面にも2台のカメラを搭載(3D撮影用)
- モジュールを接続するピンが露出している。これまでは、大型カメラセンサーモジュールが発表されていた。
- アルミニウム版(プリオーダー価格:1,195ドル)とチタン版(プリオーダー価格:1,595ドル)を用意
スマートフォンではなく“Media Machine”
RED Hydrogen Oneについてはあまり情報がないが、仕様を見る限り、現在のスマートフォンと変わりはない。価格に対しては特にそうだ。しかし、REDの新しいスマートフォンは、独自のディスプレイにより、独立したカテゴリにーと言えるだろう。しかし、それだけではなく、REDのエコシステムの一部とみなされる。同社はこのデバイスをスマートフォンとして世に出すのではなく、”メディアマシン”としたいと考えている。
REDイベントのライブ映像では、Jim Jannard氏は「RED Hydrogenは一時のイベントではなく、長いプログラムの始まりです」と言っている。以下を参照。
[fb-post href=https://www.facebook.com/vlaforet/videos/10214847509115593/]
それはエコシステムの最初の製品であると考えられているが、モジュール設計がうまくいけば、それ自体がHydrogenのユニークなセールスポイントになるかもしれない。しかし、他のメーカーがすでにモジュール式スマートフォンで失敗していることは注目しておくべきだろう。
The VergeのDieter Bohn氏も招待されたゲストの1人だ。 RED Hydrogen Oneを体験して作ったビデオは興味深い。
Dieter氏が彼の記事で書いているように、このスマートフォンは実に大きい。搭載された5.7 “ディスプレイにより、本体はiPhone 8 Plusよりも大きくなっている。デザイン面では、他のRED製品と同様に、ゴツゴツした印象のものだ。また、本体の大部分は金属製で、両端には、片手で簡単に操作できるようにグリップがついている。電源ボタンは右端にあり、指紋認証ができる。
神秘的なHydrogenのディスプレイ
ホログラフィックディスプレイはREDの秘密兵器で、Hydrogenのユニークなセールスポイントだ。それを見た人々の最初の反応のビデオのみを公開していることから、彼らがその技術についてどれほど誇りを持っているかが分かる。 REDによれば、「これまでのどの3D技術よりもずっと優れている」とのこと。ディスプレイの技術は4-viewと呼ばれ、特別な眼鏡を必要とせずに映像を3D化できる。
Dieter氏は、プロトタイプで2つの異なる4-viewのデモを行い、それについて書いている。以下はその要約。
最初は、さまざまなビデオのループを見た。私が見たのは、他のスマートフォンでの3Dを上回るものだった。基本的に、スマートフォンを移動したり、傾けたりしても、3D視覚効果が失われることはなかった。風景とポートレートの映像を見たが、従来のスマートフォンで見たものよりも、3Dの奥行感があった。
2回目のデモも印象的だった。 Hydrogen Oneでは、簡単にビデオチャットが行われた。しかし、これは “ホロチャット”で、2台のカメラにより私の顔がリアルタイムでホログラムとして表示された。
この3D効果の実現方法については、簡単な説明はできない。 Jannard氏は、LCDディスプレイの下に特別なレイヤーがあることを教えてくれた。レンチキュラーディスプレイの標準的なレイヤーではなく、複数の方向に光を拡散することができる。 REDは、3D映像を作るために2台のカメラの画像を組み合わせているだけではない。3D効果を作成するために、それら2つのレンズから複数の角度の映像を混合するアルゴリズムを使用しているのだ。
基本的にはホログラムだが、スクリーンから飛び出すようなことはない。3D映像のためにこのスマートフォンを購入するというほどのものではないが、とりあえず付けたというレベルのものではない。
新しい技術と相まって、それに適する十分なコンテンツを提供することは重要なことだ。 REDは、Hydrogen Oneにホログラフィックコンテンツのストリーミングサービスを作成する予定だ。ホログラフィックのH4Vコンテンツは、Hydrogen One Networkを介してストリーミング配信される。これは、REDが提供する、Hydrogen Oneに十分なコンテンツを提供するためのアプリだ。
サラウンドオーディオ
RED Hydrogen Oneは、オーディオ再生の面でも非常に優れている。 REDイベントでは、電話やハイエンドのヘッドフォンでオーディオを試すことができた。 A3D Spatial Surround Audio(3Dサウンド)は、通常のステレオオーディオファイルでも可能。 REDのアルゴリズムは通常のオーディオを3Dサラウンドに変換できる。No Film School も参加していたが、彼らは以下のように書いている。
デモステーションでは、Bose QuietComfort 35 IIノイズキャンセリングヘッドフォンを使用してオーディオファイルが再生された。それはDolby Atmos mixのようだった。ローエンド、ハイエンド、異なるEQ、すべてのパン、方向の変化、奥行き、動き、類似の音の区別を聞くことができる。REDはヘッドフォンではない、別のリスニングステーションも用意していた。デバイスをどんな方向に回しても、サウンドの明瞭感が失われることはなかった。
RED Hydrogen Oneはコンシューマー向けの製品ではない。我々はまだそのスマートフォンについてよく分かっていない。たとえば、内蔵のカメラやメモリサイズについての情報はまだ公表されていない。最終的仕様は皆、興味があるところだろう。私の見解では、この製品の成功は、ホログラフィックディスプレイのユーザビリティ、コンテンツの品質、拡張モジュールなど、環境全体に依存しているだろう。
RED Hydrogen Oneにお目にかかれる次のチャンスは、ロサンゼルスのAT&T Shapeイベントで、6月2日から3日の予定。自分の目でホログラフィックディスプレイを見みたいなら、このイベントに参加してはいかがだろうか。このイベントの登録料は100ドルとなっている。
Via: The Verge, Red Shark, Nofilmschool, Featured image credit: Phil Holland