REDのカメラのラインアップは、同一ボディに3種類のセンサーを搭載することで分かりやすくなった。 REDのラインナップをまとめてみた。
REDのラインアップを全て把握するのは難しい。私が知る限り、EPICがDragon系なのかMonstro系なのか知っているプロデューサーはいない。
REDの最近の傾向は、ラインアップを統一し、理解しやすくしているようだ。一言で言えば、同じ形のボディに3種類のセンサーを使い分けている。
また、コストは現在比較的安価になってきており、新規顧客には良いのだが、従来のユーザーの中には自分に持っている機種の価値が下がることに嬉しくない人もいる(詳細は後述)。
いずれにしても、ラインアップは一新されたと言って良いだろう。 Dragon、Weapon、Epicはもう存在していない。 REDシネマカメラのラインナップは全く新しくなったのだ。
カメラボディ – RED DSMC2
発売されている現在のREDカメラボディはRED DSMC2と呼ばれている。 ARRIにはAlexa Miniがあり、キヤノンにはC300があるが、REDはDSMC2(Digital Still Motion Camera)だ。
現在カメラのほとんどの機能は同じで、すべて最低5Kで撮影でき、ProResとR3D RAWを同時に撮影することができる。アクセサリーもほぼ全て共通して使用できる。そしてセンサーは、Monstro、Helium、Geminiの3種類から選択できる。
Sensor 1 – Monstro (フルフレーム)
Monstroセンサーは、VistaVisionフォーマット(VV)で最大8K /60fpsで撮影できる。 VistaVisionは、35mmフルフレームとほぼ同じ大きさ(センサーチャートはこちら)なので、フルフレーム版と言える。
これはREDでは最大のセンサーの位置付け。 – RED DSMC2 Monstro 8K VV。
Sensor 2 – Helium (Super35mm)
Heliumは最大8K /60fpsで撮影できるが、こちらはSuper 35mmフォーマットの業界標準のセンサーを搭載する。ARRIで言えば、Helium はAlexa、MonstroはAlexa LFに相当する。- RED DSMC 2 Helium 8K S35.
Sensor 3 – Gemini 5K (高感度バージョン)
Geminiは最新のREDセンサーで、暗い環境に対し、デュアル感度モードを搭載している。解像度を落とすことにより、低照度特性を向上させている。Geminiはsuper35mmで、5K/96fpsで撮影できる。- RED DSMC2 Gemini 5K S35
以上が、REDカメラのトップラインアップだ。 なお、その他のラインアップも用意されている。
その他のモデル
その他のラインアップにはRED RavenとScarlet-Wの2種類が存在する。Scarlet-Wはsuper35mmの 5Kカメラで、Ravenは、エントリーレベルのカメラで、最大4.5KでEFマウントを採用している。
旧モデル
現時点では、REDはDSMC2、Scarlet-W、Ravenがそのラインアップの全てだ。それ以外は旧モデルとなる。旧モデルの中でも、初期のモデルではPogoマウント(ケーブルレス接続)が採用されていない。
以前はEPIC、Dragon、Mysteriumという名称が使われていた。なお、Scarlet-WにはDragonセンサーもある。しかし、現在では3種類のセンサーが選べる上位モデルと、2種類の下位モデルというシンプルな構成になっている。
従来のネーミング
- Weapon – DSMC2アップデートで改名
- Epic-W – DSMC2アップデートで改名
- Epic – 旧型カメラボディ
- Dragon – センサフォーマットの旧名称
- Mysterium – センサフォーマットの旧名称
- RED One – 最初のREDカメラ
その他の派生機種
なお、Monochrome(モノクローム撮影)、Carbon Fibre(軽量化モデル)、Xenomorph(A David Fincher special)など、各センサーを使った派生機種も存在している。
Resolutions – Full Format Explained
各センサーには最適な解像度がある。 Monstro / Heliumの場合は8K、Geminiの場合は5Kだ。Gemini / HeliumはSuper35mmフォーマットだが、MonstroはVistaVisionで、より大きなサイズのセンサーだ。
重要なことは、RAWで撮影する場合、センサーサイズをフルに使えるのは最高解像度の場合のみということ。それ以下の解像度では、クロップされてしまう。つまり、Super 35mmで4K撮影する場合、フルサイズセンサーを搭載したモデルを選択しても必ずしもベストな結果が得られるわけではないということだ。
Super 35mmで撮影する場合は、Super 35mmセンサーを搭載したモデルを選択すべきだ。Scarlet-Wの存在理由はここにある。そのカメラの最適な解像度で撮影し、ポストでダウンスケーリングするとよいだろう。
REDサイトのセンサーの比較はこちら。
アップグレード
REDカメラのオーナーは、新しいセンサーにアップグレードすることができる。こちらがその情報。
皆に良いニュースではない?
カメラボディの統一により、各カメラは安価になった。従って、現在では新しいRED DSMC2カメラのほうが安く購入できる。これは良いことだが、従来のREDカメラ購入者にとっては複雑なものがある。
既にREDシステムに投資しているユーザーは心穏やかではないのだ。彼らは現在、膨大な負の資産を持つことになってしまっている。これらの顧客に向けた言葉が発せられているが、解決にはまだ時間がかかりそうだ。
下はREDuserサイトでREDのJarred Land社長のコメントの要約。
「ほとんどの人が同意できるカメラのラインナップを目指したのですが、少し肥大化し混乱してしまいました。だから、すべてをリセットして、新しいラインアップとしました。一つのカメラボディ内にすべての機能を持ち、真に統一されたDSMC2です。あなたはセンサーを選んでください。
上記の決断には辛いものがありました。私はReduserサイトで先月この価格設定を発表しました。しかし、多くのRED Userの皆さんの賛同を得るにはまだ時間がかかりそうです。」