シャープが、8Kビデオが撮影できるマイクロフォーサーズ(MFT)カメラのプロトタイプをCES2019で展示している。正式発表はNAB2019になると見られる。
シャープと8K
シャープが8Kに力を入れているのは、新しいことではない。同社は8K解像度のテレビを発売していることでもよく知られている。 業務用ビデオカメラでも8Kで記録できる小型カムコーダー8C-B60Aを2017年InterBEEで発表している。これは日本の放送市場向けで、4:2:2 10bitで記録するsuper35mmカメラだ。 (インタビュー記事はこちら)。日本では8Kが他の国々よりも先立って実用化されており、シャープは8Kプロダクション分野で最先端を行くメーカーの一つだ。
シャープの8Kマイクロフォーサーズカメラ
このカメラに関する公式情報はまだ無いが、4月のNABショーで発表されると思われる。CESに展示されているのはダミーカメラで、型名なども表示されていない。 下のようにYouTubeでも取り上げられているので、参考いただきたい。
この8Kカメラはマイクロフォーサーズセンサー搭載しており、H.265圧縮、8K解像度(7680×4320)で、最大30fpsで撮影することができ(おそらく60fps 8Kモードで動作しているようだ)、UHS-II SDカードに記録すると伝えられている。ただし、これには疑問点もある。
第一に、SDカードに8K解像度の映像を記録するのはかなりトリッキーだろう。言うまでもなく8Kは4Kの4倍、FHDの16倍のピクセル数で記録する。 H.265圧縮はH.264の約2倍効率的な圧縮だが、ファイルは簡単には編集できない。もちろん、まだ詳しいことは未発表なので、今後明らかになるだろう。
第二に、8Kの解像度を持つMFTセンサーでは、ピクセルがかなり小さくなってしまう。 Slashcam(ドイツ語の記事)によると、ピクセルの大きさは2.25 µmしかないとのこと。これは安価なカメラやスマートフォンカメラのサイズとほぼ同じだ。物理的に小さいピクセルでは、高いISO値でノイズが大量に発生し、ダイナミックレンジも限られたものになってしまう。
さらに、YouTubeでは、センサーにはある種(電子的または物理的)の手振れ補正があると言われている。また、大きな5インチフリップアウトスクリーンを持っており、これはパナソニックGH5と同様使いやすそうだ。ディスプレイのサイズを考えると、回転機構は頑丈に作られる必要があるだろう。形状は Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kをイメージさせるものだ。左側にはコネクタがあり、フルサイズのHDMI、USB-C、ヘッドフォン、マイクジャック、Mini XLRポートなども装備されている。
このカメラは5000ドル以下で販売されると言われているが、8Kで記録できるビデオカメラとしては相当に安価だ。いずれにしてもNABを待ちたいが、マイクロフォーサーズの8Kビデオカメラは注目の一品となるだろう。