Netflixはスティーブン・ソダーバーグ(Steven Soderbergh)監督の最新作「High Flying Bird」の公式トレーラーをリリースした。これはiPhoneで撮影されている。
以前、ソダーバーグ監督の“shot on iPhone”記事と、クレア・フォイ(Claire Foy)が主演するスリラー『アンセイン 〜狂気の真実〜(原題:Unsane)』(iPhoneで撮影された最初のプロジェクト)の静止画を掲載した。この映画にはクレア・フォイの他、ジョシュア・レナード(Joshua Leonard)、ジェイ・ファロー(Jay Pharoah)、ジュノー・テンプル(Juno Temple)などが出演している。
そして今回、再びiPhoneで撮ったのがアンドレ・ホランド(Andre Holland)主演のNBAドラマ「High Flying Bird」だ。これはバリー・ジェンキンス(Barry Jenkins)監督と「Moonlight」を共同執筆したオスカー受賞者タレル・アルヴィン・マクレイニー(Tarell Alvin McCraney)により書かれたものだ。
もちろん、アンセインは全編iPhoneで撮影された最初の映画ではなく、それはショーン・ベイカー(Sean Baker)監督の『タンジェリン(原題:Tangerine)』だ。この映画は、iPhoneで映画を撮影することが可能なことを証明しただけでなく、十分に鑑賞に値するものと証明したのだ。
より洗練されたiPhone使用の映画
ソダーバーグ監督の「アンセイン」が、手を加えない「iPhoneのショット」そのままのルックを採用することにより、「High Flying Bird」ははるかに洗練された結果となっている。筆者は初めてアンセインを見たとき、その画質がスマートフォンで撮られた映像だとすぐに分かったことにがっかりした記憶がある。「High Flying Bird」のトレーラーを見る限り、これはiPhoneで適切に撮影され、適切なポストワークフローが行われたことが分かる。
FiLMiC Proの使用
なおこれらすべての撮影でFiLMiC Proが使用されており、マニュアル撮影、高ビットレート、さらに最近ではLogV2エンコーディングプロファイルが採用されている。しかし興味深いのはソダーバーグ監督が選択したカメラが、アンセインではiPhone7、High Flying BirdではiPhone 8で、どちらもAppleのsmartHDRとダイナミックトーンマッピング機能を搭載していることだ。これらのカメラは最新のiPhone XS、XS Max、あるいはXRよりも予測しやすい映像となるので、これは理にかなった選択だ。筆者はXS MaxとXRのトーンマッピングも試しているところだが、これは使用できないことはないが、FiLMiC Proのコントロールを行う場合では使わない方が良いだろう。
ソダーバーグ監督はMoondog Labsの1.33xアナモフィックアダプターを選択した。これは偶然にもショーン・ベイカー監督がタンジェリンの撮影に使用していたもので、最終的な縦横比は2.35:1になっている。 IMDb(Internet Movie Database)によると、Moment 2x望遠レンズも使用されていた。また実際には3台のiPhone 8が使いまわされていたが、これは誤ってiPhone 7と報告されている。いずれにせよ、MomentとMoondog Labsのレンズは優れている。筆者もいくつかのショットでモーションブラーを得るため、NDを使い1/48秒のシャッタースピードを使用している。
誰かがさらに新しい手法を見つけるまで、iPhoneでの撮影は使い続けられるだろう。もちろん最終的な映像はカラリストに委ねられていることも確かだ。
「High Flying Bird」は、来月のNetflixでのデビュー前に、サンダンス映画祭で世界初公開される予定だ。