シグマがフルフレームのカメラ「fp」を発表した。これは24.6メガピクセルバックライトセンサーを搭載し、静止画とシネモードの動画を撮ることができる。フルフレーム対応ながら小型軽量なのが大きな特徴。外部記録ながらCDNG RAWで撮影できるのも画期的だ。マウントはLマウントを採用。
fpはシネマ撮影に特化したのシグマの最初のカメラだ。これは従来のBSI Bayerセンサーをベースにしているが、従来のカメラとは全く異なる。 シグマは、このカメラはジャンルやカテゴリーがなく、真のユーザー中心のカメラとしている。
シグマfpフルフレームミラーレスカメラの概要
カメラ自体は実に小型で、人間工学的なカタチというよりも「箱」だ。その理由は、できる限りモジュール形態にすることにより、様々な撮影スタイルに柔軟に対応できるようにしたことによる。フォトグラファーからインディーズ映画制作者まで、fpは柔軟に対応できる。
搭載しているイメージセンサーは36×24mmの背面照射型ベイヤーCMOSセンサー。有効解像度は6,072×4,056ピクセルで、有効画素数は2,460万画素。 レンズマウントはLマウント。シグマはLマウントアライアンスの一員で、すでにLマウントレンズを製造しており、その点からもLマウントの選択となった。
fpには、写真モードとシネモードを切り替える専用のスイッチが付いている。各モードは、それぞれのユースケースで必要な項目のみを表示し、カメラシステム全体を切り替える。これによりビデオ設定用のメニューを探し回る必要はない。もちろん専用のRECボタンも用意されている。
ビデオ記録機能
fpはCDNG RAWを外部SSD で8、10または12ビット記録する。またh.264をAll-IあるいはGOPモードで.movで記録する。選択できる解像度は次のとおり。
- 3,840×2,160(UHD 4K):23.98p、25p、29.97p
- 1,920 x 1,080(フルHD):23.98p、25p、29.97p、59.94p、100p、119.88p
カラーサブサンプリングについての情報はまだないが、今後明らかになれば追加したい。またもう一つ明確でないのは、シグマが仕様書で1.5のトリミングを記述していること。おそらくそのトリミングはビデオ記録(または少なくともUHD記録時)に適用されるのではないだろうか。ただ、これは単なる選択肢(メニューにあるように@ 2:34でのビデオ記録)かもしれない。これについても同様に記事を更新したい。
外部記録の場合、映像はUSB 3.1(GEN1)コネクタから出力され外部SSDに、あるいはHDMI(4:2:2/ 8ビットのみ)を外部レコーダーに記録する。シグマはサポートするデバイスとしてATOMOS Ninja InfernoとBlackmagic Video Assist 4Kを挙げている。
なお、記録されたCinemaDNGファイルをカメラで再生する機能はファームウェアのアップグレードで後日実装される予定で、現在はCDNGで撮影することはできるが、カメラ本体で再生することはできない。なお、プレス資料には外部記録で12-bit CDNG RAW記録が可能と書かれているが、仕様書ではカメラ内で12-bit CDNG RAW記録ができると書かれている。これについても今後確認したい。
音声はLinear PCM(2ch 48kHz / 16bit)で録音される。
記録メディアはSD / SDHC / SDXCメモリーカード(UHS-II互換)を採用。さらに、バスパワーで動作する外部SSDも使用できる。
StillモードとCineモード
このカメラは1つのボディに2つのカメラを搭載しているようなイメージで、スイッチで切り替えることができる。動画撮影が一般的になったミラーレスカメラでは長らく望まれていた機能で、むしろ遅すぎるくらいだ。専用スイッチにより、メニューに行かなくても静止画モードと動画モードを簡単に切り替えることができる。
各モードでは、関連情報のみが画面に表示される。たとえば、シネモードでは16:9の画像を表示する場合、オーバーレイなしでアイコンを表示できる。ただし、オーディオメーターや波形モニターなどはオーバーレイを有効にすることができる。またフレームガイドを表示することも可能で、調整もできる。
タイムコードはCineモードで表示されるが、Stillモードでは表示されない。露出補正は写真では必要な機能だが、ビデオ撮影ではそれほど使われない。このように、静止画と動画撮影でモードがはっきり切り替わるのは大きな進歩だ。他のメーカーのカメラでもこのような機能が搭載されることを期待したい。
その他の仕様
fpの重量はバッテリーとカードを含まない場合370g で、大きさは112.6×69.9×45.3mmとフルフレームカメラでありながら極めて小型軽量だ。今までの平均的なミラーレスカメラとは明らかに異なっている。それが、fpが「fortissimoとpianissimo」の略である理由なのかもしれない。
背面には約210万ドットで、タッチスクリーンのTFTディスプレイが搭載されているが、これは回転したり傾けたりすることはできない。また、3.5mmマイク入力と、内蔵ステレオマイクを搭載している。オーディオ再生用の小型スピーカーが搭載されているが、どういうわけかヘッドフォンジャックが実装されていない。このカメラは明らかにビデオ撮影を対象としているので、このままでは大きな欠点になってしまう。今後外部モジュールで追加する予定なのかもしれない。
fpは、いわゆるディレクターモード、すなわち監督用のファインダーを使用することができる。これにより、フィルムカメラやアナモフィックレンズだけでなく、他のカメラのセンサーサイズを適応することができる。利用できるプロファイルには、 ARRI ALEXA LF、 Mini LF、AMIRA、ソニーVENICE、RED MONSTRO 8Kなどがある。これにより、このカメラを本格的なプロダクションのディレクター用途にも使用できる。必ずしも必要というわけではないが、素晴らしい機能と言える。以降のファームウェアアップグレードで、ディレクターモードでもビデオ記録および再生ができるようになる。
アクセサリーも用意されており、ハンドグリップやホットシューを追加できる。またビデオ撮影で有用なファインダーやマウントコンバーター、あるいは大きなハンドグリップも用意される。
このカメラはニーズに合わせて最適化することができる。今後入手でき次第、これらも含めてレビューする予定だ。
電源は同社のリチウムイオンバッテリーBP-51を使用する。またUSBポートを介してバッテリーを充電することができるが、カメラの電源が入っていない場合に限られる。
価格と出荷時期
fpは今年後半(秋頃)にリリースされる予定だが、価格は未定。
シグマのWebサイトはこちら。