今や多くの映像制作者がスマートフォンで撮影しているが、スマートフォンはSiriusのアプリでRGBライトにもなる。
Sirius Appは、スマートフォンの画面をRGBライトに変えることができる。またライトだけではなく、VFXのスクリーントラッカーやタッチトラッカーの機能もある。 Siriusアプリは現在kickstarterに登録されており、アプリの開発のための資金を調達ている。なお、将来iPadでも開発をする予定。
実用性は?
Kickstarterのページには、「映像制作者とフォトグラファーのためのポータブルライトかつVFXトラッキングアプリケーション」という文言がある。
Shervin Shirazian氏は英国に本拠を置く映像制作者で、VFXアーティストでもあり、更にアプリ開発者でもある。彼はスマートフォンを見て、これはライトとしても使えるのではないかと考え、それを製品として世に出すべく開発を始めた。
ただ、スマートフォンの光量がはたしてライトの代わりとして実用になるのか多少懐疑的な面は否定できない。また、光のスペクトル品質と精度についても、疑わしいところがある。
もちろん、完璧ではないとしても状況によっては役に立つこともあるだろう。手に入れば、ぜひ試してみたいと考えている。場合によっては日の目を見ないかもしれないし、大化けするかもしれない。
開発者に聞いてみた
そこで私はShirvin氏に連絡し、いくつか質問してみた。
Q:スマートフォンは、カメラとして最近多く使われていますが、ライトとして使おうというのはあまり聞きませんね。スマートフォンをライトとして使用するという考えは、どのように出てきたのですか?
A:私はポータブルLEDライトをオンラインで探していましたが、どれもポータビリティーがありませんでした。通常、専用のゲルやバッテリーを必要とし、何よりも価格が高価です。あなたも言われているように、スマートフォンはいつも持っているので、カメラとして使われ始めたのだと思います。
Q: ポストプロダクションのプロとしては、光源の品質とそれが肌の色調に与える影響が重要と思います。スマートフォンの光のスペクトル分析を行いましたか?
A: スマートフォンの光が正確であることを確認することは非常に重要でした。我々の調査ではiOSデバイス、特に新しいiPhoneのOLED画面は、他の低品質の光源で見られるような異常なスパイクのない滑らかなスペクトルグラフを持っていることが分かりました。また、「ハウス・オブ・カード 野望の階段」(原題:House of Cards)のいくつかのシーンで実用的なライトとしてiPhoneとiPadsが使用されているのを見て、確信しました。
Q:彩度とトラッカーは、特によく考えられ、有用だと思います。これは、スマートフォンを使っているシーンでのVFXショットが念頭にあったのですか?
A:そうです。私が手掛けたほとんどの場合、問題がありました。これらは実に悩ましい問題です。そこで分かったことは、すべてのVFXアーティストが独自のワークフローと環境設定で仕事をしており、一般化されていないことです。私たちがSiriusで実現しようとしていることは、このプロセスをできるだけシンプルかつスムーズにすることです。将来的には、VFXアーティストにとって、更に汎用性の高い機能を追加していく予定です。
Q:タブレットスなら画面が大きいので、スマートフォンより有用だと思いますが、これは次のステップですか?
A:SiriusをiPadで実現できれば、かなり実用性が増すと思っています。 iPadにProMotion機能を搭載することで、さらに強力な光が得られます。スローモーションショット用にフリッカーなしで120fpsまで点灯させることもできます。 Kickstarterが成功すれば、将来のアップデートでiOSデバイスに様々な機能を追加することもできます。
まとめ
Shervin氏のキックスターターキャンペーンは9000ポンド(約130万円)を調達することを目指しており、アプリの使用には期限単位での使用料を支払う。もちろん、アプリの開発が終了するまで待たなければない。これは、1か月のアプリ使用料は4ポンド(約590円)、3か月間で8ポンド(約1180円)、6か月間で23ポンド(約3400円)、12か月間で46ポンド(6800円)、無期限の場合とベータ版へのアクセスは最大82ポンド(12100円)となっている。