SIRUI SQ75三脚とVHS10雲台レビュー
手頃な価格の機器メーカーとして知られるSIRUIは、写真やビデオユーザーをターゲットにした様々な三脚で、混戦の三脚カテゴリーへの参入を進めている。SIRUI SQ75三脚とVHS10雲台は、低価格を念頭に置いており、 仕様上では十分な機能を約束しているが、フィールドで耐えられるだろうか?今回はSIRUI SQ75mm三脚のフィールドレビューをレポートする。
三脚ほど便利ながら頭を悩ませる撮影道具はないだろう。三脚が高価だと不満が出るかもしれないが、その代わり安物を購入するともっとひどい目に遭う。フィリピンのジャングルからヨーロッパのF1レースまで、世界中の様々な現場で三脚使っているからだ。
三脚が故障したり転倒したりすると、致命的な影響が出る。私は、高価なカメラを購入し、メディアやアクセサリー、三脚に手を抜くユーザーを理解できない。私に言わせれば、それは大失敗につながる。
私の他の製品レビューをご覧になったことがある方なら、私がそのメーカーの得意とする製品カテゴリー以外の製品に対して懐疑的になる傾向があることをすでにご存知だろう。SIRUIの場合は、手頃な価格のアナモフィックレンズや球面レンズの定評があるが、三脚に関しては新参だ。
一方、三脚ではTiltaやUlanzi、SmallRigなどが独自のアイデアで新しい製品を提供している。
SIRUIのSQ75と VHS10を組み合わせた三脚と比較できる製品は非常に多くなっているため、これらのレビューもさらに目が肥えたものになるだろう。ユーザーにとって選択肢が増えることは良いことには違いない。
ファーストインプレッション
三脚本体はグレーとブラックを基調とし、SIRUI社のブランドカラーであるブルーが随所にあしらわれている。このシステムには、少なくともこの新発売の段階では、グラウンドスプレッダーとミッドレベルスプレッダーが同梱されている(他の製品では、どちらか一方を選択しなければならないことが多い)。アルミニウム、カーボンファイバー、プラスチック、そして一部スチール製の部品で構成されている。
三脚のベースを外すと、芝生や土、砂地など地面が不安定な環境で使用する場合のために、脚にスパイクが付いているのがわかる。
三脚を持ち運ぶのは煩わしいものだ。SIRUIは、SQ75の脚の上部に取り付ける快適なハンドルを同梱し、付属の六角レンチと小さなピンでハンドルの回転を防いでいる。六角レンチはハンドルの内側に収納できる。
三脚はソフトケースに収納されているが、残念ながらアクセサリーを収納するためのスペースはない。ミッドレベルスプレッダーを使う場合、グラウンドスプレッダーを収納するためのしっかりしたコンパートメントがないため、これは少し困る。リグにもよるが、もう一つポケットがあれば、カメラプレートやVCTプレートアクセサリーも収納できるだろう。この三脚をソフトケースに入れる際は、パッドをあてることをお勧めする。
この三脚の公称スペックを見てみよう。
- システム重量:5.89kg
- 7段階のカウンターバランス
- 耐候性フルードダンパー設計
- 使用温度:-30℃~70℃/-22F~158F
- 3+0チルト/パン調整
- VHS10雲台耐荷重:9.97kg/22ポンド
- SQ75脚の耐荷重:17.7kg/39ポンド
- 価格:499.00ドル
ジンバルから三脚に移動する際のカメラリグのバランス調整は、バブル水準器と雲台上部の距離マークで簡単に行える。バブルライトの電池は簡単に交換でき、一般的なボタン電池のように見える。
一番上の位置まで上げると、カメラは地面から5.5フィート(約1.6m)強の高さになる。また、最低高は地面から2.1フィート(約64cm)だ。
競合製品
NAB2024の記事をご覧になった方なら、FALCAM/UlanziやSmallRig、YC OnionやiFootageなど、新しい三脚に関するニュースをすでにたくさん目にしたことだろう。
マーケティング資料では、SIRUIは自社の三脚をSmallRig AD120とUlanzi Video Fast(どちらも価格は599ドル)と比較している。UlanziとSIRUIの三脚の耐荷重は9.98kg/22ポンドとほぼ同じだが、SmallRig AD120の耐荷重は7.98kg/17.6ポンドだ。
Tiltaもまた、UlanziのVideo Fastと同様の耐荷重を持つ75mm三脚を発売している。少し頭が混乱してきただろうか?私もそうだ。
ミラーレスカメラ革命とレンズの小型化(SIRUI製もある)により、以前のような耐荷重は必要なくなった。次期キヤノンC400やソニーFX9のようなミッドボディのシネマカメラでさえ、フル装備でもそれほど重くはない。
良い三脚とは?
良い三脚とは何だろうか?耐荷重と全体的な重量は考慮する必要があるが、私は3つ目の品質を追加したい。私にとって、三脚は創造性の延長として機能するものであり、そのため、使いやすくなければならない。つまり、シャッターチャンスに素早く撮影できるようなものでなければならない。
コストも考慮しなければならないが、三脚は何年も使える道具であるべきだ。
使いやすさ
VHS10雲台で最も気に入っている点は、75mmハーフボウル用のハンドルだ。三脚で時間がかかるのは、スライダー(おそらくダナ・ドーリー)で三脚を移動させる場合だ。そこでSIRUIのエンジニアは面白い解決策を考案した。ハンドルを数回転緩めてから青いボタンを押すと、三脚の雲台が瞬時に脚から外れるのだ。
青いボタンを不用意に押すのが心配という向きもあるかもしれないがそんなことはない。設計上、それは不可能だ。このデザインは、雲台と脚を分離するプロセスも数秒短縮する。これはとてもとてもクールで、この三脚で私が一番気に入った革新的な点かもしれない。もし展示会や販売店でこの三脚を試すことができるなら、この部分を確認することをお勧めする。
私はジンバルプレートを持っていないので試せなかったが、三脚の雲台はDJIのジンバルプレートだけでなく、RS2やRS3のジンバルプレートにも対応しているはずだ。
私が最も注目する操作性の一つは、三脚の高さ調整だ。私が最近見たほとんどのデザインでは、三脚を昇降させるために1脚につき1つの機構をロック解除できるようになっており、異なる高さで複数のノブをロック解除する煩わしさがなくなった。3つの大きな青いロックノブ(上の画像参照)で脚の長さ調整ができる(安全のため、常に片手をカメラに添えておく必要がある)。脚が所定の位置にロックされると、安心感のあるクリック音がする。SIRUIはノブが故障や経年劣化で弱くなる可能性があると認識しているようで、ネジを締めたり交換したりする必要がある場合は、ネジに直接アクセスできるようになっている。
青いノブは、撮影中に素早くつかむには少し尖っている感じだったので、エッジの周りをもう少し加工してもいいと思う。もちろん手にけがをすることはないが、急いでつかむにはそれほど快適ではないということだ。
7段階のカウンターバランスシステムはしっかりしており、適切な重量のカメラであれば、撮影をスムーズに行うことができ、カメラから重さを感じさせない。ある意味、パワーステアリングのような感覚だ。さらに、一部の雲台のように、パンやチルトの際にクリックの煩わしい音もない。
VHS10雲台のもう一つの印象的な点は、90度近く下に傾けることができることだ。また、ほぼ真上(約60度)にも傾けることができる。製品撮影をする人にとって、この90度のチルトはありがたいだろうし、チルトの範囲がこれほど広いという事実は、私が過去に使ったことのある他の三脚と比べて優れた点だ。
まとめ
三脚の購入はいつもちょっとした冒険だ。カメラの最大重量に耐える三脚が必要だが、重いズームやFIZギアを追加する場合に備え、ある程度の柔軟性が必要だ。しかし一人で撮影する場合、三脚の重さや操作で撮影のペースが落ちるのは避けたい。SIRUIは、5.89kgの三脚で、持ち運びの際に腰を痛めることなく、9.97kgの耐荷重を実現し、様々なミラーレスカメラや、小型/中型のシネマボディにもフィットするよう、これらの配慮のバランスをうまくとっている。
SQ75三脚とVHS10雲台はセットで499ドルで現在出荷中で、SIRUIによると、100mmバージョンは早ければ2024年第4四半期に登場する可能性があるとのことだ。