SLR Magicの2x Anamorphot-CINEレンズをテストする
SLR Magicの2x Anamophit-CINEレンズをGH5で使用してみた。個人的な印象も含まれるが、レポートする。
最初に断っておくが、これは完全なレビューではない。私はアナモフィックレンズを使ったのは初めてのことで、その過程において私の感じたことをレポートしている。若い映像制作者が初めて使った新しい画像作成方法を試してみた感想ととらえていただきたい。SLRマジックのアナモルフィックレンズは比較的安価で、私のように予算が厳しい映像制作者にとってうれしい存在だ。
映画のようなルックは、個人的には非常に魅了される点だ。
Arri Alexaや美しいシネマプライムのようなハイエンドな機材は無理でも、もっと安価な機材で美しいルックの映像を創り出すことができる。
SLR Magic 2x Anamorphot-CINEレンズセットは、私が今までに使用した最初のアナモフィックレンズであり、使ってみて分かったことや、発見したことをお伝えしたい。
テスト撮影
上記のビデオは、4:3アナモフィックモード、6K / 25pのGH5に、SLR Magic 2x Anamorphot-CINEレンズセットをマウントして撮影している。映像はYouTubeに4Kでアップロードしている。
35mm T2.4 (MFT Mount)
50mm T2.8 (MFT Mount)
70mm T4 (MFT Mount)
これらのレンズはGH5のMFTマウントに対応しており、フル6K解像度で、アナモフィック4:3撮影モードで撮影できる。
アナモフィック撮影してみる
ビデオを見て、このレンズセットの映像を確認いただきたい。アナモフィックワイドスクリーンフォーマットで美しい構図を作成することは確かに新しい撮影方法で、慣れるまで多少時間がかかった。
GH5にはカメラ内にアナモフィック・デスクイーズモードがあり、実際の2.66:1のアスペクト比の画像を見ることができる。この機能は、実際のフレーミングを判断する大きな助けとなる。カメラマンは外部モニター無しで、すばやく効率的に映像を確認することができる。
アナモフィックの特徴
特徴的なアナモルフィックレンズのフレアと楕円形のボケは、このタイプのレンズを使用する主な理由かもしれない。テストビデオではこれらの2つの要素に焦点を当て、これらを強調する構図を探ってみた。これは、映画で使用されるような高品質なルックを作り出す。
レンズフレア
私はレンズフレア、特にアナモフィックなものが大好きだ。以前DIYでアナモフィックなフレアを作成しようとしたことがあるが、理想的なものではなかった。しかし今、私の人生ではじめて、本当のアナモフィックなレンズフレアが得られたと思う。これは素晴らしいものだ。3本のSLR Magicアナモルフィックレンズはこの点でどれも素晴らしいものだった。
ボケ
高速道路での車の写真を見ればわかるように、ボケは美しい楕円形で、映像に映画的なタッチを与える。カメラスライダと車の動きと相まってボケとレンズのフレアが変化するのが気に入っている点だ。
はじめは美しい楕円形のボケを作るのが難しく、試行錯誤を繰り返した。美しいボケを作るため、カメラ、被写体、背景の間に適切な距離を見つけ出すのに時間を必要とした。一般的に他のアナモルフィックレンズでも、このようなスイートスポットを見つけるのが難しいのか分からないが、アナモフィックレンズを使い慣れると簡単になるのではないだろうか。
使い勝手と品質、課題
他のシネマプライムやズームレンズも使ったことがあるが、重量や使いやすさの点で大きく変わるものではない。レンズは普通のものよりかなり大きいものの、ケースに入っているので輸送面での問題はなく、持ち運びは簡単だ。ほとんどの場合一人で撮影したが、問題になることは無かった。
他の高価なアナモフィックレンズは確かにキレが良く高品質ではあるが、価格を考慮すると2x Anamorphot-CINEレンズセットは十分に満足度が高いだろう。
なお、35mmのレンズでは、エッジに歪みが認められた。しかし、これは実験室でのテストや他のレンズとの比較を行ってはじめてわかるレベルのものだ。
また、フォーカシングのためにはレンズサポートが不可欠であることも分かった。フォーカスリングの回転範囲は非常に広いので、自分の手で直接府フォーカシングするのは事実上不可能だ。
更に、フォローフォーカスを使用しても、同じ理由から、滑らかな動きで近くから遠くにフォーカスを移すことができない。私はワイヤレスフォローフォーカスシステムでレンズを試したことは無いが、おそらく最も適切な方法だろう。これにより、レンズのブリージングを判断することもできるだろう。
もう一つ私が気付いたのは、Tiffen VariNDフィルターを付けてフォーカシングすると、偏光色効果が出ることだ。なぜこれが発生するのか分からないが、Tiffen VariNDとSLR Magic Anamorphicレンズの組み合わせは理想的ではない。
また、レンズ(特に35mm)にフィルターを使用する場合は、GH5のボディ内手振れを調整する必要がある。それにより、カメラを動かしてもケラレることは無い。
ボディ内手振れを正しく設定しておくと、ハンドヘルドの撮影が容易になる。
まとめ
SLR Magic の2x Anamorphot-CINEレンズセットを数日間使ってみたが、素晴らしい経験と楽しい撮影をすることができた。
このレンズセットを使用して実現できるルックは美しく、私にとって新鮮なものだった。是非これらのレンズを自分自身でテストして、その映像を確認することをお勧めしたい。もちろん個人の感想は異なるかもしれないが、美しい映像に驚かれることだろう。
SLR Magic 2x Anamorphot-CINEレンズセットは、アナモフィックシューティングを多くのカメラマンに開放する。私は、このレンズセットが新鮮で刺激的な映像を実現してくれると確信している。
このプロジェクトに携わったすべての人々に感謝したい。特にcinema5Dチームに、このような素晴らしい機材で撮影する機会を与えていただいたことと、撮影に協力いただいたJudith Dornetshuber氏とChristian Stephen氏にも感謝したい。