SLR Magicのアナモフィックアダプター - 実使用レビュー
NAB 2017で発表された16:9センサーカメラ用の新しいSLR Magic Anamorphot 1,33x 40アナモフィックアダプターをテストする機会があった。アナモフィックアダプターでの撮影は始めてなのだが、レポートしよう。
まず、私にとってこれはアナモフィックな世界との最初の関わりであることを言っておこう。従って、ここでの情報は初心者がアナモフィック撮影をする前提でレポートしたい。アナモフィック撮影が複雑になり、また実際のアナモフィックレンズを使用すると非常に高価になるため、できるだけ撮影と編集のプロセスを簡素化している。
アナモフィックなルックが必要な理由
最初の質問は、「なぜアナモフィックで撮影するのか?」だろう。私の答えは簡単で、アナモフィックは美しく、我々のように予算が十分取れない映画制作者の救世主のような手法だからだ。広い視野、円形のボケ、あるいは水平のフレアもアナモフィックによって実現できるのだ。
どのようにしてルックを映画的にするか?
映画的な縦横比を実現するひとつの方法は、通常の16:9画像を撮影し、フレームの上部と下部を切り取ることである。しかし、これでは、記録された情報の33%を捨てることになり、これは最善の方法とはいえない。.
アナモフィック映像の撮影には、2つの選択肢がある。ひとつは、真のアナモフィックレンズを購入すること。 2つ目は、通常のレンズの前面にアナモフィックアダプターを使用する方法だ。今回は後者で、SLR Magic Anamorphot1,33x使用した。真のアナモルフィック画像を撮影する場合は、4:3センサーのカメラか、パナソニックGH5のようにセンサーの4:3部分を読み取るモードを持つカメラを使用する必要がある。対照的に、アナモフィックアダプターを使用する場合、アダプターはすべての情報を読み取り、1.33倍に水平に圧縮するデバイスとして機能するため、カメラの16:9モードを使用する必要がある。これは、カメラのLCDスクリーンやビューファインダーのネイティブビュー、またはモニターへの出力が潰れて見えることになる。モニターで画像を再び引き伸ばして正しいアスペクト比に直す必要がある。あるいは編集時に、映像をワイドでフル解像度の2.35:1のアスペクト比に変更することもできる。
SLR Magic Anamorphot 1,33x 40 アダプターの概要
この新しいアダプターについて、何が特別で、何をテストすべきかを考えてみよう。 SLR Magicには、35mm、50mm、70mmのアナモフィックレンズキットが既にある。これについては以前のレビューを参考いただきたい。また、すでに大きなサイズのアナモフィックアダプターも幾つか存在する。しかし、NAB 2017でSLR MagicのAndrew氏にインタビューし、この新しい$ 499の小径SLR Magic Anamorphotについての話を聞いて、このアダプターでテスト撮影することに決めたのだ。
SLRマジックアナモフィックアダプターは、どのDSLR /ミラーレス/大型センサーカメラにも使用できるが、製品名の「40」という数字が示すように、直径40mm以下のレンズを使用する必要がある。これはフィルター径ではなく、実際のレンズの外径を意味する。このレビューでは、パナソニックGH5を使用し、このアダプターを装着して、2通りの方法でテストした:
- パナソニックの12-60mm f / 2.8-4オートフォーカスキットレンズを使用
- Metabones Speed Booster Micro Four-Thirds to EF mountを装着して、ZEISS Distagon f2.8 / 35mmとZEISS Planar f1.4 / 50mmを使用
さて、パナソニックのキットレンズを使用しているときに、間違いを犯してしまった。撮影した後に気がついたのだが、レンズの直径は、推奨される40mmではなく、46mmだ。上のビデオで分かるように、結果は満足できるものではない。カメラ/レンズ/アナモフィックアダプターは、オートフォーカスモード(このSLR Magic anamorphic adapterのセールスポイントの1つ)でうまく動作したが、これはカメラの全体的なオートフォーカス動作やアダプター自体によるものかどうかを特定できなかった。さらに、画質は、ソフトエッジ、ケラレ、色収差が顕著に現れている。しかし、ほとんどの場合、マニュアルでフォーカシングは難しかった。言うまでもなく、AndrewがSLR Magicからアドバイスされたように、40mm(またはそれ以下)の直径を持つレンズを使用すべきだった。
一方、Zeiss DistagonやPlanarのような小径のプライムレンズにSLR Magic Anamorphot 1,33xを装着する場合は、話は全く異なる。もちろん、マニュアルフォーカスでの使用だが、それはまったく問題では無かった。また、色収差も問題ない範囲だ。これらの結果から、アダプターの性能がレンズに大きく依存しているということが分かる。
今回のテストで分かったこと
- ワイドレンズで撮影すると、「筒型の画面」になる。つまり、フレーム内の直線が曲がっている。それを「芸術的表現」と考え、好まれる場合もあるが、個人的には良いこととは思えない。まあそれは “ルック”の一部であるので、それを受け入れる必要がある。
- 通常40mm以上の焦点距離は、歪やケラレを避けるのに役立つ。
- レンズ自体を傷つけないよう直径を測定し、このSLRマジックアナモフィックアダプタで対応するかどうかを判断する。
- •正しい画像パースペクティブを表示するには、画面の圧縮を戻せるモニターが必要。
- 絞りを開けすぎると醜いボケが生じる可能性があるため、絞りには注意する必要がある。 SLR Magicでは、f / 4までの使用を推奨している。
- アナモフィック撮影時は、ローリングシャッター現象が目立つ。動く被写体を撮影する場合は注意が必要。
- アダプター内部の反射を避けるため、光の方向に注意。
- •Adobe Premiere Pro CC(最新版)では、アナモフィッククリップをプロジェクトにインポートした後で、「Modify」 – 「Interpret footage」 – 「Pixel Aspect Ratio」 – 「Conform to」を選択し、HD Anamorphic 1080 1.333をクリックすると、正しいアスペクト比で表示される。
まとめ
固定焦点レンズやズームレンズで、アナモフィック撮影を行いたいユーザーにとって、比較的低価格のSLR Magic Anamorphot 1,33xは有用な機材だ。撮影プロセスは手間がかかるが、満足な結果が得られるだろう。残念ながら今回のテスト撮影では “アナモフィックなルック”として納得できるレベルでなかったが、アドバイス通りに撮影すれば、良い結果が得られるだろう。
冒頭のドキュメンタリービデオはPanasonic GH5で、V-Log撮影している。 Adobe Premiere CCの最新バージョンで編集し、FJ Velv 100に設定されたFilmConvertで補正した。
下のビデオはARRIのチャンネルから取得した、アナモフィックとは何かを説明したもの:
SLRマジックアナモフィックアダプターに関しての詳しい情報は、こちらのWex Photographicのチュートリアルでも知ることができる。
また、このアダプターで撮影したビデオやその他の情報に関しては、SLR MagicのAndrew Chan 氏による以下のビデオを参照願いたい。
What does the number 40 and 50 on the Anamorphic adapter mean?
Should you use the Anamorphot 40 or 50?
Will we make a larger anamorphot adapter?
Using the Anamorphot with various lenses
Tips when using the SLR Magic Anamorphot Adapter
A big thank you to Ulrike Theresia Wegele, Josef Pemmer, Philip Pemmer and Donat Kuti for supporting this film!