ソニーα7IIIレビュー - 特筆できる低照度特性
最近、日本に滞在し、ソニーのα7 III をテストする機会があったのでレポートする。使用したレンズはFE 24-105mm f / 4 G OSS。今回も実践的なテストに適切な被写体を探して撮影を試みた。
3月の初旬、私はCP+での取材で日本を訪れたのだが、この機会を利用してソニーからα7 IIIを借用した。今回自分のスケジュールもあり、撮影できる期間は2日間だったが、生憎の雨で、屋外での撮影は諦めざるを得なかった。そこで今回の撮影現場となったわけである。
ビデオ撮影のための主な機能
以前の記事の中でも書いているのだが、繰り返して言うと、このカメラは最高のフルフレームミラーレスカメラのひとつだということだ。その理由を以下に書いておこう。
- 擬色などがない極めて美しいフルフレームの画質
- 良好なオートフォーカス。コントラストがそれほど大きくない低照度の状況では厳しい場合が有るが、これは仕方ないところだ。ただ、明るい状況でも、予期せず他の場所にフォーカスが移動する場合がある。テストではFE 24-105mm f / 4レンズを使用したが、9割方うまく動作した。最近のレビューでオートフォーカスについてこだわっているが、これはインディ映画などフォーカスマンがいない場合に役立つ機能だからだ。もちろんマニュアルでフォーカシングする技術は重要だが、必要に応じてオートフォーカスを使うことは悪いことではない。このカメラでは焦点移動がかなり簡単で正確なので、オートフォーカスも有用だ。
- ローリングシャッター効果は、同社の他のモデルよりも多少良くなっているように見える。(ただあし、さらなる改善は必要だ)
- ハイフレームレート記録(フルHDモードで最大120fps)は、私が行ったようにアップスケールしなければ、問題ない。
- 5軸光学ボディ内手ぶれ補正システムは良好に作動する。 オリンパスOM-D E-M1MarkIIほどの補正は期待できないが、十分使える範囲だ。
- 24.2メガピクセルのセンサーを搭載いることを考えると、低照度特性は平均的なレベルと思われるかも知れないが、結果は逆だ。このカメラは、a7SIIにも対抗できると思わせるほどの実力がある。 S-Log 2での撮影時の基本ISOは800だが、撮影ニーズに応じてかなり高くすることができる。
短所
「10bit/4:2:2」がサポートされていないことを短所としてあげるのは避けておこう。このカメラの位置付けは明確なので、それを期待することは的が外れているからだ。α7 IIIは、フルフレームミラーレスカメラのエントリーモデルで、次に来ると期待されている“S”モデルとは位置付けが異なるからだ。改善を求めたい点を上げるとすれば、それは間違いなくメニュー構造とLCDスクリーンのアングル調整機構だ。他のカメラを使用してソニーのメニューに戻ると、使い難さが目立つ。ビデオ撮影がメインのカメラマンとしては、ビデオモードでは、ビデオ関連の項目のみがまとめて表示されているのが好ましい。 (あるいは、少なくともフォト関連のメニューがグレーアウトされると良いのだが。
低照度特性
このカメラは多くの優れた機能を持つが、低照度特性が平均的なものならそれほどエキサイティングなカメラとは思わなかっただろう。どのような技術によってそのような結果になっているのか分からないが、裏面照明CMOSイメージセンサーがその理由のひとつではないだろうか。冒頭のビデオはすべてISO 800〜6400で撮っている。かなり暗い状況だったが、安心して撮影できたことを報告しておこう。
まとめ
このカメラのポイントは、機能と価格のバランスだろう。多くの機能を持つフルフレームカメラながら、低価格に抑えられている。ビデオとフォト両方に使えるオールラウンドなカメラだ。(これは同僚のプロフォトカメラマンの意見でもある)。 4K/50/60p、より高い記録レートや色深度、そしてビルトインNDフィルターのようなさらなるビデオ機能は、次回のアナウンスを待つ必要があるだろう。
冒頭のビデオデータ
4K(UHD)/24pで撮影。 (スローモーションはFHD 120fpsで撮影)、filmConvertでS-Log 2をグレーディング。 ISOはショットにより異なる。 Adobe Premiere最新版で編集。
Many thanks to: Tantra lounge in Roppongi, Tokyo. Saki Matsumoto and Eva Hiesmair
Music by Art list: Sky City – Instrumental by Davis Absolute – Eden and Sky City – Instrumental by Davis Absolute – Eden