ソニーは、α9 IIフルフレームEマウントミラーレスカメラを海外で発表した。プロのフォトグラファーを対象としており、高速化が図られている。センサーはα9と同じ24.2 メガピクセルCMOSセンサーを搭載。また、電子シャッターを使用したAFおよびAEトラッキングで20fpsの連続静止画撮影が可能だ(メカニカルシャッターで最大10fps)。更に優れたボディ内手振れ補正機能、耐候性、およびギガビットイーサネットポートを備えている。 10月に4,500ドルで発売予定。
α9は、同社のミラーレスカメラの上位機種で、最高の解像度を必要としないプロのフォトグラファーを対象としており、スポーツやフォトジャーナリストに対し、高速性をアピールしている。第1世代のα9はNAB 2017で発表され、2年以上が経過しており、今回のα9 IIの発表となった。
α9IIの高速性
上で述べたように、α9シリーズは高速性を誇る。 α9 II(モデル名はILCE-9M2)は、オートフォーカスおよび自動露出トラッキング、60回/秒のAF / AE計測により、最大20フレーム/秒(電子シャッター)で連続撮影を特長としている。これは1/125秒以上のシャッタースピードに相当する。AF-Cモードでは、最大連続フレームレートは、使用する撮影モードとレンズによって異なり、AF計測の回数は使用するレンズによって異なる。一部のレンズではソフトウェアの更新が必要になる場合がある。
高速撮影は最大361枚のJPEG画像、または239枚の圧縮RAW画像(UHS-IIメモリカードを使用した「Hi」連続撮影モード)で記録し、ビューファインダーのブラックアウトがないため、被写体を中断することなく追跡できる。メカニカルシャッターを使用する場合は、最大10 fps(α9の約2倍)で撮影できる。
α9IIには、蛍光灯や人工照明を自動的に検出して調整し、画質を最大限に高めるフリッカー防止撮影モードが用意され、100 Hzと120 Hzのフリッカーのみが検出できる。ただしこの場合、連続撮影速度が低下する可能性があり、また電子シャッター、バルブ露出、または動画撮影中は利用できない。
α9 IIには、従来のα9と同じ35mmフルフレーム24.2 メガピクセルCMOSイメージセンサーとメモリが内蔵されている。 アップグレードされたBIONZ X画像処理エンジンによりAF / AE検出、画像処理、顔検出、および精度の速度を向上させている。また5軸光学式ボディ内手振れ補正機能が装備されている。
高速転送
α9 IIには、1000BASE-Tイーサネットが組み込まれており、ギガビット通信が可能で、高速で安定したデータ転送ができる。さらに、データセキュリティの強化のため、SSLまたはTLS暗号化(FTPS)もサポートされている。更に「リモートカメラツール」デスクトップアプリケーションのリリースタイムラグが減少し、ライブビュー画面の遅延も減少した。
カメラの内蔵ワイヤレスLAN機能の速度も向上しており、α9で提供されていた2.4 GHz帯に加え、安定した高速の5 GHz(IEEE 802.11ac)帯が追加された。( IEEE 802.11a / b / g / n / ac規格はすべてサポートされている。また一部の国および地域では5 GHz通信が制限される場合がある。)
α9 IIには、音声情報を音声メモの形で画像に添付し、画像とともに再生できる新しい音声メモ機能が追加された。音声データは、送信される画像に含めることもできる。音声メモは、「Transfer&Tagging add-on」「Imaging Edge」アプリケーションを使用して、自動的にテキストに変換し、IPTCメタデータの形式でJPEG画像に追加することもできる。これは、Googleサービスが利用可能な地域でのみ利用可能。 50秒を超える音声メモはテキストに変換できない。
ファストオートフォーカス
α9 IIフォーカシングシステムは、画像領域の約93%をカバーする693個の焦点面位相検出AFポイントと、425個のコントラストAFポイントで構成されている。 加えて、右目/左目選択機能付きリアルタイムアイAF、動物用リアルタイムアイAF(静止画のみ。人間の目に対するAFは動画にも使用可能)、リアルタイムトラッキング、選択可能なフォーカスフレームの色、ビューファインダー使用中のタッチパッドフォーカスポイントコントロールなども搭載されている。
防塵、防滴機能も改善されている。筐体の接合面やバッテリーコンパートメント、あるいはメディアスロットのシーリングが強化された。 バッテリーはNP-FZ100 2280 mAhバッテリーを使用する。グリップ構成も改善され、より快適で確実なホールドが実現した。同社のVG-C4EMバーチカルグリップも使用できる。高速USB 3.2 Gen 1データ転送をサポートするUSB Type-Cコネクタと、UHS-IおよびUHS-II SDカード対応のデュアルメディアスロットも搭載されている。
デジタルオーディオインターフェイスがマルチインターフェイスシュー(MIシュー)に追加され、新しいECM-B1MショットガンマイクまたはXLR-K3M XLRアダプターキットをMIシューに直接接続できるようになった。
ビデオ機能
UHD 4K(3840 x 2160)で24.00p / 25p / 29.97p、60~100 Mbps/XAVC S、またはFull HD(1920 x 1080)で24.00p / 25p / 29.97p / 50p / 59.94p / 100p / 119.88p、50〜100 Mbpsで撮影できる。内部記録は8ビット4:2:0。なお、マイクロHDMIポートを介して最大4K UHDの8ビット4:2:2ビデオを出力し、外部で記録できる。カメラには、マイク用の3.5mmジャックとヘッドフォンジャックがある。残念ながらここは何の改善もない。
価格と発売時期
α9 IIは2019年10月に発売される予定。価格は約4,500ドルとされている。