ソニーのCrystal LEDディスプレイシステムには、高コントラストで深みのある黒のCシリーズと、映画制作用の反射防止コーティングを施し、高輝度(最大800ニット)のBシリーズの2種類がある。LEDディスプレイシステムはモジュール式で、任意の形状とサイズにすることができる。 Crystal LEDディスプレイシステムは2021年夏に発売される予定。
最近、スタジオでの映画制作がグリーンスクリーンではなく、巨大なLEDウォールを使用する傾向がある。これには複数の利点がある。一つは、演者がシーンを想像しやすく、また、オブジェクトや演者への反射はリアルで、VFXポストプロダクションのコストを削減することができる。LEDウォールを利用した最近の一例は、スターウォーズのサイドストーリーである「マンダロリアン」だ。これについてのメーキングビデオが公開されている。
これが実用されるためには、LEDスクリーンのピクセルが分からないほど十分に小さい必要がある。ソニーは、MicroLEDテクノロジーを搭載した新しいCrystal LEDディスプレイシステムを発表した。このモジュラーシステムは、ショッピングモールなどの公共エリアで大画面として使用されるほか、最新の映画撮影でも使用できる。
ソニーCrystal LED ディスプレイ
MicroLEDは、個々のピクセルが非常に小さいのが特徴。これは、通常の大型LEDディスプレイのものよりもはるかに小さい。ソニーのCrystal LEDパネルには、極めて小さいLEDチップで構成されており、1つのチップのサイズはわずか0.003mm2で、各ピクセルの面積の約99%が有効。また、真の黒が再現でき、高い画像コントラストが実現できる。
ソニーは2種類のCrystal LEDシステムを発表した:
- 深い黒のハイコントラスト(1,000,000:1)が特徴のCシリーズ
- 反射防止コーティングを施した800ニット(cd / m2)の高輝度を重視したBシリーズ。映画撮影に適している。
Crystal LEDの利点は、多くのパネルをシームレスに配置し、任意の形状とサイズに組み立てられること。各パネルにはSonyX1イメージプロセッサが内蔵されており、ファンが無く、軽量で静か、かつ省スペースの設計がされている。ソニーによると、パネルは耐久性があり、長期間使用できる。
また、CrystalLEDパネルは以下のような最新のテクノロジーを使用して画質を向上させている。
- 低解像度の信号をより正確にアップスケールするリアリティクリエーション。
- 動きによるブレを抑え、動きの速い画像をスムーズに再現するモーションフロー。
- バンディングを滑らかにし、画像のグラデーションを改善する22ビットスーパービットマッピング信号処理。
色空間は広く、sRGBカバレッジは約140%。パネルは、水平方向と垂直方向でほぼ180°の視野角を提供する。 Crystal LEDパネルには、メンテナンスが容易な100〜240VAC電源が採用されており、また前面からメンテナンスができる。
各パネルの寸法は60.81 x 34.19 x 7.59cmで、重量は10kg未満。パネルあたりの平均消費電力は90Wとなっている。 CシリーズとBシリーズどちらも、2つの異なるピクセル深度が選択できる。
- 480 x 270ドットの解像度(1.26 mmのピクセルピッチ)。
- 384 x 216ドットの解像度(1.56 mmのピクセルピッチ)。
価格と発売時期
ソニーCrystal LEDシステムは2021年夏に発売予定。ソニーはまだパネルの価格を発表していないが、以前のモデルと比較してコストを削減したと述べている。