小型スマートフォンセンサーの分野でもイメージセンサーの機能は絶えず向上している。ソニーはDRAMを積層した3層構造の高速CMOSセンサーを開発した。フォーカルプレーン歪みを最小限に抑え、将来スマートフォンでもスローモーション映像のための高速撮影が可能となる。
ソニーは、業界初のスマートフォン用3層CMOSセンサーの開発を発表した。従来の2層センサーと比較して、新しいセンサーにはDRAM層が追加されている。この追加されたDRAM層により、データ読み出し速度を上げ、高速で動いている被写体でもフォーカルプレーン現象(ローリングシャッター現象)による画像歪を最小限に抑えることができる。更に、フルHDで1,000fpsの高速度撮影も可能だ。
また、各層間で発生するノイズを低減するなど、従来の問題点の改善も図っている。
上は従来のセンサー(左)と3層積層型センサーの比較。(ソニーのWebサイトより)
DRAM層は、画素からの画像信号を一時的に蓄積し、最適な速度でデータを処理することを可能にする。即ち、このDRAM層はバッファーとして動作しており、19.3メガピクセルの静止画像を1/120秒で、または従来の2層センサーより約4倍高速で読み出すことができるということだ。これにより、次の2つのメリットが期待できる。
1.フォーカルプレーン現象の最小化
DRAMレイヤーと1/120秒読み出しにより全ラインの画素を4倍高速に読み出すことができ、その結果フォーカルプレーン歪み(ローリングシャッター効果)を最小限に抑えることができる。
2.スーパースローモーション
もう一つのメリットは、フルHD(1920×1080)で1,000fpsの高速度撮影が可能になること。速い動きの被写体を美しいスローモーションで再生することができる。まず高速度撮影されたデータがDRAMに蓄積され、次に通常の速度で読み出される。下のビデオを見ていただきたい。この映像は15fpsでの再生映像だが、悪くはない。
主な仕様
- 解像度: 5520 x 3840 (21.2メガピクセル)
- センサーサイズ: 1/2.3 (対角73mm)
- 画素サイズ:22μm x 1.22μm
- 読み出し速度:478 ms (4:3 19.3メガピクセル) / 6.962 ms (16:9 17.1 Mpx)
- DRAM容量: 1 Gbit
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