過去10年間、ソニーは写真と映像の両方の世界で驚くべき進化をしてきた。同社のスチルカメラとビデオカメラが融合してきた。それと同時に充実したレンズラインアップも確立している。今回同社は、新しいレンズFE 70-200mm GM OSS IIを発表した。これはオリジナルのズームをアップグレードし、内部構造を一新している。
ソニーは、日本で最も古いカメラメーカーではないが、幅広いエレクトロニクス製品を扱う巨大企業だ。カメラやレンズから、メディアストレージ、ゲーム機、テレビ、さらにはバイオやロボットまで、ソニーは日常生活に溶け込んでいる。今回の新しいFE 70-200mmは、それだけでソニーのレンズ開発の方向性を示している。オートフォーカスはその一例だ。
新世代のレンズ
新しいFE 70-200mm IIは15本目のG Masterレンズで、オリジナルのレンズを単純に改良したものに見えるかもしれないが、このレンズには先代とは異なるさまざまな特徴がある。軽量化されたボディ、改良されたコーティング、最新のレンズ構成、より簡単になったマニュアルフォーカス、そしてオートフォーカスモーターの追加により、この新しいズームレンズは独自の地位を確立している。内部的には、オリジナルの光学設計から2つの超低分散レンズを取り除き、約1kgの軽量化を実現している。色収差を抑えるためにスーパーEDレンズ2枚とEDレンズ2枚を採用し、色収差と球面収差を抑えるために非球面レンズを採用している。さらに、フレアやゴーストを軽減するナノARコーティングIIを採用し、コーティングの質を向上させている。
写真市場と動画市場の境界が曖昧になる中、ソニーはこの新しいレンズで、ビデオや映画の撮影者にもアピールしている。本レンズは、リニアレスポンス方式のマニュアルフォーカスで、フルタイムDMF(Direct Manual Focus)を搭載している。また、内蔵のフォーカスレンジリミッター、アイリスロックスイッチ、カスタマイズ可能な3つのフォーカスホールドボタン、3モードの光学式手ブレ補正機能も搭載している。3モードとは同社のカメラマニュアルによると、次のように説明されている。
- MODE1:通常の手ぶれを補正
- MODE2:動く被写体をパンニングする際の手ブレを補正
- MODE3:手ブレを補正し、フレーミングの乱れを抑える。スポーツ観戦など、速くて不規則に動く被写体の撮影にも対応できる
また、70-200mmレンズには、フッ素コート、リアフィルターホルダー、一部ウェザーシーリングを採用している。これにより、防塵・防滴に対応している。ただし、水没には対応していない。
新しいAFモーター
ソニーとキヤノンは、オートフォーカスを必須の機能として様々な撮影状況に対応している。新しい70-200mmの4つのXD(エクストリーム・ダイナミック)リニアモーターは、前世代よりもオートフォーカス性能を飛躍的に向上させている。2つのモーターがそれぞれのフォーカスグループに割り当てられており、ソニーによると、4倍のオートフォーカス速度と、ズーム時のフォーカストラッキングが30%速くなっている。また、ズーム時のフォーカスブリージングや、フォーカスと軸のずれも低減している。
フローティングフォーカスでは、フォーカスグループを独立して制御可能な2つのグループに分けている。これにより、光学系の中間群を動かすだけで、インターナルフォーカシングが可能になる。
アクセサリー
レンズの使用範囲を広げるために、1.4倍と2.0倍の2つの高性能テレコンバーターが内蔵されている。これにより、最大焦点距離はF4.0とF5.6でそれぞれ400mm(APS-Cサイズでは600mm)まで広がる。ソニーは、これらのコンバーターを使用しても、Gマスターの品質を維持できると述べている。もちろん透過するレンズが増えれば条件は悪くなるが、その差はごくわずかだろう。
必要性
このレンズは、オリジナルの70-200mmを持っていて、その性能に満足しているのであれば、必要ないかもしれない。しかし、新しいレンズはオリジナルよりもステップアップしている。もし、信頼性の高い高速オートフォーカスが必要なら、新しいレンズは購入する価値があるだろう。このレンズは、野生動物の撮影、スポーツ、モータースポーツ、ポートレート、風景、そして結婚式でも活躍する、非常に汎用性の高いレンズだ。
2021年11月26日発売予定で価格はオープン。
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